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原発事故での家族離散を描いたドキュメンタリーが満員の初日…出演者も「皆さんに会いたい」と心境を吐露

原発事故での家族離散を描いたドキュメンタリーが満員の初日…出演者も「皆さんに会いたい」と心境を吐露
本作に出演する元酪農家の(左から)志賀正男さん、ミエ子さん夫妻

 4日、新宿K’s cinemaでドキュメンタリー映画『飯舘村 放射能と帰村』が初日を迎え、満席の観客の前で舞台あいさつが行われた。

 福島第一原発から、30キロ以上離れていながらも、風向きなどから大量の放射能に汚染され、「全村避難」を余儀なくされた福島県の飯舘村。本作は、原発事故により酪農という生業を失い、家族離散に追い込まれた二つの家族に密着。事故後の彼らの生活、そして尽きることのない故郷や家族への思いを、『“私”を生きる』の土井敏邦監督が描き出す。

 この日は、本作に出演する元酪農家・志賀正男さん、志賀ミエ子さん夫妻が福島から来場。壇上に立った志賀さんは「わたしは2度の国難にあいました。1度目は戦争で父を亡くしました。そして今度は原発でふるさとを追われました」と静かに語り始め、「日本の国は北朝鮮と同じだと感じております。今から60年前、原発を推進しようとする人たちの話に反対したなら、もう飯舘村にはいられなかったから」と付け加える。

 さらに20代、30代という若い人たちの50パーセント以上が「飯館村には帰りたくない」というアンケート結果が出たことを受けて、志賀氏は「私は75ですから、私たちが亡くなったら、飯館村はなくなると思います。もう帰ってくる人もおりませんから」とポツリ。

 今、志賀夫妻は、原発事故の影響で、息子夫婦と離れ、数十キロ離れた伊達市でアパート暮らしを余儀なくされている。そんな暮らしを、ミエ子夫人は「知人もいないし、不安なことばかり。これ以上もうこんな生活はいやだと思っておりました」と述懐する。しかし、それでも「なんとか前向きに進まなきゃダメだ」と思い直したミエ子夫人は、ひょんなことから絵手紙と紙人形に出会う。その趣味を通じ、新たな友を見つけ、そして自分の作品に心を癒されている現状だ、と語る夫人の言葉に、思わず涙をぬぐう志賀さん。

 毎日、阿武隈川の川辺を散歩していると、ふるさとを思い出すと語るミエ子夫人。「ふるさとを思うと切ない心境です。向こう3軒、両隣。皆さんに会いたいです。その一心でございます」と絞り出したその言葉に会場からは大きな拍手が起こった。(取材・文:壬生智裕)

映画『飯舘村 放射能と帰村』は新宿K’s cinemaにて上映中


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