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避けるな、浴びろ!梅雨だから雨を好きになる映画たち

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 6月。梅雨の季節がやってまいりました。普段より更に湿度高めな電車の中は、みなさんいつもよりピリピリしていそう。狭い歩道は傘を開くと更に狭くなり、なかなか前に進めません。「あ~梅雨っていやだな」と思っているあなたに与えられた解決策はたったひとつ。雨を好きになりましょう。雨を愛しましょう。そして雨に濡れましょう。そう思えるようになる映画を紹介していきます。(編集部・海江田宗)

映画では重宝されている雨!一般生活ではなぜこんなにも避けられるのか?

 降旗康男監督の名作『鉄道員(ぽっぽや)』で主演の高倉健さんは雪にまみれていました。それと同じように普段の生活の中でも雪が降ったら雪ダルマを作って遊ぶ子どもがいたり、大学生になったら友達とスノーボードに出かけたり……。雪は映画の中だけでなく、映画の外の世界でも同じように愛されています。一方、今回の特集で取り上げる雨。数々の映画の名シーンには雨がつきものであるにもかかわらず、普通に生きていると雨の中で抱き合う恋人たちはいないですし、いくら仲が悪くても『ブラック・レイン』のマイケル・ダグラスと松田優作のように泥の中で格闘する2人組はいませんね。同じ空から降ってくる雨と雪。漢字の違いは「ヨ」が付くか付かないかだけなのにこの差はなんなのでしょうか。人々が雨を愛し傘を持たないことが普通になれば、雨宿りを理由に仕事に遅れて行っても怒られなくなるのに!

雨が降ったら唄えばいいのだ!

雨に唄えば
雨なんて、関係ないさー - MGM / Photofest / ゲッティ イメージズ

 どしゃぶりの雨の中で好きな歌を熱唱する。自宅の最寄り駅でそんなことをしたら、ご近所さんに変な噂を立てられて住みづらくなること確実ですね。次の日にスーパーでソーメンを買っているところを目撃されたら「あら、あの人まだ夏じゃないのにソーメンなんて……。今度は雨でちょっと早めの流しソーメンをする気なんだわ! キーーッ!」と思われること確実です。しかし雨の中で歌を唄う。いいじゃないですか! そんな名シーンが映画にもあります。そう、ご存じ! 『雨に唄えば』です。

 映画好きなら一度はタイトルを聞いたことがあるであろうクラシック・ミュージカルの名作中の名作である本作。サイレント映画からトーキー映画へとシフトしようとする映画界の舞台裏を、ドン(ジーン・ケリー)とキャシー(デビー・レイノルズ)のロマンスとともに描いています。数多くの名曲・名シーンが光る同作ですがここで取り上げるのは、もちろんドンが雨の中で「Singin' in the Rain」を歌い上げる場面です。

 口づけを交わしたキャシーに「おやすみ」を告げたドンは、キャシーから「ノドを大事にね。今や歌うスターよ。今夜は夜露が重いようだから」と夜露どころではない、大雨の中で忠告されます。そしてドンに見送られ家の中に入っていくキャシー。残されたドンは迎えの車に乗らず、雨の中を歩き始めます。そして口から歌があふれてくるドンはやがて傘をさすのもやめ、びしょ濡れになりながら雨の中で歌い、そして踊ります。目の前に現れたら「こいつヤバい奴かも」と思ってしまいそうですが、ドンは本当に幸せそう。雨でこんなに幸せになれるのであれば他人にどう思われようが関係ないじゃないか! 雨音のおかげで大きな声を出しても近所迷惑にならないのかと気づかされました。歌い終えた彼は傘のない通行人に自分の傘を渡してしまうほど、雨に濡れることを嫌がりません。雨だけど、まさに天晴れな濡れっぷりでした。

雨の中で抱き合うカップルはなぜ美しいのか

きみに読む物語
雨に濡れるカップル - New Line Cinema / Photofest / ゲッティ イメージズ

 日本とアメリカの間には当然文化の違いがあります。箸を使う日本人。ナイフとフォークを使うアメリカ人。車の右ハンドルと左ハンドル。コンビニの店員さんの礼儀正しさとフランクさ(アメリカでフランクすぎて電話しながら対応する店員さんに遭遇しました。まさに『未知との遭遇』)。しかし何といっても日本とアメリカで最も違いが出るのは恋人同士の人前でのイチャつき度合いだとここで断言しておきます。アメリカ人のカップルは日本人カップルよりも圧倒的にイチャつきます。どんなつなぎ方!? とビックリするような体勢で手をつなぎ、人前でも(たとえ両親の目の前でも)、堂々とキスをします。最近は日本人カップルでもたまに駅の改札前で別れを惜しんでいる人たちがいますが、そんな人たちにはこう言いたい。「雨でびしょ濡れになりながらイチャつきなさい」と!

