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『アバウト・シュミット』アレクサンダー・ペイン監督

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アバウト・シュミット

 文・インタビュー/森田まほ

「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」ではリース・ウィザースプーンを世に送り出し、新作「アバウト・シュミット」で66歳の孤独な男の姿をユーモアたっぷりに描いた新鋭アレクサンダー・ペイン監督が来日した。
本作は、主演のジャック・ニコルソンがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、批評家達の絶賛を浴びた。超多忙のスケジュールの中インタビューに答えてくれた監督はハンサムな笑顔を見せてくれた。


Q:お忙しい中ありがとうございます。前作「ハイスクール白書」ではデビュー作にしてたくさんの賞を受賞なさいました。今回の「アバウト・シュミット」に関しては周囲からの期待もその分大きかったと思いますが?
ペイン監督:確かに期待してくれる声はたくさんあったよ。でも、プレッシャーは全く感じなかった。
 
Q:全く? 本当ですか?
ペイン監督:うん、全く。確かに「ハイスクール白書」への評価はとても高かったんだけど、僕にとっては、‘オーケー’な作品だったし、僕はもっと良いものが作れるっていう自信があったからね。
 
Q:それはすごい自信ですね。
ペイン監督:もちろんさ。この作品だってまだ二作目だし。これからもっともっとたくさんの作品を作っていきたいからね。
 
Q:作品のテンポも、青春コメディだった前作から比べるとスローになりましたね。


ペイン監督:そうなんだ。自分自身少し落ち着いたというのもあるし、ペースを落とした分、とても良いものが出来たと思っているよ。一つの作品を作ると、すぐに次の作品のアイデアが浮かんでくるんだ。たとえば、今僕はこうして東京に来ているわけだけど2日後にはロスに帰って次の新作の準備にとりかかる予定だしね。9月には撮影開始なんだ。

Q:本当に大忙しですね。その新作についても、少し教えていただけます?

ペイン監督:いいとも。もちろんコメディで。結婚式の一週間前にワインのテイスティングに行く二人の男。つまり……結婚前のパーティーストーリーだよ。キャスティングはまだ未定なんだ。
 
Q:楽しそうですね! もっと聞きたいところですが、完成を楽しみにしますね。

ペイン監督:すごく楽しい話だよ。「アバウト・シュミット」ではリタイアや、伴りょの死、娘の結婚といった人がセンチメンタルになってしまうというか、ネガティブにもなりえる題材をあつかったからね。

 
Q:なるほど、次回は底抜けに明るいお話なんですね。その次回作も、男性二人のお話のようなのですが、「アバウト・シュミット」に出てくる女の人たちにはいわゆる‘ナイス’な女性がいませんよね。娘にせよ、妻にせよ、旅先で出会う女にせよ。監督自身、女性って嫌な生き物だなあって思っていたりしますか?
ペイン監督:うん。女の人は苦手だよ。嫌い、嫌い(笑)。でも、この作品の男達も、そこまでナイスだとは思わないけどなあ。みんなそれぞれ、嫌な面があるっていうか……。

Q:確かに、主役のシュミットもはた目には嫌なオヤジですよね。でも、憎めない。キュートさがある。でも、女の人たちは……。


ペイン監督:うーん。どうかな。僕自身そうは思っていないけど、女の人から見るとそう見える点はあるのかなあ。ただ、この作品のキャラクターは、みんな‘自然’さを超越したキャラクターたちであることは確かだね。
 
Q:超越したキャラクターといえば、キャシー・ベイツの「超越」したヌードシーンにはびっくりしました。女優として、彼女はとても勇敢だと思ったのですが、彼女に頼んだあなたはもっと勇敢だと思います。一体どうやって、彼女にあのシーンの話を切り出したんでしょう?

ペイン監督:(誇らしげなポーズで自分を指して)そうそう勇敢だったのは俺だよ。脚本が完成した段階で、この役ができるのはキャシー・ベイツしかいないと思った。どうしても彼女に出演してもらいたくてすぐにオファーしたんだ。あの役を演じることに対してはすぐにOKをくれたよ。ただ、ヌードシーンに対しては……ちょっとした交渉が必要だったね。というのも、あのシーンは一番リラックスした状態で演じてもらいたかったから。
でも、彼女は素晴らしいプロフェッショナルな態度を見せてくれた。僕も、彼女は本当に勇敢だったと思うよ。

Q:二作目となる本作ではジャック・ニコルソンと、キャシー・ベイツというビッグネームとの仕事でしたが、彼らとの仕事はいかがでしたか?

ペイン監督:俳優と仕事するというのは、相手が誰であれ恐ろしいよ。その俳優が自分の意にそった演技をしてくれるかどうかその不安は常にある。本当のことをいえば、彼らのようにビッグネームとの仕事は作品を作るうえで今までよりずっと簡単でやりやすいものだった。というのも、僕が何も言わなくても彼らは完璧に素晴らしい結果を残してくれるからね。何も言わないで一緒に仕事してるだけで、僕を‘素晴らしい監督’にしてくれるんだ(笑)。だから、いい映画を作るには‘いい役者’を使うのが一番だね。かといって、大物だけ選んであとはほったらかし、じゃあ、もちろんだめだけどね。そういう作品、よくあるだろう? 監督自身が映画をきちんとイメージして、的確なキャスティングさえ出来ればその作品は成功するのさ。

Q:それでは、最後の質問になりますが。現在アメリカでは、テロも起こり、戦争も起こりいいムードとはいえないと思います。実際、私のアメリカ人の友達は「この最悪の雰囲気の今こそ、コメディが必要なんだ」と言っていました。
監督のこれからの「コメディー」に対する思いを聞かせて下さい。

ペイン監督:最近のコメディーはホントに低俗なものばかりで、昔はたくさん作られていた良質なコメディーというものがすっかりなくなってしまった。最近のは、ただ‘オバカ’な作品ばかり。でも君の期待通り、僕はこれからもコメディーをとり続けていたいと思っている。そして、この作品のように、人間的な温かさを含んだストーリーや、また政治的なストーリももちろん作っていきたい。
特に、今こそは政治的なストーリーを作るべき時だと思っているしね。

Q:本当にそう思います。それに、あなたならそんな作品をきっと作ってくれると期待しています。
ペイン監督:そんな作品が作れるよう、努力していきたいし……君に約束するよ。きっといい作品を作ってみせるからね。
 
一つ一つの質問に真剣に答えてくれ、‘インディペンデントスピリットアワード’を受賞した監督らしく、コメディーへ対する熱い思いがひしひしと伝わってきた。自信と情熱にあふれた新鋭ペイン監督、今後の活躍も多いに期待ができそうだ。

「アバウト・シュミット」(ギャガ・ヒューマックス共同配給)はみゆき座他全国東宝洋画系で5月24日より公開。

 

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