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全町避難の富岡町に住み続ける松村さん、国内メディアにタブー視された現状を語る

全町避難の富岡町に住み続ける松村さん、国内メディアにタブー視された現状を語る
福島県富岡町の様子に迫ったドキュメンタリー映画の初日舞台あいさつが行われ中村真夕監督(左)、松村直登さんが出席した

 原子力発電所事故で全町避難となった福島県富岡町にいまも一人残り、動物たちと暮らす松村直登さんを追ったドキュメンタリー映画『ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』の公開初日舞台あいさつが、18日、上映館の東京・新宿K’s cinemaであり、富岡町から松村さんが駆けつけて、中村真夕監督と撮影の経緯や、一人町に残り続ける意図を語り合った。

 富岡町は、福島第一原子力発電所から12キロの位置にある。事故後、全域が警戒区域となり、家畜はすべて殺処分が命じられた。2013年3月の避難区域再編後も、松村さんは「避難指示解除準備区域」となった自宅に一人住み、「帰還困難区域」にある牧場に朝晩通って、動物たちの世話をしている。「避難指示解除準備区域」での居住は原則、認められていない。

 撮影について松村さんは「わたしが富岡に残っているので、国内の新聞やテレビが取材に来るんですが、結局、警戒区域の報道はタブーということで、一つも記事にならなかった。そのあとAP通信が来ると、今度は全部報道され、海外メディアはOKなんだとわかったので、富岡の現状を海外に発信したんです。それを見た中村さんが1年間、月に3,4回くらい、町に通ってくれましたね」と話す。中村監督も「外国の記事で初めて松村さんを知り、国内で報じられない現状はおかしいと思いました。ならば自分で撮るしかないと自動車免許を取り直し、松村さんに心配されつつも、青葉マークで通いました」と振り返る。

 本作を見終えた客席から「国が禁じることを、あえてするのはなぜ?」という質問が出ると、松村さんは「わたしが悪いのか国が悪いのかわからないが、面白くないことには、とにかく意見を言いたいし、自分は間違っていなかったと思います。富岡に住んでいた人はみな、原発事故後、財産をすべて失い、家族もバラバラ。こんなこと、2度と起こってほしくない。文句も言わずに黙っていたら、また同じことが起こるかもしれない」と熱っぽく語る。

 中村監督も続けて「松村さんは“反原発”を声高にいう人ではないし、畜産家でもない。彼が町に動物と一緒にいること自体が、ひとつの“抵抗”なんだと思います。“この町では生き物は生きられません”なんて、人が勝手に決められないし、あの町で命はずっと昔から続いてきた。松村さんは動物と同じ目線に立って、動物とずっと話しているんですね。とても失礼なんですが、わたしは“動物プラス1匹”くらいの感覚で撮影していました。松村さんと動物が、同じ街の同じ目線の住人という感じがいいんです。」と、松村さんの温かい視線を讃えると、松村さんは「富岡町の問題は今後も続くと思いますので、監督にはもう1本(続編を)作ってもらいたい」と呼びかけ、会場からも拍手が起こっていた。(取材/岸田智)

映画『ナオトひとりっきり Alone in Fukushima』は東京・新宿K’s cinemaにて公開 その後全国順次


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