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三浦春馬&井上真央
『永遠の0』
この時代に作る意味がきっとある
『永遠の0』三浦春馬&井上真央 単独インタビュー

取材・文:イソガイマサト 撮影:吉岡希鼓斗

累計発行部数450万部を超える百田尚樹の同名小説を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督が岡田准一主演で映画化した『永遠の0』。「海軍一の臆病者」と呼ばれた零戦パイロット・宮部久蔵の実像を、現代と過去を交錯させながら解き明かす感動巨編だが、ここでは祖父について調べる久蔵の孫・佐伯健太郎役の三浦春馬と、久蔵の妻で健太郎の祖母にあたる松乃にふんした井上真央の異色対談が実現! 劇中では現代パートと過去パートに分かれ、芝居を交えることのなかった二人が撮影秘話や作品に込めた想いを語った。

■演技力が求められた現代と過去の重要人物

Q:お二人とも難しい役だったと思いますが、撮影を振り返ってみていかがですか?

三浦春馬(以下、三浦):難しい役だなというのは撮影の初日に痛感しました。僕の演じた健太郎が特攻兵の生き残りである景浦(田中泯)さんを再び訪ねるシーンで、一度、影浦さんに追い出された彼が、心を入れ替えて「僕の本当のおじいさんのことを聞かせてください」と言うくだりですね。そこでは健太郎の心境の変化や表情の変化、前とは違う温度感を出さなければいけなかったんですが、山崎監督に「もっと表情に出してくれ! 感情が足りない!」って言われ続けて。気持ちが伝わらないからと、終盤では一つのカットで15回もNGを出すことがありました。

井上真央(以下、井上):わたしの演じた松乃は原作でもそんなに出てこないのですが、岡田准一さんの演じられた宮部久蔵さんがこの人のために「生きて帰りたい」と思う重要な役だったので、最初は「わたしで大丈夫かな?」と不安もありました。映画では、原作にはない、宮部が戦地から一度戻ってきて、家族と一緒に過ごすシーンがあるのですが、そこからその後の別れのシーンや最後に彼の死を知ったときの松乃の感情を探れたような気がします。

■それぞれの芝居を後押しした岡田准一の存在

Q:岡田さんとのお芝居はそのわずかなシークエンスだけでしたね。

井上:はい、岡田さんとは現場でほとんどしゃべっていなかったです。戦時中の夫婦なので、ちょっとした緊張感の中、会話はないけれど、お互いに心の中で通じ合っている感じなのかなと想像しながら演じていたんですが、多分、岡田さんも同じだったように思います。無理に密なコミュニケーションをとるより、あのシーンにはその方が良いような気がして。それこそ、宮部を見送るシーンで、振り向かずに行った岡田さんの背中が目に焼き付きました。あの背中があったから、宮部がいないシーンの松乃の気持ちを埋めていくことができました。

Q:三浦さんは共演シーンこそないですが、撮影中の岡田さんを一度訪ねられたとか。

三浦:生きていたときのおじいちゃんの顔、表情を見ることが自分の役づくりのプラスになるならいいことだなと思って、一度、山梨まで戦時中のパートの撮影を見学に行ったんです。その日は宮部が染谷(将太)くんの演じる大石と日本の未来について話すシーンの撮影だったんですけど、撮影の合間に黙ってベンチに座っている岡田さんも、僕には希望に満ちている優しい表情に見えて。それは岡田さんが役を一生懸命積み上げてきた成果だと思うんですけど、心に想いの服を着せてあげるそういった作業は大切だなと改めて思いました。山梨から戻った後に撮ったあるシーンでは、そのときの岡田さんの表情や想いがよみがえってきて、自然に涙がこぼれましたね。