 今年2月に発表された米アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した映画『スポットライト 世紀のスクープ』に出演し、先日初来日したレイチェル・マクアダムス。そして『ブルーバレンタイン』『ドライヴ』などのイケメン俳優ライアン・ゴズリング。この2人が雨に打たれながら抱き合っていたのが、身分違いの純愛を貫く若き恋人同士の情熱的な愛とその行く末が描かれている映画『きみに読む物語』です。

 この映画、驚くほどキスシーンが多く、初デートにはちょうどいい恋愛映画だと思って観に行った高校生カップルが少し変な空気になったという意見があるとかないとか。しかし数ある美しいキスシーン中から、DVDのパッケージの表紙に使用されているのは、良家の子女アリー(レイチェル)と地元の青年ノア(ライアン)が雨に濡れながら夢中で抱き合っているシーンです。本作をご覧になった方ならご理解いただけると思いますが、このシーンは晴れていてはいけない。曇りでもいけない。雪だと寒すぎる。そう、雨でないといけないのです。雨の中でお互いの絆を確かめ合う2人は本当に美しいです。彼らの頭の中に「傘忘れた」なんて考えは一切ありません。雨の中で愛する人と抱き合うことはきっと特別な思い出になるに違いありません。今の季節はその思い出づくりのチャンスです。手をつないで雨の中のアバンチュールに出かけてきてください。

雨に向かってワッシャーできるというフリーダム

 「雨はいい!」「濡れたっていいじゃない!」と書いてきましたが、大抵の人はまだまだ雨が降ったら傘をさそうと思っていることでしょう。なぜなら雨に濡れてしまうことで発生する不都合にあなたは“囚われて”いるから。「雨に濡れたらポケットの携帯はどうなる?」「お気に入りの服が濡れちゃう?」「ヘアスタイルが台無しだ」「せっかく傘買ったのに」。そういった不都合があなたを雨から遠ざけるのでしょう。答えは簡単です。「携帯は防水加工の袋に入れてください」「服はあとで乾かしてください」「人は自分以外の髪型に興味がありません」「日傘として使いましょう」。これで全てが解決しました。いい大人が、あえて雨に濡れまくる。これほど自由なことが他にあるでしょうか。

ショーシャンクの空に
雨に濡れる自由も奪われていた - Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 自由のために希望を捨てない男が主人公の感動作『ショーシャンクの空に』。無実の罪で捕まったアンディ(ティム・ロビンス)はどんな過酷な状況に追い込まれても自分の心の中に希望を灯し続けていました。そんな彼が自由のために戦い、もはや彼の人生に訪れることはないと思われた自由を手に入れた瞬間に彼がしたこと。それは両手を広げ、力いっぱい雨を浴びることでした。幸せそうに雨を浴びる彼の顔を見ていたら、「雨浴びたかったー」という台詞が遠くから聞こえたような気がしました。

ショーシャンクの空に
ワッシャーできたアンディ- Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

雨を浴びていられるのは今のうち!?

 雨を浴びたくなってきましたか? 明日の天気予報をチェックして「なんで梅雨なのに明日は晴れなんだ!」と地団駄を踏んでいる方もいることでしょう。仕方がないからと雨のかわりにシャワーを浴びても水道代がかかってしまいますし、外で水を浴びる開放感は味わえませんね。ご存じの通り、雨は無料です。「無料なのに素晴らしい雨を人類はもっと浴びるべき!」そう私たちに呼びかけている映画を最後に紹介します。ハリソン・フォードがハン・ソロでもインディ・ジョーンズでもなく、ブレードランナーのリック・デッカードを演じているSF映画の金字塔『ブレードランナー』です。

ブレードランナー
ハン・ソロでもインディ・ジョーンズでもないハリソン・フォード - Warner Bros / Photofest / ゲッティ イメージズ

 巨匠リドリー・スコット監督が手がけた本作は、続編の制作が発表されており、ハリソンが再びデッカード役で出演予定。また、役どころは明らかになっていませんが、前述の雨が似合うイケメンライアン・ゴズリングも出演すると米ワーナー・ブラザースが明らかにしています。

 この作品で描かれている近未来では梅雨なのかなと思うくらいよく雨が降っています。かといって「なんてことだ! うらやましい!」と思ってはいけません。雨は雨でもこの世界に降り注いでいるのは酸性雨。『雨に唄えば』のドンが浴びていた平和すぎる雨とは全くの別物です。この作品も他の映画と同様に雨が映画の小道具として活用されており、世界観を引き立てているのですが、この映画に出てくる雨だけは観ている側も浴びたくなる雨ではなく、浴びている人が心配になる雨です。スコット監督が映画の中に隠れた表現を多数ちりばめ、カルト的人気を集めている本作。降りしきる雨には「みんな、雨を浴びていられるのは今のうちだぞ。雨浴びた方がいいぞ」というメッセージが込められているに違いありません。

ブレードランナー
ブレードランナーで描かれた世界では酸性雨が降り続けていた- Warner Bros / Photofest / ゲッティ イメージズ

最後に

 梅雨という一年に一度の雨の季節に、雨にまつわる映画について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。やはりさまざまな事情により、雨を浴びるのはちょっとという方には「雨だからってお互いピリピリするのはやめましょうね」とお伝えしたいです。そしてこの特集を読んで雨に濡れるのもいいな! と思っていただけた方! 風邪だけは引かないようにお気をつけください。

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