10月22日から30日まで開催されていた第24回東京国際映画祭で、コンペティション審査委員を務めた中国の美人女優ファン・ビンビンが、第20回東京国際映画祭の提携企画として行われた「2007東京・中国映画週間」から4年、ついに「評価される側」から「評価する側」へと転じ、震災後初めて訪れた日本の印象や、審査のため1日3本の映画をハシゴした、楽しいけれどちょっぴりつらい(!?)体験について明かした。
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普段は撮影に追われ、なかなかじっくりと映画を観るチャンスに恵まれないというファンは、「今回審査員として東京国際映画祭に参加できて、とてもうれしいです。とても意義のある仕事だと感じています」とその心境を披露。東日本大震災の後、来日することに対しての迷いはまったくなかったそうで、「こんな大きな苦難を乗り越えてがんばっている映画祭のスタッフの方々、そして日本の人々の姿に感動しました」と力強く答えた。
いつもは女優として演じる立場にいる彼女だが、作品に評価を下すことに関してはプレッシャーもなく、作品もとても素晴らしいものばかりだったので貴重な体験ができたとか。今はようやく審査を終え、それぞれの作品にふさわしい賞を選び、贈ることができたと自負しているそうだ。だが、いくら世界各国の素晴らしい映画や、俳優たちの名演が堪能できたとはいえ、やはり毎日朝10時から夜の18時までの間、1日3本の映画を観るのはちょっとつらかったと苦笑する。彼女自身は岩井俊二監督の映画が大好きでよく観ていたとのこと。今年審査員特別賞を受賞した『キツツキと雨』に出演していた、役所広司と小栗旬の演技が秀逸だったといい、「もし機会があればぜひ二人と一緒に仕事をしてみたい」と語った。
女優という職業は、外から見ると華やかに見えるかもしれないが、実際は大変な努力が必要だという彼女、そのつらさを一般の人にはなかなかわかってもらえないのが切ないところ。確かに、完ぺきなまでに美しい彼女を見ていると、たゆまぬ努力が必要なことはよくわかる。その美しさを保つ秘訣(ひけつ)はと尋ねると、「もし一つだけ挙げるとしたら、それは『怠けないこと』です」と至極当然ともいえる答えが返って来た。「肌を美しく保つためには、普段から常に自分の肌にいいものを与え、なるべく日焼けをしないようにしたりして、自分が肌をきちんと愛してあげれば、肌もきれいになろうとその分だけ愛を返してくれるんですよ」とニッコリ。そして、日本の化粧品が好きで、来日する度にドラッグストアなどでいろいろと物色しては買って帰るのだとも明かした。
礼儀正しくまじめな日本のファンに対しては、「もっともっといい作品を作って皆さんに観てもらいたいと思っています。日本のファンの方々を含め、皆さんが幸せであるように心から祈っています」とメッセージを贈った彼女。今後もチェン・カイコー監督の『運命の子』や、ジャッキー・チェンとも共演した『新少林寺/SHAOLIN』など話題作の公開がめじろ押しのファンから目が離せない。(取材・文:平野敦子)
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10月30日まで東京・六本木ヒルズをメイン会場に都内の各劇場などで開催されていた第24回東京国際映画祭が閉幕した。六本木ヒルズ・アカデミーヒルズ49のスカイスタジオで、審査委員たちが総評を行ったほか、審査員特別賞を受賞した映画『キツツキと雨』の沖田修一監督など、受賞者たちが報道陣からの質問に答えた。
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邦画唯一のコンペティション部門出品作品となった『キツツキと雨』の沖田監督は、役所広司や小栗旬との仕事を振り返り、「やりやすい俳優さんでした。特に二人とも脚本を気に入ってくれていたので、一緒に相談しながら撮影を進めることができました」とコメント。そして、いつもオドオドしていて、自分に自信が持てない25歳の映画監督の役を小栗が演じていることについて、「自分の経験?」と質問されたが、「確かに自分の経験は反映されていますけど、設定として25歳の映画監督というのはあまりないかなと思って、それを面白がって作品を作ったという感じです」と本作を作ったきっかけを明かした。本映画祭では、邦画唯一のコンペ作品となる本作だったが、その重圧から解放されたのか、会見ではリラックスした表情の沖田監督だった。
