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ジブリに影響を与えたフレデリック・バックの代表作を上映!展覧会は震災の影響で開催が危ぶまれたことも!

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三鷹の森ジブリ美術館の中島清文館長と西村由紀江
三鷹の森ジブリ美術館の中島清文館長と西村由紀江

2日、千代田区の神保町シアターで御年87歳のアニメ作家フレデリック・バックの代表作を上映する特集上映「フレデリック・バックの映画」が初日を迎え、ピアニストの西村由紀江、三鷹の森ジブリ美術館の中島清文館長がフレデリック・バックの魅力について大いに語りつくした。

 西村といえば、ドラマ「101回目のプロポーズ」で注目を集め、その後もドラマ「親愛なる者へ 」、そして映画『子ぎつねヘレン』『時の輝き』などのサントラを手掛けたことでも有名なピアニスト。今年の5月でデビュー25周年を迎える西村だが、彼女のスタイルはアカデミー賞を受賞したバックの傑作『木を植えた男』を観て、影響を受けたものなのだという。

 西村は「ちょうど15年くらい前、デビューして10年目くらい。自分の音楽の方向性に迷っていた時代でした」とバックとの出会いを述懐。とあるプロデューサーが彼女に一本のビデオを手渡したのがきっかけだったという。それが『木を植えた男』だった。「何があろうとただ黙々と、どんぐりの木を植え続ける男の姿に感銘を受けました。しかも(約2万枚と言われる絵を)すべて自分でお描きになられたんですよね。私も自分の信じる道をじっくりいけばいいんだなと気づかされました。ちょうどその頃はデビュー10周年で、シンプルなスタイルにしたいと言ったら、寂しいとか、大人しいとか言われてスタッフに反対を受けました。みんなが足そう、足そうと思っていた時代だったんですよね。でもそれでは自分がどこにいるのか分からない。だからそれはバックさんに後押しを受けたんです。25周年を迎えられたのもそのおかげです」とすっかりバックに心酔している様子だった。

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 そんな西村は、この日の朝にあこがれのバックと対面したことを明かした。「私の手を取ってくれたんですけど、その手が柔らかくて! ものすごい包容力を感じて、すごい人だなと思いました」と振り返るその顔は今にもとろけ出しそうであった。

 本上映会は、東京都現代美術館の「フレデリック・バック展」と同時に開催となる。しかし未曾有の震災を前にした日本で開催される展覧会を実現させるのは、困難も多かったようだ。「原発の影響で、実は港で作品が止まったことがあった。どこが止めたのかよく分からないんですが、国の大事な美術品を日本に出すわけにはいかないということなんですね。それでも何とかバックさんに連絡をとったら、いいよと言ってくださって、作品を送ってもらったという経緯があったんです。」と本展覧会の裏話を語る中島館長だった。

 本特集上映では『木を植えた男』のほか、ツヤ消しセルに色鉛筆で絵を描くというバックのスタイルを生み出した『トゥ・リアン』、そして一脚のロッキングチェアが辿る運命を通じて、失われつつあるケベック文化への共感、現代文明批判などをユーモラスに描くアカデミー賞受賞作『クラック!』、そして北米を流れるセントローレンス河の力強さと同時に、生態系を破壊し、汚染する人間の愚かしさを描写、バックのスタイルの集大成となった『大いなる河の流れ』という彼の代表作4本を上映。まさに東日本大震災を経験した今だからこそ観ておきたい作品群となっている。(取材・文:壬生智裕)

特集上映「フレデリック・バックの映画」は神保町シアターで上映中

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