シネマトゥデイ

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情報誌等で活躍するライターや編集者が毎月5本の映画を評価! 映画を観ることに関しては‘プロ’には違いないが、プロといえども人の子。作品の出来の善し悪しに関わらず、好き、嫌いはどうしてもつきまとう。このコーナーでは作品評価の他に個人的な好みを★5段階で表現した。ただしあくまで映画は私的なものなので、ここでの評価が低いからといって読者にとってつまらない映画かといえば……それは劇場へ行って自分の目で確かめよう!

 

-近況など-

映画ライター
見逃してた『司祭』をようやく観た。ロバート・カーライルとライナス・ローチの同性愛物語かと思ってたんだけど、それはメイン・テーマじゃなかった。宗教の根源的な意味を考えさせられる分厚いドラマだった。泣いた!
ライター
食欲の秋。ってゆーか、私はいつも食欲旺盛で、『マーサの幸せレシピ』を観て以来、がぜんクッキングに意欲に燃えている。一人でしゃかしゃか作って、一人でばくばく食べて、「あたしって天才~」と叫んでいます。

編集者&ライター
30代以降のファンにはスティーブ・マックィーンの声ならこの人! という吹替えを担当した宮部昭夫さんに取材した。70歳を超えているが、皮ジャンにマックィーンと同じく腕時計を右手にしたとてもダンディな方でした。

トリプルX

ストーリー:エクストリーム・スポーツのカリスマ、ザンダー(ヴィン・ディーゼル)は、国家安全保障局のシークレット・エージェントにスカウトされる。嫌々ながらも任務を引き受けた彼は、囮捜査のためにプラハのテロ組織“アナーキー99”に潜入することになるが……。
日本公開: 10月26日
上映時間:2時間4分
(日劇3他全国東宝洋画系)
配給:東宝東和


敵はバタバタ倒れるのに主人公には銃弾がカスリもしないってな、最近じゃB級アクションでもお目にかかれないアクションが笑えます。でもXスポーツの達人たちが繰り広げるスタントはやっぱり痛快なんだな。その必死のスタントを、ユーモラスに見せちゃうほどのヴィン・ディーゼルの余裕のタフガイぶりもイイ。でも、ストーリーに新味はない。主人公がXスポーツのカリスマって以外は、往年のスパイ物のパターンを踏み外す事はない。だけど、なによりそのアクションが一番のウリなのです。


『スパイキッズ』が子供版の007だったが、これはもしもワルが007ならってところか。それにしても、前半のドンパチシーンだけで、一体、何本のアクション映画ができるでしょうってぐらい、派手に爆薬使いまくってる。しかも、そのアクションが絶対に現実にはありえん!できん!、んなバカなと断言できる。すんごいB級で、時間が経つと中身は忘れてしまいそうだが、映画で気分発散したい時にはこれぞの作。ジャイアン(byドラえもん)みたいなヴィン・ディーゼルもキュートです。


007の主役をヤンキーにするとこうなるのか!? といった感じの超お気楽なエンターテイメント大作。あまりの荒唐無稽さに唖然としつつも、ヴィン・ディーゼルのオレ節炸裂に気分は爽快。思わず「兄貴っ」と呼びたくなるような、ちょいワルなキャラクターは実に魅力的なのだ。ここまで突っ走ってしまえば、わずか2時間ちょいの間に普通なら10回以上は死んでるはずのシチュエーションとか、細かいこと(でもないんだけど)をごちゃごちゃ言うのは、この際野暮というもの!