今回の審査結果についてエドワード・R・プレスマン審査委員長は、「今回の選択については、満足している。審査委員みんなが大変熱い意見を持っていて、忌憚(きたん)のない意見交換をした」と振り返った。また今年は、マイケル・ウィンターボトム監督の映画『トリシュナ』、セドリック・カーン監督の『より良き人生』、トニー・ケイ監督の『デタッチメント』と、世界的に有名な監督たちの力作がコンペに選ばれていた。そんな中で、黒人少年たちが暴力ではなく、精神的に追い詰める「カツアゲ」行為を白人少年たちに向かって行う姿を描いた『プレイ』のリューベン・オストルンドが最優秀監督賞に選ばれた。人間が抱く恐怖や偏見をえぐり出した作品について、プレスマン審査委員長は「確かに『トリシュナ』『より良き人生』『デタッチメント』などは賞に見合うものであった。しかし審査委員全員が気に入ったのは『プレイ』だったんだ」と明かす。
最終的にグランプリ候補は、『プレイ』『キツツキと雨』『最強のふたり』の3本に絞られたという。「『キツツキと雨』はグランプリにするには軽すぎないかという意見があり、『プレイ』は逆にダークすぎないかという意見になりました。相対的に考えて『最強のふたり』がグランプリにふさわしいとなった」とその経緯を明かす。本年度「東京 サクラ グランプリ」を受賞したフランス映画『最強のふたり』は、車いす生活を送ることを余儀なくされた大富豪と彼の介護人であるアフリカ系青年の交流をユーモアたっぷりに描いた感動作。審査委員のキース・カサンダーは「あの作品は編集がうまかったし、音楽もすばらしかった。コメディーは作るのは難しく技術がいるが、わたしは冒頭から笑いっぱなしだった。二人の俳優もすばらしかった」と称賛。
カサンダーが「今年のコンペは粒ぞろいだった」と振り返る通り、突出した作品がなかった代わりに、平均的な水準が高かった今年の東京国際映画祭コンペティション部門。来年はどのような作品が映画ファンを楽しませてくれるのか、今から楽しみだ。(取材・文:壬生智裕)
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第24回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが30日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、日本からコンペティション部門に唯一出品された映画『キツツキと雨』が審査員特別賞を受賞した。同賞を日本映画が受賞するのは、昨年の新藤兼人監督の『一枚のハガキ』に続き、2年連続の快挙。最高賞にあたる「東京 サクラ グランプリ」はフランス映画『最強のふたり』が選ばれた。
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東日本大震災以降初の開催となったこともあり、「信じよう。映画の力。」をテーマに掲げた今年の同映画祭。邦画唯一のコンペティション出品作となった『キツツキと雨』は見事、審査員特別賞を受賞した。登壇した沖田修一監督は邦画唯一の出品ということでプレッシャーを感じていたようだが、「いろいろな人から頑張ってくださいと言われたんですが、もう映画はできているので頑張りようがないんです」と思わず本音を漏らし、会場から笑いが出る場面も。同映画祭でワールド・プレミアを迎え、「(作品が上映されたときに)観客が笑ってくれたのでうれしかった」と手応えを感じていたことを明かすと、「なので、もう賞はいらないと思っていたんですが、やはり無心ではいられなかったですね。地方ロケを行ったので、たくさんの人を借りて作った映画だと思っています」と映画に関わったすべての人々に感謝の念をささげていた。
また、最高賞にあたる「東京 サクラ グランプリ」を受賞したのはフランス映画『最強のふたり』。車いす生活を送ることを余儀なくされた大富豪と彼の介護人であるアフリカ系青年の交流をユーモアたっぷりに描いた同作からは、フランソワ・クリュゼ、オマール・シーが主演男優賞もW受賞しており、文句なしの最高賞受賞となった。フランスでの劇場公開を2日後に控えているということもあり、残念ながら主演の二人、そしてエリック・トレダノ監督、オリヴィエ・ナカシュ監督は欠席となったが、それぞれメッセージという形で受賞の喜び、そして審査員たちへ感謝を表した。同作を楽しんで制作したという監督の二人は、「何か月か後に日本で劇場公開されるときは、必ず来日します。これは約束というよりも責任です」とコメントし、これには会場中から大きな拍手が送られた。審査委員長のエドワード・R・プレスマンは、今年の傾向として「移民と移民のぶつかりあい」があったことを述べると、『最強のふたり』については「(立場や人種の違う二人が)ぶつかりあいながらも、調和と喜びを見つける過程を見事に描いていました」とまさに今年の同映画祭を代表する作品だと絶賛した。
