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『予告犯』生田斗真インタビュー

新聞紙製のマスクをかぶり、インターネット上の動画サイトで犯罪予告を繰り返すグループ「シンブンシ」と、事件を追う警視庁サイバー犯罪対策課との頭脳戦を描く人気漫画を映画化した『予告犯』。「シンブンシ」の主犯格・ゲイツを演じた生田斗真が、作品に対する思いを熱く語った。

強力なパワーを秘めた新聞紙のマスク

Q:筒井哲也氏の漫画が原作ですが、生田さんは原作を読んでどう思われましたか?

ビジュアルが印象的で、犯罪物なのかと思って読み進めていると実はヒューマンドラマで、ある種、青春物の香りもある深みのある作品でした。映像化したら、観てくださった方にもギャップを感じてもらえるのではないかと思いました。

Q:映像化にあたっては、どのくらい原作を意識されたのでしょうか?

漫画のキャラクターの表情から読み取った声を出したいとか、1ページの中に文字が大きく書いてあるセリフはキーワードなので、それをきちんと表現したいとは思います。

Q:新聞紙のマスクをかぶって犯罪予告をするシーンは、かなりインパクトがありましたね。

あのマスクをかぶると、自分ではない誰かになった気分になるんです。バットマンやスパイダーマンじゃないですけど、何でもできちゃうようなパワーをもらえるマスクでしたね。新聞紙だけど(笑)。でも、かぶると息ができなかったんです。声もこもってしまうし、横を向いたときに目がズレてしまう。それで、おでこにマジックテープを貼ったり、自分なりにいろいろと考えてマスクを改良していきました。

Q:目だけしか見えない分、演技の幅が限られてしまうマスクのシーンで、特に気を配ったことはありましたか?

ゲイツの社会に対するうっ屈した感情やねじ曲った思いなどを、眼光の鋭さや目の訴え掛けで出そうとしていました。撮影中は1畳半のネットカフェで予告をしているだけだったので、客観的にどうなっているのか気になっていたんですけど、神懸かり的な存在に映し出されていて良かったです。

生田斗真がネット社会に思うこととは?

Q:法律では罰を与えられない人の罪をネット上で暴き、制裁を与えていく「シンブンシ」一味。生田さんご自身は、彼らの行為をどう捉えているのでしょう?

ゲイツが予告犯として罪を犯していくことで、周りの若者たちが狂喜乱舞し、「シンブンシ」たちは一種のカリスマ的な存在になっていく。「こういうヤツらに出てきてほしかった」という気持ちは、誰にでもあるような気がするんです。僕自身も「ゲイツ、よくやった」と思うところがあります。もちろん、犯罪自体は許されることではないのですが、共感してしまう方はいるんじゃないでしょうか。

Q:動画投稿サイト、ネットカフェなど、現代のネット社会がリアルに描写されていました。

僕はSNSをやっていないので、ネットはそれほど身近ではないんです。でも、思うことはあります。一つの情報をネット上にあげることで、世界中にそれが飛ぶわけじゃないですか。それで世界が広がったような感覚がするのだけど、実はミニマムになっているような気もして……。ネットは有効活用もできるわけだから、一言で語るのは難しいんですけどね。

Q:ゲイツはネットカフェにこもって世界を変えようとしましたが、それは可能だと思いますか?

ネットには、それくらいの力があるんでしょうね。家でカメラを据えて配信するだけで人気者になれたりする。でも、情報があまりにも速いと、記憶に残っていかないですよね。人と直接会って話すことの重要性を感じてしまいます。例えば、「この映画を観てください」とネット上で発信するよりも、街で声を掛けてくれた方に「観てくださいね」って言ったときのほうが、思いが伝わるような気がするんです。

現場では笑いをこらえるのに必死!?

Q:戸田恵梨香さん、鈴木亮平さん、濱田岳さん、荒川良々さんといった、実力派ぞろいのキャスティングも話題ですね。

皆さんプロですよ。役者同士で芝居の打ち合わせはしていないけど、それぞれがちゃんとキャラ立ちをしている。それって簡単なようで難しいんです。絶対に同じ行動を取らないとか、わざと動く方向をバラバラにするとか、何も言わずに自然とやれるチームだったので、本当に楽しかったですね。

Q:ゲイツの仲間・メタボにふんした荒川さんのオトボケ演技が緩和剤になっていましたが、現場ではいかがでしたか?

荒川さんの演技に笑いをこらえられないときがあって、そのときは悲しいことをいろいろと考えて「この人は面白いことを言っているけど、自分はそれどころではない」という思いにならないとやっていられないから、もう必死でした(苦笑)。メタボ自身が、空気が読めなくてボソッとヘンなことを言っちゃうキャラクターで、とんでもなくヘンなことをやっているわけではないんですけど……やっぱり荒川さんはズルイです(笑)。

Q:「シンブンシ」一味の結束力から、生田さんが感じたことはありますか?

彼らは、もともとは社会的立場の弱い者たちなんだけど、一つの共通目的があって、その思いの強さゆえに達成に近づいていく。一人ではできなくても仲間がいればできることって、実際にあると思います。例えば、こういった取材でも、共演者がいてくれると自分がしゃべるのは半分で済むから助かりますし(笑)。現場もそうですよね。疲れていても、汗水垂らして頑張っているスタッフさんを見ると、自分も頑張らなきゃと奮い立たせることができる。僕は、何かをチームで作ることが好きなんでしょうね。一人で遊ぶことより、みんなで共有できることをするのが好きなんです。

取材後記

ネタバレを慎重に避けながら、「自分のためには頑張れなかったヤツが、ほかのヤツのためなら頑張れた話」と、端的に的確に映画の概要を語った生田。どんな質問にも真摯(しんし)に答えてくれる姿勢から、ストイックで誠実な人柄が伝わってくる。人々の心をつかむカリスマ性を持ち、自分のこと以上に仲間を思いやれるゲイツが、生田のハマり役であることを確信した。
取材・文:斉藤由紀子

映画『予告犯』は6月6日より全国公開

映画『予告犯』オフィシャルサイトはこちら>

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