■戦争を知らない世代が戦争の映画を作る意義

Q:戦争を知らない人たちが作った戦争の記憶を伝える本作に、戦争を知らないお二人も参加されたわけですが、そこにはどんな考えや想いがあったのでしょうか。

井上:この映画で描かれていることは、語り継いでいくべきことだと思っています。わたしたちはまだ、戦争を体験したおじいちゃんやおばあちゃんから話を聞いて、争いの無意味さや恐怖を身近に感じることができますが、これからは、実際に知っている人がいなくなる時代が間違いなくやって来るわけですよね。そうした中で、それでも語り継いでいかなければいけない時代にわたしたちは生きているんだなと思いましたし、「戦争を経験した人たちの想いをどれだけきちんと子どもたちに伝えられるんだろう?」ということを、わたし自身も改めて考えました。

三浦:井上さんがいま言われたように、この時代にこの映画を作る意味がきっとあったんだと思います。当時の人たちの生きざまや彼らの想い、自分がいまここにいる理由を知っておくことは、これからの生き方に関わってくることなんじゃないかなって思うんです。『永遠の0』はその架け橋となれる作品になっていますし、それを伝えるだけのパワーがあると思います。本当に心底、そう思える自分がここにいるので、そういう気持ちにさせてくれたこの映画、山崎監督やスタッフの皆さん、原作を書かれた百田尚樹さんにすごく感謝しています。

■スクリーンで初めて知ったお互いの肉体表現

Q:完成した映画でお互いの存在や芝居を見て、どんなことを感じましたか。

井上:春馬くんの役は本当に難しかっただろうなと思いました。わたしも以前出演した映画で、現代に生きていて自分の過去をどんどん知っていく役を経験したんですが、こういう場合、相手の役者さんと向き合いながら感情を引っ張ってもらうことができないんですよね。ずっと受け身でいて、人と会う中で自らを変えていかなければいけない。だから、当時の自分のことも思い出しながら、難しいだろうなと思って。でも一方では、たくさんの役者さんとご一緒されているので、大先輩の方々と共演できて、いいなぁとうらやましかったです(笑)。

三浦:めちゃくちゃ緊張したんですからね(笑)。

井上:でも、この言葉(せりふ)を直接聞けるなんていいなと思っていましたよ。そして、特に最後の歩道橋のシーンは印象的でした。あのとき、春馬くんはどんなことを考えていたのかな? とか、どうやって撮ったのかな? とか、いろいろ考えてしまって。最後の春馬くんの顔と、岡田くんの顔がすごく焼き付いて。夜、寝るまで思い出したし、あんなふうに頭の中を巡ったのは初めてのことでした。

三浦:でも、井上さんもスゴいですよ。たった2日の撮影で、あそこまで表現できるなんて。撮影が長ければ長いほど、役や映画に対する想いが強くなるし、考える時間も増えるけれど、それがないわけで。忙しいスケジュールを縫ってこの作品に入って、ギュっとそこに集中してやるっていうのは……でも、まあ、役者だから当たり前なのか(笑)。

井上:うわ~、いま、上げて落とした(笑)。でも確かに、当たり前なことだけど、不安は不安でしたよ。自分が現代の普段の生活に戻っている間もみんなが撮影しているかと思うと、戻りきれないというか……。でも、短期間に集中して松乃のような役を演じるというのはこれまでやったことがなかったので、いい経験ができましたね。

本作だけでなく、これまでに共演したこともなければ、プライベートでも親交があったわけではないという二人。でも、「これからはおばあちゃんと呼びますね」と冗談を言う三浦と「おばあちゃんはイヤだ~」と笑う井上はとても和気あいあいとしていて、まるで昔からの友達のよう。こちらの質問にも時に真摯(しんし)に、時に冗談やユーモアを交えながら答えてくれたが、しっかり考えて自分の想いを言葉にする彼らからは、作品の内容やお芝居と子役の頃から真剣に向き合い、何かを伝えようとし続けてきているひたむきさがひしひしと伝わってきた。

映画『永遠の0』は全国公開中

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