シネマトゥデイ

チェック:『誰も知らない』などの是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ。順調で幸せな人生を送ってきたものの、運命的な出来事をきっかけに苦悩し成長する主人公を、大河ドラマ「龍馬伝」や『ガリレオ』シリーズの福山雅治が演じる。共演は、尾野真千子や真木よう子をはじめ、リリー・フランキー、樹木希林、夏八木勲ら個性派が集結。予期しない巡り合わせに家族が何を思い、選択するのか注目。

ストーリー:申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。

そして父になる
(C) 2013『そして父になる』製作委員会

映画短評

  • 森 直人
    時代は変わる
    ★★★★★
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    最初は「ズルい」と警戒した。筆者も幼い息子を持つ身だが、「子供の取り違え事件」との題材だけで胸が張り裂けそうになるからだ。しかし実際に作品を観ると、これはあくまで出発点。物語上は、親子の絆は血か時間か――という問いが提示されるが、二者択一の答えを求める映画ではない。力点は不確定な“その先”に踏み出す勇気であり、大枠の主題は「時代は変わる」ってことだと思う。

    是枝裕和監督にインタビューさせてもらった時、主人公の良多は「自分の嫌なところをうんと増幅」させた人物だと語ってくれた(「SWITCH」2013年10月号)。バブル体験を引きずった「右肩上がりの日本」を象徴する最後の世代のエリート。本作ではそんな彼を従来の尺度が通用しない世界(=新時代の混沌)に放り込み、価値観を一旦ゼロにして再構築させる荒療治を展開するのだ。

    本作は『誰も知らない』や『歩いても 歩いても』のように端正ではなく、表現として荒い。しかしだからこそ生々しく身を切るようなガチの姿勢が伝わる。筆者は号泣した。先行きが不透明な日本社会、ロールモデルを喪失した我々は、新しい形の「大人」として成熟していかねばならないのだろう。

  • 清水 節
    親が子を想い育てるだけでなく、子も親を想い親へと成長させる
    ★★★★
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     子供を取り違えられた家族同士をめぐる物語ゆえ、もちろん両親の最終判断を問う方向へと向かう。この是枝映画もまた、子供たちの日常的な振る舞いに導かれるようにして、時間が静かに流れていく。ここには、いわゆる天才子役など居ない。ぎこちなくも自然で、やんちゃな子らの表情が、大人の身勝手さを揺さぶり、親子とは何かを問いかけるのだ。
     
     病院から告知されたとき、すでに6歳になっていた。エリート然とした福山雅治×尾野真千子と、庶民的なリリー・フランキー×真木よう子の夫婦。対照的な環境に馴染んで育った、それぞれの子供。親子関係を決めるのは、生活時間の長さか、血縁か。最も利己的であり激しく葛藤する父・福山の視点が印象深い。但し饒舌な演技はなく、撮影を担当した写真家瀧本幹也のフィルム撮影が、ドキュメンタリー・タッチに情緒的な味わいを添えている。
     
     間違えられた子供は、招かれざる他者なのか。他者と生きるのは難しいが、他者と過ごした時間の歓びとは偽りなのかという問いが深く重い。親が子を想い育てるだけではなく、子も親を想い親という存在へと成長させるのが家族であることを、改めて気付かせてくれる。

  • なかざわひでゆき
    じんわりと心に染み入る一本
    ★★★★★
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     現代では珍しい子供の取り違え事件を題材に、社会的地位も生活環境も全く異なる対照的な2つの家族それぞれが困難に向き合う姿を通じ、親子の絆とは“血の繋がり”なのか、それとも“共に過ごした時間”なのかを問う。

     まず、主演の福山雅治が見事なハマリ役だ。挫折を知らずに生きてきたエリートの無意識に出てしまう冷たさ、悪意のない残酷さというものを実に嫌味なく演じており、そんな彼が育ての子と血を分けた子のどちらかを選ぶという局面で己自身と対峙し、うろたえながらも父親としての責任と愛に目覚めていく姿を体現して抜群に巧い。某ドラマの印象が強すぎただけに、これは嬉しい驚きだ。対する、少々粗暴ながらも愛情あふれるもう一人の父親を演じるリリー・フランキー、その妻で大らかな肝っ玉母さんを演じる真木よう子など、とにかく役者陣が素晴らしい。

     そして、日常生活のひとコマひとコマを丹念に積み重ね、両家族の交流と営みを根気よく見つめていく是枝監督の演出は、これまでにないほど温かで優しい。子役の使い方も相変わらず絶妙だし、なによりも決して子供をお涙頂戴のダシにしないところが潔い。じんわりと心に染み入る一本だ。

動画

『そして父になる』予告編ショートバージョン
『そして父になる』予告編ショートバージョン
映画『そして父になる』予告編
映画『そして父になる』予告編
映画『そして父になる』特報
映画『そして父になる』特報

ポスター/チラシ

  • 映画『そして父になる』ポスター
    ポスター
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スタッフ

監督: 是枝裕和

キャスト

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『そして父になる』の映画ニュース

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  • 『そして父になる』を見た【映画】6年間育てた息子は他人の子でした、是枝裕和監督が福山雅治主演で描く家族ドラマ from カフェビショップ (2014年5月29日 20時4分)
    題名のとおり福山雅治が父親になる話。 父親になるというのは 父親として生きることを覚悟するっていうことかなあ。 産婦人科で赤ん坊の取り違え事件があって 6年間血のつながりのない子供を育てていた 2つの家族がその事実を知らされて どうなるかっていうドラマな… ...[外部サイトの続きを読む]
  • そして父になる from シネマクマヤコン (2013年12月31日 12時49分)
    出産直後に産婦人科で子供の取り違えに合ってしまった家族の葛藤を描いた作品でした。 ...[外部サイトの続きを読む]
  • そして父になる from 映画三昧、活字中毒 (2013年11月11日 7時48分)
    ■ ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞そして父になる 2013年/日本/120分 監督: 是枝裕和 出演: 福山雅治/尾野真千子/真木よう子/リリー・フランキー/二宮慶多 公開: 2013年09月28日 公式サイト 大手建設会社に勤める野々宮良多は、妻のみどりと6歳の1人息子、慶多と何不自由なく暮らしていたが、慶多が小学校に上がる前の年に、みどりが慶多を産んだ産院から連絡が入... ...[外部サイトの続きを読む]
  • 父親として見ると・・・実に非論理的で面白い。福山雅治『そして父になる』 from For James Bond 007 Lovers Only (2013年11月4日 20時46分)
    父親として見ると・・・実に非論理的で面白い。福山雅治『そして父になる』 ...[外部サイトの続きを読む]
  • 「そして父になる」 from 元・副会長のCinema Days (2013年11月2日 7時15分)
    かなり図式的な映画だ。しかし、それが悪いということではない。真摯なテーマ設定は、平易な御膳立ての中で効果を上げることがあると思う。本作はその成功例であり、是枝裕和監督としても代表作の一つになることは確かだ。  大手ゼネコンで重要な仕事を任されている... ...[外部サイトの続きを読む]
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