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『スパイ・ゾルゲ』上海ロケ取材

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監督は引退するけど、このデジタルセットで今度「戦艦ヤマト」なんてやりたいな
本作品をもって監督業を退くと公言した篠田監督。夫人で今回もキャストとしても名を連ねている岩下志麻さんは最後を見届けるといった意味で自ら撮影風景をカメラにおさめメモリアルビデオを製作するそうだ。これで引退と、しんみりする取材陣に、「これが終わったら戦艦ヤマトを撮りたいんだ」という監督の言葉に仰天。しかし、プロデューサーとしてとの監督のフォローに一同納得。

撮影はどのように進んでいますか
僕は今、フィルムでもなければ、ビデオテープでも撮っていないんですよ。映像は全てデジタルデータになっています。このシステムで撮影しているのは、僕とジョージ・ルーカスの『エピソード2』ぐらいです。今回はこんなおおがかりなロケをやってはいますが、CGも多様するんです。それでデジタルでやる必要があった。この体験は僕も初めてで毎日不安と驚きが入り交じっています。監督としてはこの作品で終わるけど、今度プロデューサーとしてこの技術で戦艦ヤマトなんか撮れたらいいなと思ってるんです。


特撮も多いのですか?
上海では、全く必要ないんですよ。この撮影所に全て揃ってるんで。でも1930年の銀座の街は今となっては服部時計店ぐらいしか残っていないので、このあたりはうまくCG技術を使うんです。東京の街は全部 CGとハイパー・リアリズムの絵で描かれているんですよ。今回はこの上海での実際の建物を使ってのロケと東京でのフルCGのシーンとこのへんのバランスがどう映像にでるのか、ブルー・バックにどういった芸術が描かれるのか、楽しみでもあります。
監督はこの作品で引退されるそうですがセンチメンタルではないですか?
この技術をどうやって後の世代に伝えるか、そのんなことや、いろんなことで頭がいっぱいで、とてもそんな気持ちにはなってないです。僕はこの現場で学んだことを全て若い世代に伝えていきたいと思ってるんですよ。でもね、撮影が終わったら一気にガクンとくるんですよ。きっと。


ゾルゲ役のイアン・グレンはどうですか?
日本で撮影が終わって帰る時彼は泣いていましたね。日本は本当にすばらしかった。日本の技術の高さと現場の豊かさに感動していたようです。イアン・グレンという名前を見つけたのはYahoo!でなんですよ。最初レイフ・ファインズが候補だったんです。しかし、僕と同時期にオリバー・ストーンからもオファーがあって、オリバー・ストーンのほうは明るいコメディーだったんですよ。それと比べると僕のほうはテーマが暗かったんで、イメージアップしたい彼は向こうを選んだんだね。きっと。その後、いろんなエージェントから俳優の候補が挙がったんだけど、結局は僕がYahoo! でイアン・グレンを検索して、彼がひっかかったんですよ。よく見ると本当にぼくがイメージしてたゾルゲにそっくりで、彼が『トゥーム・レイダー』出ていることを知って映画を観に行き、彼しかないと思ったんです彼に脚本を送ると彼はすぐにOKをくれたんです。彼は舞台俳優でもあるのですが、とても映画的な演技法を知っています。


どんな人にこの映画を観てほしいですか
ぼくはこの映画は日本の新聞記者にささげたいですね。言論の自由というのがどれほど重要なことかというのを認識してほしいです。自分が少年時代に教えられた言葉の数々は完全にコントロールされていた。だれもが言論の自由を守れなかった。僕は今でも言論の自由を制限するようなやつらがいたら吊るし上げてやろうと思っているほどです。


本木雅弘さんについて

堂々としていますよ。2人とも現場にやって来る時は台本は持ってこないんだ。全部頭に入ってるってことなんだね。2人でね、4時間位ディスカッションとか平気でやっていますよ。以前、僕が郷ひろみで『舞姫』を撮った時、彼は素晴らしいドイツ語を披露してくれてびっくりしたんだけど、今回の本木くんの英語も素晴らしいと思った。ただ、僕はあまりうまくしゃべるな、と言ったんですよ。この時代の日本人がそう流暢に英語をしゃべるのも不自然だと思ったので。


岩下志麻(篠田監督夫人)さんは今回上海へはいらっしゃってないのですか

病気になっちゃって……。連続ドラマの主役になっちゃたものだから彼女大変なんだ。自分では張り切って成田まで来たんだけど、体調が悪くてUターンしました。


この作品を通して若い世代に伝えたいこと
平成という時代がポツンとあるのではなく、昭和という隣接した時代があるんだということを感じてもらいたい。ゴジラと同じ感覚で観てもらってもかまわないんだ。日本の最新の技術で作られたゾルゲを観てほしい。その景色を観ているうちに人間が思想だけで処刑されるそんな時代があったんだということを、そしてそういう時代がもう終わったんだということが伝わればいいと思います。

 

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