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小栗旬「RPGでレベルが8ぐらい上がった感覚」 大河ドラマ主演で成長を実感

第44回「審判の日」より北条義時(小栗旬)
第44回「審判の日」より北条義時(小栗旬) - (C)NHK

 10月25日に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のクランクアップを報告した俳優の小栗旬。主人公・北条義時を演じた約1年5か月の撮影を振り返り「これだけ長い間一人の人物を演じたからこそ気づいたことがたくさんあった」と感想を述べた小栗が、自身の俳優としての成長について語った。

【画像】「鎌倉殿の13人」最終回

「全部小栗のせい」に大満足

 本作は、大河では「新選組!」(2004)、「真田丸」(2016)などを手掛けてきた三谷幸喜が、鎌倉幕府を開いた源頼朝(大泉洋)にすべてを学び、武士の時代を盤石のものとした2代執権・北条義時の数奇な運命を描いた物語。小栗にとって大河ドラマの出演は8作目。

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 物語の序盤、義時は源頼朝に仕えるなか、無理難題を吹っ掛けられ右往左往しながら、海千山千の御家人たちをどう束ねていくかを学ぶ。そんな義時の姿を「振り回されっぱなし」と表現していたが、頼朝の死後、さまざまな粛清を経験しSNS上では、“黒義時”と言われるまでに変化した。

 こうした義時の変化をはじめ、本作はオンエアごとにSNS上でさまざまなトレンドワードが飛び交うなど反響を呼んでいる。小栗自身も「現場でも結構『話題になっているよね』という話は出ますし、大きな励みになっていました」と語る。特に物語の序盤、冷徹な沙汰を繰り返す源頼朝によって、北条家に大きな災難が降りかかることを称して小栗が「全部大泉のせい」と自身のマスクに書いたことがSNS上でも大きな話題になったが、「あれは本当に言って良かったですね」と笑う。

 そんな小栗も、最近では「全部小栗のせい」「全部義時のせい」と言われるほどにどす黒いキャラクターに変貌を遂げた。小栗は「北条義時という人物を全48回まで演じるうえで、今の義時に不快な思いや怒りを感じる視聴者が多ければ多いほど、それはうまくいっているということで、役者冥利に尽きます。とても痛快です」と語ると「第1回から、さまざまなボタンの掛け違いやストレス、プレッシャーが積み重なっていって、今の義時になった。三谷さんが番組で『人間というものはそんなに急に変わるものではない』と話していましたが、じわじわと彼を蝕んでいったものが、何なのかということが丁寧に描かれている脚本だったので、そこをじっくりと演じることができたのは本当にありがたかったです」とあらためて三谷に感謝を述べる。

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最後の最後まで悩んだシーン

第40回「罠と罠」より

 さらに、小栗は長期にわたって丁寧に一人の人物と向き合えたことで、大きな気づきがあったとも。「とにかく義時という人物に向き合うために、台本を深く読み取ることはもちろんですが、自分の中の選択肢というか『なぜこのセリフをこの場でいうのか』みたいなことも、ものすごく深く考えました。やっぱりこれぐらいの深度で臨まないと『役を演じる』とは言ってはいけないんだなと痛感しました。後半は、台本をそれほど読まなくても、義時としてどうすべきかということが、パッと思い浮かぶぐらいになっていました」

 もちろんこれまでも役と向き合うことは心掛けていたという小栗だが、本作での取り組みで「本来なら通常行うドラマや映画の作品でも、初日の段階で、このぐらいの自分でいなければいけなんだ」と痛感したという。「この作品に参加できたことで、ある意味で演じるということを超えて、人間を表現するということが分かった気がしました」

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 小栗をはじめ、出演者は実力派ぞろいだ。小栗自身、相手と対峙することで芝居がやりやすくなると話していたが、第40回「罠と罠」(10月23日放送)のラストで、和田義盛(横田栄司)とのいざこざが一旦収まったとき、一人ですごろくをするシーンの表情は、さまざまな感情を想起させるほど味わい深かった。

 「あのシーンは最初に決定稿が上がったときは、もう少し義時が和田義盛を戦に仕向けるような感じがあったんですが、三谷さんが『直したい』と言って変わったんです。その本では、義時が矛を収めようとしたのに、和田軍が動いてしまった……という思い。言ってみれば、畠山重忠(中川大志)の乱のときの、重忠の立場になったんですよね。監督とも、和田を倒した方がいいと思っているのか、逆に矛が収まってホッとしてすごろくをしているのか……。現場でも最後の最後まで悩んだシーンでした」

 このシーンは一例で、今後さらに義時の苦悩は続くという。小栗は「この1年5か月で、RPGで言えばレベルが8ぐらい上がった感じ。使えなかった魔法が2つぐらい増えたような」とかなり鍛えられたことを明かす。

大河の主演はまたいつかやりたい!

懐かしい小四郎時代

 クランクアップしたときの心境を「すべてを現場に置いてきた」と語った小栗。そんな経験をもとに放送が終了する時期(最終回は12月18日)には、40代を迎える。

 「特に展望とかはあまり考えていないんですよね」と笑う小栗だが「大河ドラマの主演はまたいつかもう一回やりたいと思っています」と意欲を見せる。「今回ある種の成功体験をさせていただいたということもあるのですが、やっぱり今の日本の環境でどこを探しても、ここまでの長期間ノンストップで一人の人物を演じられる機会はないですからね」と理由を述べる。

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 さらに小栗は「今回は、北条義時という誰もが知っているような人物ではなかったので、自由に演じられる楽しさがありました。やっぱり誰もが知っている人物はしんどいと思うんです。だからもし次の機会がいただけるなら、またあまり有名な人ではないほうがいいです。こんなこと言うのは(来年の大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康を演じる)松本(潤)くんには申し訳ないのですが(笑)」とリクエストしていた。(取材・文:磯部正和)

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