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「SLAM DUNK」井上雄彦、1年半にわたる「バガボンド」休載を語る…「マンガ家として一回死んでいるような気がするんです」(1/2)

「SLAM DUNK」井上雄彦、1年半にわたる「バガボンド」休載を語る…「マンガ家として一回死んでいるような気がするんです」
井上雄彦「空白」表紙

 「SLAM DUNK」で知られる井上雄彦が、2010年4月から2012年3月までに行ったインタビューなどをまとめた書籍「空白」で、およそ1年半にわたった「バガボンド」休載について語っている。自ら「マンガ家として一回死んでいるような気がするんです」と評した休載期間中もさまざまな活動を行ってきた井上が「いかに『バガボンド』を描かなかったか」に迫った異色のインタビュー集だ。

 井上が体調不良を訴え、「バガボンド」が長期休載に突入することになったのは2010年10月ごろ。まだ休載前の2008年から2010年にかけて行われた「井上雄彦・最後のマンガ展」で主人公・宮本武蔵の最期を描いていた井上は、2010年の初めに自身のブログで「『バガボンド』は今年中に終わる」と連載終了を意識し始めたことを明かしていたが、そのことが逆に井上を追い詰めることになった。体調不良は「最後のマンガ展」が終了した直後の2010年7月ごろから始まり、それからしばらく連載開始は白紙のままだった。

 その、終わりを意識した発言は、意外にも代表作「SLAM DUNK」のイメージをいまだに引きずっていたことが一因だったという。「読者がどう思っているかはわからないですし、受けとめ方は人それぞれだと思いますが、僕にとって『スラムダンク』のラストは『ああ、こんなに良い終わり方はないな』というものでした」と振り返った井上は、一方で「バガボンド」について「一番いい終わりどきを逃したのかな」という気持ちがあったと明かす。それだけが原因ではないものの、そうしたことの積み重ねが井上を消耗させていったのは事実のようだ。

 だが、1年半にわたる休載中も井上は精力的に活動していた。車いすバスケットボールを題材にした「リアル」の連載があり、東本願寺から依頼を受けた屏風「親鸞」があった。そして何より、同作品を仕上げた翌日には東日本大震災が起こった。物語そのものに地震や津波は出てこなくとも「自分の変化が作品に反映されるのは間違いない」と明言した井上は「またそうでなかったら僕は描く意味を感じられないですから」と断言する。

 「バガボンド」の連載は基本的には週1回だったが、今年3月の再開からは月1回というペースになった。そのことで「じっくり時間はかけましたね」という再開第1回は、休載前からの直接の続きではなく、仕切り直しとなるエピソード。それは「初めて」という井上の中でのキーワードを再確認させるものだ。休載前の展開、そして「最後のマンガ展」で描いた武蔵の最期との整合性についての「いつでも壊せる準備はしつつ、それでもうまいこと繋がる道はないか探ろうと思います」という言葉は、休載前と後の井上の心境の変化を如実に表したものだろう。


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