シネマトゥデイ

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チェック:巨匠スティーヴン・スピルバーグによる、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの伝記ドラマ。奴隷制の廃止と禁止を強固なものにし、泥沼化した南北戦争を終結させるため、憲法の修正に挑むリンカーンの戦いを重厚なタッチで映し出していく。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などのダニエル・デイ=ルイスがリンカーンにふんし、国と人民の未来をめぐる理想と現実に苦悩する彼の胸中を見事に体現。『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョセフ・ゴードン=レヴィットら、脇を固める実力派の妙演も見逃せない。

ストーリー:エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し……。

リンカーン
(C) 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC

映画短評

  • 清水 節
    引き裂かれたアメリカという「家族」が1つに戻るまで
    ★★★★
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     いわゆる偉人の伝記映画を想像してはいけない。少年期の逆境、大統領選の勝利、南北戦争の修羅場さえ殊更に描かない。ゲティスバーグの演説も音声処理のみ。暗殺の瞬間すらないのだ。

     『ミュンヘン』で組んだ脚本家トニー・クシュナーを起用してスピルバーグが描いたのは、リンカーン最後の約4ヵ月。奴隷制廃止を公のものとするために必要不可欠だった、合衆国憲法修正第13条を成立させるための約1ヵ月に、集中的に時間を割く。
     
     彼の人と成り、妻や息子との確執、そして最大の功績は、この過程に集約されると捉えたラディカルな構成に、まず酔いしれる。炙り出されるのは、孤独なリーダー像であり、多数決という民主主義のシステムを利用し工作も行った、剛腕政治家のしたたかな側面だ。
     
     迷いながらも理想を追い求め、「父性」を目指すドラマでもある。かつてマザーシップに抱かれ、妻子を置去りにして宇宙へ旅立ったスピルバーグ、成熟の極み。引き裂かれた「アメリカ=家族」が1つに戻るまでを丹念に描き出すという意味において、紛れもなくスピルバーグ映画なのだ。

  • 相馬 学
    人間=リンカーンの面白さ
    ★★★★
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    スピルバーグの手による伝記映画が単なる美談に終わらないことは映画ファンの常識。一見偉人を描いたかに見える『シンドラーのリスト』のユダヤ人の救世主は山師の側面が強いし、『ミュンヘン』のテロリストも意外に小市民だった。かといって、それがマイナスイメージにならず、むしろキャラクターがより好きになる、そんなバランス感覚こそスピルバーグ製伝記映画の魅力。『リンカーン』も例に漏れず、尊敬される大統領エイプラハム・リンカーンの策士ぶりや、家庭人としての不完全さなどの側面に人間臭さが垣間見える。

  • 森 直人
    リーダーシップをめぐるパワーゲームの「構造」を描く
    ★★★★
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    本年度のアカデミー賞では堅い本命かと思いきや、意外なほど振るわなかったスピルバーグ作品(最多12部門ノミネートながら、受賞は2部門のみという結果)。確かにものすご~く地味(笑)。あの有名なゲティスバーグ演説すら出てこない。いわゆる定型の偉人伝にすることは避け、ジョン・フォード監督の『若き日のリンカーン』(1938年)とは逆に扱っているのは晩年のみ。しかも政治家同士のパワーゲームに話を絞っている。つまりリンカーンの生涯を神話化するのではなく、“戦略の達人”の面を強調することで優れたリーダーシップをめぐる「構造」を描いたのだ。歴史の美化ではなく、現実法則をフラットに見据えた秀作だと思う。ただしそのぶん、憲法改正のための後ろ盾に利用されたり、「目的のためなら手段は選ばず」という強行姿勢を正当化する危うさも含んでいるわけだが。

  • くれい響
    タイトルで損をしている部分多し
    ★★★★★
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    誰がどう見ても、今年のオスカーを総ナメしたっておかしくなかったアメリカ人のためのアメリカ映画。日本人におなじみの描写よりも、修正法案成立までの道のり中心を描くという展開は斬新ではあるものの、やはり日本公開の際にはタイトルを変えるべきだったし、このタイトルでかなり損をしたことも事実。民主党と共和党の関係性など、ある程度はアメリカ史を知っていないと楽しめなく、日本人にとって「映画を見て学ぶ」というより、「事前に学んでから見る」タイプの映画になっているのもマイナスポイントだろう。ただ、どこかキュートなトミー・リー・ジョーンズら、俳優陣の演技は神がかっているので、長尺も気にさせない。

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