ピクサー天才監督、名作を生むアイデアの源とは?『ソウルフル・ワールド』の原点
12月25日から「Disney+ 」(ディズニープラス)でサブスク配信がスタートするディズニー&ピクサーの『ソウルフル・ワールド』。『モンスターズ・インク』(2001)を手掛け、現在はピクサー制作部門のトップ・CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)を務める、ピート・ドクターの5年ぶりとなる監督作だ。この世に生まれる前の魂(ソウル)をテーマにしたユニークな世界観は、監督が、人生のふとした瞬間に感じた疑問から生まれたという。
ピクサー初期メンバーの一人として、1990年代から同社の創造性を支えてきたピート・ドクター。『モンスターズ・インク』をはじめ、アカデミー賞に輝いた『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)、『インサイド・ヘッド』(2015)といった名作のアイデアは、彼が日常で感じた思いや体験がベースになっており、人生において誰もが経験するようなテーマで共感を呼んできた。
『モンスターズ・インク』の怖がらせ屋のマイク&サリーと人間の女の子・ブーの物語は、監督が子供の頃に感じていた夜への恐怖から生まれたという。また、亡き妻との約束を果たすために、風船を付けた家で旅立つ老人を描く『カールじいさんの空飛ぶ家』では、カールのキャラクターを考案するにあたって、自らが敬愛する祖父をカールのモデルとして取り入れた。そして、11歳の女の子の頭の中を舞台に、キャラクター化された感情たちが冒険を繰り広げる『インサイド・ヘッド』は、監督が、実際に11歳を迎えた娘の変化を目の当たりにしたことで生まれた作品だった。
そんな監督の新作『ソウルフル・ワールド』は、ニューヨークでジャズピアニストを目指す音楽教師ジョーが、マンホールに落ちたことで、生まれる前の魂(ソウル)たちの世界に迷い込み、何百年も「やりたいこと」が見つけられないソウル・22番と出会う物語。一見、日常とは縁がなさそうな世界観だが、本作もやはり、子供たちを見てわいた疑問から生まれた物語。監督は「本作の原点は、子供の性格の違いだった。僕には2人の子供がいるんだけど、同じ遺伝子を引き継ぎ、同じ環境で育っているのに性格が全く違うんだよ。そこに興味を持って物語にしたいと思ったんだ」と語っている。
「やりたいことなんてない」と語るソウルの女の子・22番と「夢を叶えたい」ジョーの物語。2人が追う、人生において一番大切なことは、どんなメッセージを観客に届けるのか。(編集部・入倉功一)
映画『ソウルフル・ワールド』は2020年12月25日よりディズニープラスで配信開始