シネマトゥデイ

 

実在の小説家を主人公にした映画特集

 週末に公開される話題の映画の中から、気になる作品をご紹介します。今週は、6月6日公開の映画『サガン -悲しみよ こんにちは-』。波瀾に満ちた生涯を送った小説家フランソワーズ・サガンの生涯を描いた本作にちなんで、実在の小説家を主人公にした映画に注目してみました。
サガン -悲しみよ こんにちは-

 1954年、友だちに小説を書いているとミエを張った18歳の少女、フランスワーズは、一夏で小説「悲しみよ こんにちは」を書き上げる。仕上がった作品を自ら出版社に持ち込み出版されたその作品は、賛否両論を受け世間を騒がせながらベストセラーとなり、ペンネームのフランソワーズ・サガンの名は、たちまち天才少女として世間に知れ渡るのだった。有名になったフランソワーズは、華やかな交友関係を持ち、パーティーざんまいの享楽的な日々を送りながら精力的に書き続けていくが、そんな彼女を待っていたのは波乱に満ちた人生だった……。

 18歳で華々しくデビューし、波乱に満ちた一生を送ったフランスの作家、フランスワーズ・サガンの人生を追った本作。2004年に死去したときには破産状態のままだったというサガンのばく大な浪費の様子が華やかに、そして破滅的なまでに描かれているのは見どころの一つです。また本作では、そんな破天荒な面ばかりが語られるサガンが、愛と孤独に満ちた一人の繊細(せんさい)な人間として丁寧に描かれています。主人公サガンを演じるシルヴィー・テステューは、サガンのモノマネをするのではなく、彼女の話し方などを自分流に取り込んで演じることに挑戦したそうですが、見た目のソックリ度はかなりのもの。スクリーンで生き返ったサガンに会いに、劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

『サガン -悲しみよ こんにちは-』
(C) 2008 ALEXANDRE FILMS / E. George
(C) 2008 ALEXANDRE FILMS / C. Schousboe

KAFKA/迷宮の悪夢

 時は1919年。日中は事務員として働くカフカ(ジェレミー・アイアンズ)は、夜は自室で小説を書く毎日を送っていた。あるとき、失踪(しっそう)した友人が水死体で発見され、カフカは調査を始める。同僚のガブリエラ(テレサ・ラッセル)に誘われて、アナーキストの集会に出席したカフカは、友人の死が謎めいた城と関係があることを知る。しばらくしてカフカが再び集会所を訪れると、アナーキストたちは全員殺されていた。翌日、残業帰りのカフカは、不気味な男に連行され、城に連れて行かれそうになるが……。

 最近では映画『オーシャンズ13』などの大作で成功を収めているスティーヴン・ソダーバーグ監督が、ドイツの作家カフカの作品の持つ悪夢的な世界観を、カフカを主人公に不気味に描き上げた作品。ファンタジー、SF、ホラー……ジャンル分けはもはや不可能! な、摩訶不思議な映像は、観客をアナザーワールドに連れて行ってくれます。不思議体験に襲われる主人公カフカを、ジェレミー・アイアンズが渋めに演じています。

 

僕がカフカになりました。 -ジェレミー・アイアンズ
Time Life Pictures. / Time & Life Pictures/Getty Images

カポーティ

 1959年11月15日、アメリカのカンザスで一家4人が惨殺されるという事件が起こった。事件の記事を読んだ作家、トルーマン・カポーティは、次回執筆する小説の題材にしようと、現地へ取材に向かう。陰惨な事件に混乱する小さな町で、逮捕されたのは2人の青年だった。拘留された彼らに近づいていったカポーティは、片方の青年、ペリー・スミスに魅力を感じ始める。度重なる面会を経て、ペリーはカポーティに信頼感を覚えていくが……。

 若くして天才作家と騒がれた作家、トルーマン・カポーティが、傑作として名高い「冷血」を書き上げるまでを描いた『カポーティ』。小説のネタにするために犯人に取り入るうちに、自らが深みにはまってしまう孤独な変人カポーティを繊細(せんさい)に演じ、見事アカデミー賞主演男優賞に輝いたフィリップ・シーモア・ホフマンの演技は必見です。登場人物一人一人と彼らの関係が濃密に描かれた重厚な一作です。

これでオスカー獲りました -フィリップ・シーモア・ホフマン
Vera Anderson / WireImage / Getty Images

酔いどれ詩人になるまえに

 仕事をしても酒で問題を起こし、すぐクビになってしまうヘンリー・チナスキー(マット・ディロン)。詩や小説を書き、出版社に送るチナスキーだったが、作品はなかなか認められず、酒とセックスにおぼれるさえない毎日を送っていた。あるとき、ジャン(リリ・テイラー)という女性とバーで知り合いになり、一緒に暮らし始めるが、彼女もすぐに彼のもとを去ってしまう。落ちぶれた様子のチナスキーだったが、彼には一つだけ、言葉という光があった……。

 作家のみならず、ミュージシャンなど数多くの芸術家たちに影響を与えたチャールズ・ブコウスキーの自伝的小説を映画化した本作。飲んだくれ詩人を演じるのは、かつて青春映画のスターとして名をはせたマット・ディロン。この上なくだらしない男なのに憎めないのは、底辺の生活を送りながらも自らの才能を信じて書き続ける姿が心に響くからでしょう。力強く、後味のいい一本です。

カリスマ性出ています。 -マット・ディロン
Peter Kramer / Peter Kramer/

文・構成:シネマトゥデイ編集部

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク