『カメ止め』に続く!日本の低予算映画がイタリアで快挙
日本の低予算サスペンス映画『メランコリック』が現地時間4日、イタリアの第21回ウディネ・ファーイースト映画祭で、新人監督作品の中で最も優れた映画に贈られるホワイト・マルベリー賞に輝いた。
北イタリアのウディネで毎年行われる同映画祭では、イタリアであまり観る機会のない東アジアや東南アジア各国の映画を上映。昨年は、日本で公開されて大ヒットする前の『カメラを止めるな!』が上映され、観客賞第2位にあたるシルバー・マルベリー賞を獲得したことでも注目される。
『メランコリック』は、これが長編初作品となる新人監督・田中征爾(せいじ)がオリジナル脚本を手掛けた自主制作映画。東京大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦は、たまたま訪れた銭湯でバイトを始めることになるが、その銭湯は閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。
昨年の東京国際映画祭では、日本映画スプラッシュ部門(独創性とチャレンジ精神にあふれる作品を監督のキャリアを問わず紹介する部門)に出品され、監督賞を受賞した同作。田中監督は平日、IT系のベンチャー企業で働いているため、撮影は金曜の夜から日曜の昼間までを使った計10日間で行われた。ウディネ映画祭には田中監督と、主演・プロデュースを務めた皆川暢二(ようじ)が参加した。
審査員を務めたフレディ・ボッツォ氏は「審査員3人とも合意しました。製作費300万円、5週間の週末だけで作ったと聞きましたが、映画からエネルギーが感じられました。彼らはこれからさらに大きくなると思います」と絶賛。
すでに帰国していた田中監督は「人生で初めての海外映画祭で評価をいただいた事、本当に嬉しく思います。映画祭期間中も現地で楽しく過ごす事ができ、また心からこの映画祭に戻ってきたいなと、そのためにまた面白い映画を作りたいと思います。8月からの国内劇場公開へ向けて素晴らしいスタートが切れました!」と喜びのコメントを寄せた。(取材・文:編集部・中山雄一朗)