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西川美和監督、デビュー作と最新作は地続き シンパシーを感じるのは得体の知れないもの

西川美和監督、デビュー作と最新作は地続き シンパシーを感じるのは得体の知れないもの
西川美和監督

 6日、『ゆれる』『ディア・ドクター』などで高い評価を受ける西川美和監督のデビュー作『蛇イチゴ』の特別上映会が新宿ピカデリーで行われ、西川監督が自身の作品スタイルを振り返った。

 宮迫博之の初主演作品であり、つみきみほ、平泉成、大谷直子、寺島進、絵沢萠子、笑福亭松之助らが出演する本作は、2002年に制作された作品。はたから見れば幸せに見える家族のもとに、勘当されていた兄が戻ってきたことによって、家族の闇が明らかになっていくという異色のホームドラマだ。当時28歳だった西川監督のデビュー作で、日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞するなど高い評価を受けた。

 「欠点ばかり目につくので、自分の作品は観ない」と語る西川監督はこの日、およそ9年ぶりに本作を鑑賞。「善悪両面併せ持つ人間の業を描き出した物語」「主人公は詐欺師」といったキーワードが改めてあぶり出されてきたようで、「やっぱり自分の興味は変わらないんでしょうね。そんな気がしました」と改めて自身の作家性を実感した様子。

 本作に登場する、宮迫演じる周治は、口八丁手八丁で香典をだまし取る詐欺師として描かれる。「自分の中のヒーローというか、自分の内側に住んでいる人間の中でもっとも魅力的な人物を描いたと思う」と振り返る西川監督。一方の最新作『夢売るふたり』では、火事で全てを失った夫婦が「結婚詐欺」で再起を図る姿を描き出しているが、「宮迫さんの役の羽がどんどんはがれて、凡人化したのが今回の阿部(サダヲ)さんの役。彼らは地続きなんです」と明かす。

 さらに「同族嫌悪というか、女の残酷さやずるさを根っこで知っているから、どうしても女に対して厳しくなる」と語る通り、女性たちに対する視点が辛らつなのも西川作品の特色。そんな彼女の「人間観を形成した作品はあるのか」と問われた西川監督は、NHK-BS2の番組「太宰治短編小説集」でも監督自身が取り上げたことのある太宰治の短編小説「駈込み訴え」を挙げた。「中学生のころに読んだ本。ユダの1人称で語られる話なんですけど、キリストが憎いから裏切りたいけど、でも愛している。いろいろな感情が整合性もなく、うねっていて、矛盾だらけなのに、読むと不可思議なところがない。そんなわからないのが人間だと。わたしは得体の知れないものにシンパシーを感じるんですね」とその作家性の原点を明かした。(取材・文:壬生智裕)

映画『夢売るふたり』は9月8日より新宿ピカデリーほかにて全国公開


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