ジョンQ 最後の決断

ストーリー: ジョン(デンゼル・ワシントン)は息子に心臓移植が必要だと告げられるが、リストラ中の彼の保険ではその費用が賄えなかった。ジョンは外科医(ジェームズ・ウッズ)らを人質にして病院に立てこもり息子の手術を要求する。
日本公開: 11月中旬
上映時間:1時間56分
配給:キャガ・ヒューマックス
全国東宝洋画系)


車のクラッシュ・シーンから始まる。これがなかなかクールで一気に物語に引き込まれます。伏線がベタだったり、ストーリーもオーソドックスなんだけど、監督のニック・カサヴェテスがガンバッテ在り来りな映画にしないように工夫してる。特に、“生命の値段”について声高に世の不正を糾弾しちゃうのかと思ったら、息子の臓器移植を要求して病院を占拠してから主役のデンゼル・ワシントンが内省的になってたのが良かった。娯楽性と社会性のバランスが取れた佳作。


“歩く良識”のデンゼルが演じるから、OKの作。だって、息子の心臓移植手術ができるかどうかという展開は見えている。脇を固めるのが、ロバート・デュバル、ジェームズ・ウッズにレイ・リオッタという芸達者だから、人物描写がステレオタイプでも見てられるだけ。全編が御都合主義な話。そのくせ妙にリアルすぎたりというバランスの悪さもある。なかでも、私はデンゼル妻の顔のドアップには辟易。驚くほど不細工で醜悪に撮ってる。確かにコワくて迫力な女房ですけどね。


息子の命を救うために、病院を占拠して社会制度と闘う父親の物語。これで主役がデンゼル・ワシントンだなんて、「感動しなさい!」といわんばかりなのだが、これがなかなかいい話なのだ。展開はかなりご都合主義っぽいが、デンゼルがとにかく上手い! いつもはスマートなイメージがあるが、今回はリストラされてお金もない、冴えない労働者役。恰幅がよく、どこにでもいそうなちょい気弱な男なのだが、ここ一番て時に頑張る父ちゃんぶりはものすごくかっこいいのでした。

容疑者

ストーリー: 父親が幼児誘拐殺人犯として死刑になった過去を持つNY市警のベテラン刑事ヴィンセント(ロバート・デ・ニーロ)。ある殺人事件を担当した彼は、その容疑者が離婚した妻との間の息子ジョーイ(ジェイーズ・フランコ)であると知らされる。
日本公開:10月12日
(丸の内ルーブル他全国松竹・東急系)
上映時間:1時間48分
配給:ギャガ・ヒューマックス共同


キャラクターもリアルに設定されてるし、演じる俳優たちも超一流で好演してる。だから説得力はある。ストーリーも破綻がない。だけどなんだかもう一つ物足りないんだなぁ。家族を捨てた刑事、刑事の愛人、刑事の元妻、刑事に捨てられてグレた息子、息子の恋人と子供……。彼らが抱える問題の落とし所に、意外性がない。「そりゃそうだよなぁ」なんて納得は出来るものの、心に響いてこない。かなりヘヴィな人生相談に、表層的で深みのない回答が返ってきたような物足りなさが残った。


デ・ニーロをはじめ、彼の恋人役のフランシス・マクドーマンドはさすがに上手い。また息子役のジェイムズ・フランコは『スパイダーマン』の印象薄い金持ち息子と、同一人物か?と思うほど、本作ではアピールしてる。というワケで、俳優たちの演技はいい。海辺の町の今昔を感じさせる映像や音楽もいい。が、父が犯罪者だったという刑事が殺人犯の息子を救えるかどうかという肝心の話に何の工夫もなければ、家族の因果な話もあっさり。脚本がダメなのか。監督がダメなのか。


どう考えてももうちょっと面白くなりそうなドラマなのに、今一歩というところで感動には至らず。ロバート・デ・ニーロも『スパイダーマン』の新鋭ジェイムズ・フランコも好演しているのだが、演じるキャラクターに説得力も魅力も薄いのが本当に残念! 罪を犯してしまった息子に対して、刑事である父親が、果たしてこの映画のような行動を取るものなのだろうか? 女性の描き方もおざなりで、結局は男だけの世界に帰着するラストも共感できない。

ゴスフォード・パーク

ストーリー: 第二次世界大戦前夜のイギリス。ある貴族の邸宅でパーティーが催され、従僕を多数引き連れて貴族たちが集まった。貴族たち、従僕たちの人間模様がパーティーを背景に繰り広げられる。そんな中、パーティーの主催者が殺害される。
日本公開:10月26日
上映時間:2時間17分

