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福島原発の10年後は…国策にほんろうされ苦しむ福島と沖縄を描くドキュメンタリー映画『10年後の空へ』製作へ

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苦しみの現実を描き出す
苦しみの現実を描き出す - 映画『10年後の空へ』より

 東日本大震災の影響により福島県いわき市から沖縄へ避難した家族を追ったドキュメンタリー映画『10年後の空へ』が製作されていることがわかった。本作は沖縄を拠点に活動し、米軍基地移設問題で15年間国策にほんろうされ苦しんできた輿石正監督が、このたびの震災により同じ苦しみを抱える福島県いわき市の村重さん一家と知り合い、運命的なものを感じたことから製作が決定した作品。地震や津波に続き、解決には長い時間を要するといわれている福島原発の現在(いま)だけではなく、10年後を見据えた作品として作り上げる予定だ。

 劇中に登場する村重さん一家は3人家族で、被災当時小学校1年生だった長男・空くんの被爆を恐れて両親が沖縄への避難を決断。知人を介して輿石監督が代表を務める会社の寮で生活することになった。幼少期に福島県郡山市に住んでいた経験のある輿石監督は、「何か運命的な出会いを感じた」と振り返る。村重さん一家の受け入れに関しては「国策でほんろうされ米軍基地移設で15年間苦しんできた名護市民としての『苦しみの共有』」が決断に至った理由だと明かした。

 作品では、沖縄で小学2年生の始業式を迎えた空くんの暮らしぶりや沖縄での体験を追う。いわき市に戻ったお父さんが撮影した映像も合わせて、沖縄と福島が抱える「苦しみ」を重ね合わせて描き出す。国策により苦しむのは庶民であり、その庶民が助け合う姿を10年後、17歳になった空くんが再び本作を観てくれることを願いメッセージとして送る。また日本の原子力発電所の歴史をたどり、「安全でクリーンなエネルギー」の裏側にある虚像をえぐり出すという意欲作だ。

 沖縄の苦しみと福島の苦しみは一過性のものではないと語る輿石監督は、「長く温め続けることによって重なり合い、一つの『当事者性』を獲得する。その当事者性は、『がんばろう日本』『ひとつになろう日本』『復興』と熱狂するものとは少し違う地平であり、ひとりひざを抱え込む姿勢に宿る、と思う」と事実を見極めた独自の考えを恐れることなく明かす。この思いに共感する人も多いはずだ。そして、10年後の空くんへ「『2011年ジャパン』を伝えたい」と熱い思いを作品に込めた輿石監督。沖縄を拠点にしている輿石監督だからこそ伝えられるメッセージを世の中に送る心意気だ。『10年後の空へ』は6月末に完成予定で、7月10日前後に沖縄県名護市と福島県いわき市で同時上映される予定。また全国各地での上映を募り、日本上映キャラバンの実施を企画している。(編集部・小松芙未)

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