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『渇き。』中島哲也監督の判断で原作から省いたもの

『渇き。』中島哲也監督の判断で原作から省いたもの
中島哲也監督 - Kiyoshi Ota / Getty Images

 映画『嫌われ松子の一生』『告白』の中島哲也監督が、アメリカで公開中の『渇き。』について語った。

 本作は、妻の不倫相手に暴行し仕事も家庭も失った元刑事の藤島(役所広司)が、別れた妻から、娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したことを知らされ、その行方を追うが、容姿端麗で優等生だった加奈子の交友関係をたどるうちに、これまで知らなかった人物像が浮かび上がるというもの。妻夫木聡、二階堂ふみ、橋本愛、オダギリジョー、中谷美紀などが共演。深町秋生の原作「果てしなき渇き」を映画化した。

 原作について「これは深町さんのデビュー作品で、彼自身が作家として身を立てていくことにまだ自信もなく、経済的にもあまり恵まれない中、社会に鬱屈した感情を抱き精神的に荒れていた時期に、原稿に負のエネルギーをぶつけるように書かれたそうです。でも、その中に善ではないですけれど、ある種の人間の真実、人間が生きるという真実がきっちりと描かれている作品だと感じました」と語るとおり、負のエネルギーが満ちあふれているにもかかわらず、人間性に惹(ひ)かれていく。

 小松菜奈の演出について「原作では、小松さんが演じた加奈子という人間の内面が描かれています。でも映画化する上で、その内面の部分をすべて省きました。これは加奈子に関わる周りの人間たちの話であり、加奈子の話をする必要はないという僕の判断です。僕は加奈子という娘を追い求めていく藤島の話と、3年前から出てくる瀬岡の二人を描く映画であると思ったので、なぜ加奈子が悪の道に走ったのかという原作に記されている真の理由は描きませんでした。一本(筋の通った)はっきりとした性格を演じるというよりは、とても気持ちよくその場に居てくれる、相手に対して心地よい存在になる演出をしました」と明かした。

 演技派俳優を殺さずに生かす手法とは「細かいことをガチャガチャ言わずに好きにやらせます。ただ俳優さんに伸び伸びやらせるのは結構難しいです。多くの俳優さんは演技をやりすぎることを怖がります。基本的には抑えた芝居をします。あまり大声で叫んだりしないとか、感情をあらわにしないとか、あの人やりすぎだなぁと思われることを恐れる傾向があります。そんな俳優のベースになる、たがを外してあげるのが僕の仕事です」と説明した。

 最後にアメリカ人の観客には、何もとらわれずに自由に捉えて、感じてほしいと答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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