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タブーにチャレンジした意欲作『精神』が上映されベルリンで満席!【第59回ベルリン国際映画祭】

タブーにチャレンジした意欲作『精神』が上映されベルリンで満席!
ベルリン国際映画祭の想田監督 - Photo:Yukari Yamaguchi

 2月6日(現地時間)、ベルリン国際映画祭でヨーロッパプレミアが開催された想田和弘監督の映画『精神』は立ち見が出るほどの盛況となった。初監督作品の映画『選挙』も同映画祭で好評を得た想田監督にとって、ベルリンはゲンが良さそうだ。

 監督第2作目となる本作は、精神科診療所に通う患者たちを追ったドキュメンタリー。学生新聞に打ち込んでいたころ、突然何もできなくなり、1週間眠り続け、燃え尽き症候群の診断を下されたという自身の経験が、この映画を撮る動機になったと想田監督は話す。

 心の病の患者に対して抱いていた、自分たちとは別だ、まるで異星人のようだという偏見もなくなったという想田監督のスタンスが、本音を引き出すことに成功しているのか、あるいは、もともと声を上げる場を求めていたのか、患者たちは顔と名前を明かし、自分のつらい現状や過去について驚くほど率直に語る。

 寝る間も惜しんで勉強し続けた、身を売って生計をたてた、わが子を失ったといったことが語られることによって、病を負ってしまった状況が理解可能となる。薬の副作用もあってか、太ってしまっている患者たちの昔の写真、今とは別人のようにすっきり引き締まった姿、笑顔や生気のある顔を見るにいたって、患者を特別視するような気持ちは消えていく。それだけに、登場した患者の何人かが自らの命を絶ったことが、映画の最後で明かされるのはショッキングだ。

 「この映画は答えではなく、問いである」と想田監督も言う通り、行政、病院、社会、家族や人とのつながりといったものまで含め、どうしたら救えたのか考えさせられる映画だ。各国の映画祭でドキュメンタリー賞を受賞している本作の問いかけは、世界に共通した問いかけなのかもしれない。 (取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)


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