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「怒り」とは何か 映画『怒り』オールスターキャストが激白

怒り

 『悪人』李相日監督が再び吉田修一のミステリー小説を映画化した『怒り』。「『オーシャンズ11』のようなオールスターキャストを」という吉田の要望もあり、日本を代表する豪華俳優陣が顔をそろえた。キャストたちは本作のタイトルでもある「怒り」をどのように捉えたのか。渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡の7人がそれぞれの思う「怒り」を語った。

渡辺謙

燃えたぎるような温度感 渡辺謙

 仮想敵をとっかえひっかえしながら礫(つぶて)を投げているようなイメージではないですね。誰でも思い通りにならないことってあると思うんですが、そういうときに感じる「憤り」に近いものかもしれません。拳を振り上げているというよりも、拳をぐっと握りしめている、みたいなイメージでしょうか。地殻変動までは起こさないけれど、燃えたぎるような温度感。それが僕の思う本当の「怒り」のような気がします。

森山未來

なぜ犯人は壁に「怒」と書いたのか 森山未來

 この映画の犯人は壁に「怒」と文字を書き残しますが、それは誰かに向かっていたのではなく、自分自身に向かっていた感覚なのではないかと思ったんです。その人はおそらく、他者と関わることを恐れている。でも、どこかに「自分にも何かできたかもしれない」という良心があって、それが捻くれた結果として、あの文字を選んだ気がしたんです。

松山ケンイチ

世間の流れと自分の生き方との矛盾 松山ケンイチ

 「怒り」という感情を掘り下げていったら、“世間の流れと自分の生き方との矛盾”や“他者との感覚のズレ”みたいなものがどんどん出てくると思うんです。なんか違和感があるな……と感じながらも、それが何か知らないまま生きていると、無意識のうちに「怒り」という形で表に出てくるような気がするんですよね。自分の根本的な問題に向き合わないと、解決できないことなのかもしれません。

綾野剛

内生的な怒りは人を豊かにする 綾野剛

 外的な要因による「怒り」は、瞬間的に生まれ、瞬間的に消え去るものが多いですが、自分の内面から生まれる「怒り」は、一筋縄ではいかず長引きます。でも、人間ってそういう生き物だし、内生的な「怒り」は人を豊かにし、成長させるものでもあると、僕はポジティブに考えています。この作品でいえば、皆さんの芝居に圧倒されて、「自分が一番できていないんじゃないか、足を引っ張っているんじゃないか」という怒りを覚えました。

広瀬すず

わたしはひたすら耐えてしまう 広瀬すず

 劇中、わたしが演じた泉は大変な出来事に遭遇しますが、こみ上げる感情をストレートに言葉にできず、前だけを見て生きようとする。演じていたわたしも落ち着かず、メラメラしてきて、何かに気持ちをぶつけたくなったのを今でも覚えています。「怒り」の感情が芽生えたとき、人にガンガン言える人と、言えない人に分かれると思いますが、わたしは余程のキッカケがない限り、直接伝えることができないです。泉は感情が頂点に達すると「怒り」を言葉に表しますが、わたしはひたすら耐えてしまう方なので。

宮崎あおい

何日か経ってから気付く 宮崎あおい

 わたしの場合、すごく失礼なことを言われても、何日か経ってから気付くことが多いので、あまり「怒り」を表に出したことがないですね。もちろん、言われた瞬間に気付くこともありますが、自分の感情をどう表現すればいいのか、すぐに出てこないんです。「あの時、何も言え返せなかった」と後悔することがよくありますが、その気持ちを誰にもぶつけることができないので、しばらく悶々と過ごしながら、そのうち忘れてしまう。だから、ケンカすることもないんです。

妻夫木聡

二股されたときのあの感情? 妻夫木聡

 「怒」は「女」の「又」に「心」と書くので、二股されたときのあの感情から来ているのかな? ってみんなでバカ話していたのですが……言い表すのが難しいですね。僕は感情を押さえ込んでしまうタイプなので、自分の中に溜めて、家に持ち帰ってお酒で流してしまえばいいやって思ってしまう。人の言動や行動に腹が立っても、「なんで言い返せなかったんだ」「なんであんなふうに言われることをしたんだ」とか、自分に対する反省ばかりで、そんな自分にまた「怒り」を覚えるという悪循環なんです。

取材・文:坂田正樹、斉藤由紀子 写真:高野広美

映画『怒り』は9月17日より全国公開

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