(恵比寿ガーデンシネマ )
配給:UIP



あれだけの多人数の登場人物ひとりひとりのキャラを際立たせ、謎解きミステリの要素まで盛り込んで見せるのって凡庸な手腕じゃできない事だと思います。アルトマンのその能力に敬意を表します。でも、退屈でした。群像劇でも『ハピネス』みたいな激しいのは好きだけど、これは生ぬるくて……。だから、ついついケリー・マクドナルドの顔ばかり見て「ケイト・ウィンスレットに似てるけど、ケリーの方が美人かな」なんてずっと思ってました。不謹慎でした!


最高の食材を使って、腕に覚えある頑固な職人が料理したフルコースを食べた感じのする映画。ヘレン・ミレン、デレク・ジャコビ、マギー・スミスほか、揃えも揃えたりの実力派イギリス俳優たちの顔ぶれは、イギリス好きにはたまりません。そんな彼らのキャラをちゃんと立たせてる。さすが、群像劇がお得意なロバート・アルトマンってところか。ただ手際よくても、人間関係が複雑すぎて、一度見ただけではわからない。ま、皿までなめ回すぐらいの勢いで、観てこそわかる味わい深い作品って感じです。



英国郊外にあるカントリーハウス。何だか訳アリ風な貴族たちが集まるパーティーで、殺人事件が起こる――。英国びいきorミステリーファンなら、この設定だけでわくわくするはず。だがそこはアルトマン、単なる事件ものになるはずもなく、作品の解釈も一筋縄ではいかない。ミステリーの要素を割と期待していたのでちょっと肩透かしをくらったが、全編に漂う英国調な雰囲気を満喫できただけで十分満足!とにかく多い登場人物が全員魅力的なので、画面に目を釘付けにして観るべし。

9デイズ

ストーリー:CIA捜査官のオークス(アンソニー・ホプキンス)と部下のポープ(クリス・ロック)はロシアから流出した小型核爆弾の潜入捜査をしていた。だがポープが殺害されてしまう。ポープの双子の弟が急遽、捜査官に仕立て上げられるが……。
日本公開:10月19日
(丸の内ルーブル他全国)
上映時間:1時間57分
配給:ブエナ・ビスタ・インターナショナル(ジャパン)
(c) Touchstone Pictures.All rights reserved.


殺されたCIAエージェントになり代わって、ろくでなしの双子の弟がにわか仕立てで捜査に加わるってな設定は、コメディのはずなのに笑えない。いや笑わそうとしていないんだな。大マジメにやってるのだ。だから突如185とかいう知能指数を披露されたりすると、浮きまくりで思わず失笑。もうちょっとうまく伏線が張ってあればなぁ。コミカル部分をもっぱら担当している主人公の女性関係も、爆笑には至らない。ただ、ホプキンスのアクションの身のこなしの軽さにはビックリしたけど。


『ハンニバル』でずんぐりむっくりとなってたアンソニー・ホプキンスに驚いたが、その体で走る、走る、走る。見てるこっちが心臓バクバクしそうです。コメディアン出身のクリス・ロックとの顔合わせは面白いし、クスッと笑えるシーンもある。でも、“孤高の人”というイメージが強すぎるホプキンスには男同士の信頼だの、友情なんて芽生える感が致しません。それにしても、大味で派手なジェリー・ブラッカイマー印のアクション大作に出るなんて、意図するところは何だったのか?


何をやっても様になるアンソニー・ホプキンスは、老練のCIA捜査官もお手のもの。監督もベテランのジョエル・シュマッカーだから、アクションもサスペンスもそれなりに楽しめる。が、最初から最後まで、「微妙に外してるなぁ」という感覚をぬぐえなかった。問題は、ホプキンスの相手役のクリス・ロックかなぁ。全米でのこの人の立ち位置はよくわからないが、この映画に関して言えばシリアスなのかお笑いなのか、どっちつかず。おかげで、こちらも物語に乗り切れなくなってしまうのでした。

 似顔絵イラスト:川合夕香

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