今年の同映画祭は、コンペティション部門の審査委員長を映画プロデューサーのエドワード・R・プレスマンが務め、審査員を女優のファン・ビンビン、キース・カサンダー、レイコ・クルック、そして映画監督の小林政広が務めた。9日間行われた同映画祭の延べ来場者数は4万1,648人、上映作品数128本、総上映回数は315回、TIFFCOM、共催・提携企画動員数は17万2,231人、初日のグリーンカーペットを含むイベント参加者は約2万人と、例年以上に盛況だった様子。また、3月の震災を受けて展開された「TIFF ARIGATOプロジェクト」では、総額113万5,945円が集まったことも発表された。
また、授賞式後には、公式クロージング作品『マネーボール』の舞台あいさつも実施され、同作で監督を務めたベネット・ミラーと、プロデューサーのレイチェル・ホロヴィッツが登壇。ミラー監督は、同作が映画祭を締めくくる作品に選ばれたことについて、「本当に光栄です」と今の率直な気持ちを述べると、これから本作を観ることになる観客に向かっては、「わたしたちがいろいろと言うよりも、何よりもまず作品を観てもらいたいですね」とメッセージを送った。(編集部・福田麗)
今回の受賞結果は以下の通り。
「コンペティション部門」
●東京 サクラ グランプリ
『最強のふたり』(エリック・トレダノ監督、オリヴィエ・ナカシュ監督/フランス)
●審査員特別賞
『キツツキと雨』(沖田修一監督/日本)
●最優秀監督賞
リューベン・オストルンド 『プレイ』(スウェーデン、デンマーク、フランス)
●最優秀女優賞
グレン・クローズ 『アルバート・ノッブス』(アイルランド)
●最優秀男優賞
フランソワ・クリュゼ、オマール・シー 『最強のふたり』(フランス)
●最優秀芸術貢献賞
『転山』(ドゥ・ジャーイー監督/中国)
『デタッチメント』(トニー・ケイ監督/アメリカ)
●観客賞
『ガザを飛ぶブタ』(シルヴァン・エスティバル監督/フランス、ベルギー)
●「TOYOTA Earth Grand Prix」
『鏡は嘘をつかない』(カミーラ・アンディニ監督/インドネシア)
●「TOYOTA Earth Grand Prix」審査委員特別賞
『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』(ヴェルナー・ヘルツォーク監督、ドミトリー・ワシュコフ監督/ドイツ)
「アジアの風部門」
●最優秀アジア映画賞
『クリスマス・イブ』(ジェフリー・ジェトゥリアン/フィリピン)
●スペシャル・メンション
『TATSUMI』(エリック・クー監督/シンガポール)
『鏡は嘘をつかない』(カミーラ・アンディニ監督/インドネシア)
『ラジニカーントのロボット(仮)』(S・シャンカール監督/インド)
「日本映画・ある視点部門」
●作品賞
『ももいろそらを』(小林啓一監督/日本)
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30日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて第24回東京国際映画祭観客賞授賞式が行われ、シルヴァン・エスティバル監督の『ガザを飛ぶブタ』が観客賞を受賞した。授賞式にはエスティバル監督と女優のミリアム・テカイアが出席し、涙ながらに喜びを表現していた。
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本作のエスティバル監督と女優のミリアム・テカイヤが登壇すると、会場を埋め尽くした観客からは大きな拍手が。長編監督デビュー作で受賞という快挙を成し遂げたエスティバル監督は、開口一番「コンニチハ。アリガト」と日本語であいさつ。受賞については、「初めての日本で、初めての映画が初めての映画祭に出品され、それが初めての受賞になるとは本当に光栄です。これ以上の賞はないと思っているので、本当にうれしいです」といまだ信じられない様子。同作はイスラム文化をテーマにしているため観客に受け入れられるかという不安もあったというが、「この映画は日本からはすごく遠い場所で撮影されました。だから、ここ日本でこんなにも支持を受けたことは、この作品が普遍的な映画であると認められたようで、とても喜ばしいことです」と今回の受賞に力づけられたことを明かしていた。
また、同作に出演しているミリアムは登壇するなり目に涙を浮かべており、「アリガト」とコメントする声もうわずり気味。「日本に来るというのは夢でしたが、このような形で来るとは思いませんでした」と語る言葉こそ少なかったものの、喜んでいることは誰の目にも明らかであり、コメント途中では涙を流す場面も見られた。
