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刑務所から人種的不平等な歴史に迫る…アカデミー賞最有力候補のドキュメンタリー映画 - ニューヨーク映画祭

自身もアフリカ系アメリカ人のエヴァ・デュヴァネイ監督
自身もアフリカ系アメリカ人のエヴァ・デュヴァネイ監督

 第54回ニューヨーク映画祭のオープニング作品『ザ・サーティーンス(原題) / The 13th』についてエヴァ・デュヴァネイ監督が、9月30日(現地時間)ニューヨークのリンカーン・センターにあるウォルターリード・シアターでの記者会見で語った。

エヴァ・デュヴァネイ監督作『グローリー/明日への行進』フォトギャラリー

 本作は奴隷制廃止を定めた米国憲法修正第13条を題材に、アメリカでの人種的不平等な歴史に迫ったドキュメンタリー。世界の中でもアメリカは最も収監者の多い国で、その多くがアフリカ系アメリカ人であることに着目し、人種に対する恐れと階級の区別、刑務所産業複合体(受刑者が民間企業の労働力として安価に使われ、企業側が高い利益を生む体制)などに触れている。

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 製作の動機について「わたしの最初の2作品がドキュメンタリーであることを知っているNetflixのドキュメンタリー部門の副社長リサ・ニシムラの誘いがあって、彼女から『何かうちのドキュメンタリー部門を通して手掛けたい作品はある?』と聞かれたの。その質問に対して『刑務所に関しての映画を手掛けたい』と答えたわ。なぜなら、わたしの育った環境は、いつも周りで刑務所の話が出ていたから。誰かが刑務所に入所したとか、刑務所にいる恋人に会いに行くなど、わたしの近所ではそんな話を頻繁に耳にした。その後、UCLAでアフリカ系アメリカ人の研究を学んだ際に、本作の基となる黒人の歴史が、わたしが住んでいた貧困者の多い地域と関連していることを知った」ときっかけを語った。

 その黒人の歴史の中でも製作の起点となったのは「刑務所産業複合体(このシステムが、故意に黒人の刑期を延ばしているという見方もある)で、それはいつもわたしの心をかき乱すけれど、興味深い題材でもあって、個人的に、この題材を人々があまり語り合わないことや、数10億ドルも稼ぐ大会社が、黒人やわたしのコミュニティーからそんな形で利益を得ていることに怒りを覚えた」と答えた。

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 アーカイブ映像を中心とした構成について「それは、プライドを捨てるくらいひどく大変な過程だった。構成では、自分が要求している映像をパズルのように当てはめていくことはできるけれど、(観客の感情を引き出すために)アーカイブ映像をあえて操作することはできない。そのため、使用するアーカイブ映像をなるべくカットせずに(当時の撮影者の意図をくんで)編集したけれど、本作のペース配分もあるため、その作業が大変だった」と振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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