『トップガン』だけじゃない!若きトム・クルーズに惚れる映画6選
『トップガン マーヴェリック』が世界中で大ヒット、60歳を迎えても変わらないカッコよさを見せつけてくれたトム・クルーズ。そんな彼は、若い頃はどんな映画で、どんなカッコよさを発揮していたのか。若き日のトムの魅力が光る映画6選を紹介する。(文:平沢薫)
『卒業白書』(1983)
撮影時20歳ごろのトムが、まだ純心な高校生男子を演じる青春コメディー。高校生ジョエルは、両親が旅行に出かけ、一人で留守番をすることに。友達のイタズラからコールガールのラナと出会い、壊してしまった父親のポルシェの修理費を稼ぐため、自宅に自分の友人たちとラナの同業者たちを集めて一儲けしようと考える。
この頃のトムは今以上にお肌がピカピカ。仲良し高校生男子たちとジョークを言い合ったり、コールガールに振り回されたりする姿も初々しい。本作の有名シーン、トムが両親がいなくなった家で開放感を爆発させ、ワイシャツにブリーフ姿でロックに乗って口パクで踊りまくる場面は、今見てもインパクト大!
『ハスラー2』(1986)
若き日のトムが、ベテラン俳優ポール・ニューマンの主演作に出演し、弟子と師匠の物語を演じる男のドラマ。舞台はプロのビリヤードの世界。今は引退した凄腕プレイヤー、エディは、才能はあるが賭け試合の儲け方を知らない若きプレイヤー、ヴィンセントと出会い、彼の師匠となって儲け方を伝授していく。しかしエディは、ヴィンセントが金儲けよりも勝負をする喜びに夢中になる姿に刺激を受けて、プレイヤーに復帰。やがて二人はライバルとして対決することになる。
落ち着いた大人のニューマン、若くエネルギッシュなトムという対比で、二人がそれぞれの魅力を発揮。ニューマンは、本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。ヴィンセントが師匠の言いつけに反抗するときの、どこかに甘えもあるような立ち振る舞いは、若い頃のトムならではの魅力だろう。二人の役柄の関係性が、俳優として先輩後輩でありライバルでもある実際の二人の姿とも重なって見えるのも味わい深い。
『カクテル』(1988)
1980年代の景気のいい雰囲気、ニューヨークのイーストサイドのオシャレなバー、人気の波に乗っているトム・クルーズの相乗効果で、ノリのイイ青春ドラマ。兵役を終えたブライアンは100万ドル稼ぐことを目標に大都会NYへ行き、学校でビジネスコースを学びながら、夜はバーでバイトをするが、やがてバーでの仕事の方が本業になっていく。
トムがバーのカウンターの中で、ボトルやシェイカー、グラスなどを使ってダンスのような華麗なパフォーマンスでカクテルを調合するシーンが見もの。本作のトムは少々お調子者で、就職の面接で落とされたり、恋人がいるのに友達の賭けに乗ってナンパしたり、怒った恋人に頭から料理をかけられたり、なさけないシーンも多いのに、そんな場面でもまったくカッコ悪くならないのは、さすがトム。
『デイズ・オブ・サンダー』(1990)
トム自身が原案に参加し、自分に似合う役は何かを追求した本作は、彼が天才肌のカーレーサー役で主演する、スポーツ感動作。レースの腕はいいが、生意気で野心家の無名のレーサー、という設定だけで、トムに似合うに決まっている。彼は、父に騙された経験から人を信じることが出来なかったが、ベテランの名メカニック、ハリーと出会い、衝突しながらも、レースのために互いに信頼し合うことを学んでいく。
『トップガン』のトニー・スコット監督が描く迫力のカーレース、そこで疾走する主人公は、コミックのキャラのようなカッコよさ。事故後の彼を治療する医師役で、後にトムと結婚するニコール・キッドマンが共演しているところも要チェック。主人公のライバルであり、やがて友人となる名レーサー役で、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヨンドゥ役で人気者になるマイケル・ルーカーが共演しているのもオイシイ。
『ア・フュー・グッドメン』(1992)
トムには軍服がよく似合う。それを証明するのがこの映画。トムが演じるのは、海軍中尉であり、軍内部の裁判の弁護士である主人公キャフィ。ラフな格好で弁護士仲間と相談する場面が多く、野球ファンという設定で野球をするシーンもあるが、裁判に出廷するときの軍服姿がビシッと決まって、ダントツのカッコよさ。
もう一つの見どころは、ベテラン俳優ジャック・ニコルソンとの一騎打ち。この頃まではトムがベテラン俳優と共演するときは、協力者的な関係が多かったが、今回は敵。法廷で1対1で対決するシーンのトムの、上官にも決して屈しない、さっそうとした姿は見逃せない。
キューバの米軍基地で、ある兵士が殺害される事件が発生。被疑者となった兵士2人は、上官の命令に従ったと無罪を主張し、トム演じる主人公が、裁判で彼らを弁護することになる。それまで司法取引しかしてこなかった要領のいい主人公が、裁判によって大切なものを知って変わっていくさまをトムが演じ切る、成長ドラマにもなっている。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)
トムが、熱血漢だけでなく、耽美派もイケることを証明したのが本作。原作は、米人気作家アン・ライスのヴァンパイア小説。18世紀末から現在まで生きてきたヴァンパイアの青年ルイが、インタビューを受け、自分をヴァンパイアにした吸血鬼レスタト、彼が吸血鬼にした幼い美少女クローディアとの物語を語りだす。レスタト役はトム、ルイ役はブラッド・ピットという豪華共演も話題を集めた。
この作品のトムについては、原作者アン・ライスとの有名なエピソードがある。ライスはトムのレスタト役が発表されたとき、トムは自分のイメージと違うと批判した。しかしトムは、この役のために大幅に減量し、いつもの彼のイメージとは違う、金髪の妖艶なヴァンパイアを演じてみせる。すると、映画を観たライスは前言を撤回し、トムのレスタトを絶賛。この映画のトムは、原作者も認める美しさなのだ。批判に負けず、それを跳ね返す役づくりをしてみせたところもカッコいい。
こうして出演作を振り返ると、トムが若い頃からいろんなカッコよさを発揮していたことがよく分かる。そのカッコよさは、来年公開の『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作でもきっと変わってないのに違いない。