前回までとは異なり、今回は授賞式の後に一般客を対象にした上映が行われることになった観客賞。そのため授賞式も、これから作品を観る一般客を前に行われた。それだけに、これから作品を観る観客は、期待のまなざしで監督たちがトロフィーを受け取る様子を見守るなど、終始、授賞式は温かなムードで執り行われていた。
『ガザを飛ぶブタ』は、2007年の本映画祭グランプリを受賞したイスラエル映画『迷子の警察音楽隊』で、印象的な演技を見せたサッソン・ガーベイ主演の社会派コメディー。イスラムで不浄なものと見なされている豚を釣り上げてしまったパレスチナ人漁師のパニックぶりが楽しい作品に仕上がっている。シルヴァン・エスティバルは本作が長編映画監督デビュー作であり、本映画祭がインターナショナル・プレミア上映となった。
今月22日の開幕以来、多くの上映・イベントが行われた同映画祭も本日が最終日。この後は東京サクラグランプリをはじめとする各賞が発表されるクロージング・セレモニーのほか、公式クロージング作品『マネーボール』ゲスト舞台あいさつ、受賞者記者会見が行われる予定となっている。(編集部・福田麗)
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29日、現在開催中の第24回東京国際映画祭特別招待作品『コーマン帝国』舞台あいさつがTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、B級映画の帝王と呼ばれたロジャー・コーマンが85歳にして、4回目の来日を実現、インディペンデント映画界の「神」の降臨に映画ファンは熱狂の渦に包まれた。
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フランシス・フォード・コッポラ、ジョナサン・デミ、マーティン・スコセッシ、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ、ピーター・フォンダなど、若き才能をいち早く発掘してきたロジャー・コーマン。アクション、お色気、SF、ホラーといった数々の傑作、珍作、快作を圧倒的なペースで量産し続け、85歳となった現在でもなお現役。2009年にはアカデミー賞名誉賞を受賞するなど、インディペンデント映画界の「神」として世界中の映画人に尊敬されている。そんな生きる伝説ともいえるロジャー・コーマンに会いたいと集まった満員の観客は、コーマン監督の登場に大歓声。
そんな彼が映画の裏方ではなく、「被写体」としてその半生を振り返るのが本作だ。「不思議な体験でしたね。いつもはカメラの裏側にいるのに、今回は俳優になっている。ただし、撮影のときには、監督にこうしたら? と意見を言いたい気持ちがこみ上げてくるが、いやいや、自分は監督でないんだからとその気持ちはこらえて、俳優に徹しました」と明かすコーマン監督だが、完成した映画については「とても気に入っているよ」とお墨付きを与えていた。また、コーマン監督の奥さんであり、仕事上のパートナーでもあるジュリー・コーマンは「フランスでは、この映画の中になんで(『断絶』などで知られる)モンテ・ヘルマンが入ってないんだという人がいたんですけど、彼は400本以上映画を作った人ですから。すべての映画に言及するのは無理ですよ。ただ、本作にはDVD用の6時間の特典映像があるので、そちらにはモンテ・ヘルマンは入っていますよ」と笑いながら本作をアピールした。
「この国は大好きです。東京も大好きだけど、京都にも妻と一緒に2回行った。実に美しい都市です」と日本への賛辞を口にするロジャーは今回4回目の来日となる。実は黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』をコーマン監督が配給したという縁から、映画監督の黒澤明とコーマン監督は友人関係だったという。「実は昨日行ったのが『黒澤』というレストランだったんだ。(若き日のジェームズ・キャメロン監督が特撮にかかわっていた1980年の映画)『宇宙の7人』はかなり『七人の侍』を意識しているんだ」と笑顔で語っていた。
セックス、バイオレンス、ホラー、SF、西部劇、ロックンロールなどジャンルを問わないエネルギッシュな映画を生み出してきたコーマン監督だが、その素顔は非常に穏やかでソフトな語り口のジェントルマン。会場の観客は、彼の話を一言も聞き逃すまいと、前のめりになって彼の話に耳を傾けていた。(取材・文:壬生智裕)
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