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「ゴーイング マイ ホーム」は是枝監督、人生の総括 両親の死が作品に与えた影響明かす

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是枝裕和監督
是枝裕和監督 - Photo:Harumi Nakayama

 是枝裕和監督が初めて連続ドラマに挑んだ「ゴーイング マイ ホーム」への思い入れを語り、「役者も良かったし、自分がやりたい形で着地できた。“やり切った“という感じです」と胸を張った。

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 本作は、CM制作会社に務める良多(阿部寛)が、父の病を契機に家族や人生を見つめ直すホームドラマ。劇的なことは起こらない。だが、父が探していたクーナ(小人の妖精)を代わりに追うことになった良多を通して、ダム建設で崩壊したコミュニティーや自然など日本の村社会の縮図をも映し出した奥深い内容だった。

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 「わたしたちが生きていく上で、忘れ去ってなかったことにしている世界がもう一方にあって、そうじゃない所でわれわれはぬくぬくと生きている。この“目に見えない世界を意識しながら生きる”ことをやってみたかった」。

 是枝ファンへのお楽しみもある。劇中登場するCM撮影裏話も、テレビの五輪中継を父親の膝の上で観た思い出も、実体験に基づくもので、是枝監督は本作について、「(自分の人生の)総括かな」と笑う。また本作には、デビュー作『幻の光』から続く、いとしいが厄介な存在でもある家族の問題や、現世と冥界のはざまにある世界も描かれている。

 「両親の死後、描写が具体的になったと思う。『ワンダフルライフ』(1999)のようにファンタジーで描いていた時期は死者が遠かったけど、『歩いても 歩いても』(2007)からは直接的になった。今回は実父の死去後のエピソードも入っていて、(実生活の)影響は大きいと思う」。

 ただし、平均視聴率は7.9%(関東地区ビデオリサーチ調べ)と伸び悩んだ事から、厳しい声もあった。「ここ3年、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員を務めていて、いかに番組が視聴率を気にして作られているかを目の当たりにしてきた。良質な番組を提供しようという意識が企業側にも薄くなったと思うし、番組が質より量で語られてしまう傾向が強くなっている。それは映画も同じ。皆が観ているから観に行こうという流れになっている」。

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 そう苦言を呈する一方で、「でも僕の映画の観客数より圧倒的に今回の方が視聴者数は多い。だから10人に1人でも、何か心に引っ掛かるものがあったという人が居てくれれば良い」と語る。続けて、「また連ドラをやりたいですね。“懲りていない“と言われそうだけど(苦笑)。面白かったなぁ」と再挑戦を誓っていた。(取材・文:中山治美)

ドラマ「ゴーイング マイ ホーム DVD-BOX」(税込み:2万3,940円)、「ゴーイング マイ ホーム Blu-ray BOX」(税込み:2万9,610円)はポニーキャニオンより3月6日発売

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