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壮絶!戦車から見た地獄!ヴェネチア金獅子賞作品のサミュエル・マオズ監督インタビュー

壮絶!戦車から見た地獄!ヴェネチア金獅子賞作品のサミュエル・マオズ監督インタビュー
サミュエル・マオズ監督 - Photo-Nobuhiro Hosoki

 去年の第66回ヴェネチア国際映画祭で、最高賞である金獅子賞を獲得したイスラエル映画『レバノン / Lebanon』(原題)のサミュエル・マオズ監督が、実体験をベースにした映画制作について語ってくれた。

 本作は、1982年にレバノン内戦に赴いたイスラエル軍の4人の若い兵士たちの壮絶な体験を描いた作品で、マオズ監督の実体験を基にしている。自身が体験した戦争についてマオズ監督は、「戦争に行く前に、兵士として銃の装填や体を鍛えることはできるが、本当に必要なのは生き残るための本能だけであることをすぐに学ばせられたよ。戦争という特殊状況下では、普段の生活の中でしているような理論的な考えはまったく役に立たないんだ」とつらい従軍体験を明かした。

 作中のストーリーはほぼ、監督が体験したとおり、戦車内で繰り広げられる。マオズ監督は「兵士たちの個々の感情が戦車内だけだと理解しやすいし、犠牲者の生々しい映像を望遠レンズからクローズアップした映像で観ると、観客がまるで戦争を体験しているかのような感覚を与えることができるんだ」と本作が持つ臨場感の秘密の一端を明かし、「それに戦車は一見安全そうだけど、上空の戦闘機から見ると兵士たちが固まっていることがすぐわかって、格好の標的になってしまうんだ」と実際に従軍したからこそわかる緊迫感を映像で表現したことを教えてくれた。

 レバノン内戦を体験した兵士たちに向けた試写も行ったというマオズ監督は、観客たちの反応に強い手ごたえを感じたという。「映画が終了してから5分くらいは誰も口を開かなかった。でも誰かが『あの戦争はこんな感じだった』と言ってくれたことが、何よりもうれしかったね」と大きなトラウマを残した戦争から、25年後に作り上げた作品への反応が芳しかったことに感慨深げだった。

 マオズ監督と共に戦争を経験した二人の親友のうち一人は戦死し、もう一人は信仰心が強くなって帰還したのだという。多くの人に癒やすことのできない傷を残した戦争をテーマに撮った作品がヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したことは、多くの人に戦死者たちだけではない、戦争の被害者について知ってもらういい機会になったはずだ。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)


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