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シリア内戦、命の危険を冒しても映像を撮る意味とは?

シリア内戦、命の危険を冒しても映像を撮る意味とは?
シリアでの経験を語る石合力氏

 シリア内戦をとらえた衝撃のドキュメンタリー映画『シリア・モナムール』が18日、公開初日を迎え、東京のシアター・イメージフォーラムで、内戦下のシリアに入り取材した経験のある石合力(いしあい・つとむ/朝日新聞国際情報部長)氏がティーチインを行い、紛争下のシリアの厳しい現実や、難民支援のあり方などについて、語りかけた。

 2011年、「アラブの春」に始まる民主化運動がシリアに波及し、42年続いたアサド独裁政権への不満と自由を求める市民の声が、大規模デモに発展すると、これを弾圧すべく、アサド政権は軍事力を行使し、内戦が勃発。市民生活は瞬く間に、凄惨な拷問と虐殺の暗黒時代へと様相を変えた。本作は、内戦の初動をシリアの人々が撮影し、動画共有サイトやSNSにアップロードした映像を基に構成されるドキュメンタリー。パリ亡命中のシリア人監督オサーマ・モハンメドと、激戦地ホムス在住のクルド人女性ウィアーム・シマヴ・ベデルカーンの共同作業で綴られる。

 2012年、国連の停戦監視団とともにホムスに入った石合氏は「停戦などではまったくなく、いつ銃撃されるかわからない状態で、本作に映る街もどす黒い廃墟でしたが、私が見たのもまったく同じ光景。フラッシュバックしてしまいました」と振り返り、「内戦状態とは、例えば東京の港区や世田谷区に反政府勢力が潜んでいるとしたら、市民がいるにもかかわらず、政府がいきなりそこを空爆するような日常です」と説明。さらに初動の2012年から変化し「現在はイスラム国やクルド人勢力も独自の動きを見せ、対立構図は三つ巴、四つ巴の状態。シリアや中東の紛争は、解決の糸口すら見出せなくなっている」という。

 本作の基になった映像もそうだが「命の危険を省みず、なぜシリアの人々は過酷な現状を記録しようとするのか?」と進行役が問いかけると、石合氏は「彼らは、自分たちのこの現実を、世界に知らせてくれと言います。まず知って欲しいのだと。2,200万の人口のうち、450万人が国外に逃れ、国内避難民を含め、1,000万人が家を追われている状況。日本もようやく『留学生』という形で、受け入れを発表しましたが、国際社会からは桁違いの(少ない)数です。難民には人道的対応がもちろん必要ですが、難民を受け入れても問題の根本的解決につながらないという現実の矛盾を、みんなで考えていくしかない」と静かに語っていた。(取材/岸田智)

映画『シリア・モナムール』はシアター・イメージフォーラムで公開 その後全国で順次


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