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『スター・トレック BEYOND』サイモン・ペッグ単独インタビュー~スポック役レナード・ニモイさんをストーリーで追悼~

サイモン・ペッグ

 シリーズ第3弾『スター・トレック BEYOND』(公開中)でエンジニアのスコッティ役に加え、脚本も担当したサイモン・ペッグが8年ぶり2度目の来日! 脚本の執筆プロセスから撮影秘話、さらには『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『ミッション:インポッシブル』第6弾、エドガー・ライト監督&ニック・フロストとの新たなプロジェクトの進捗状況までたっぷり語りました。(取材・文:編集部・市川遥 写真:日吉永遠)

Q:脚本はどんなアイデアからスタートしたのでしょう?

ダグ(共同脚本のダグ・ユング)と僕は真っ白なページから始めた。最初はすでにある脚本をリライトするのかと思ったんだけどね。僕たちは、クルーがオリジナルシリーズでよく語られていた5年間のミッションに出た、というアイデアから始めて、たぶんそれは2~3年目で、今まで訪れたことのないほど宇宙の深いところにいて、会ったこともない敵と対峙する……と考えていった。

サイモン・ペッグ

Q:元祖スポック役のレナード・ニモイさんの死が脚本に与えた影響は大きかったんでしょうね。

レナードが亡くなったのは2月で、僕たちが脚本を書き始めたのは1月中旬。だから彼の死は、執筆プロセスの本当に初期のことだったんだ。だから映画の最後に名前を出すだけじゃなく、レナードをストーリーの中で追悼することができたら、と思った。レナードと彼のキャラクター=スポックの死をストーリーラインに入れて、それをザック(ザカリー・クイント)演じるスポックの旅路の一部にしたかった。僕たちはそれがレナードのトリビュートにぴったりだと思ったから。そこからストーリーを形作ろうとしたんだ。

Q:「スター・トレック」生誕50周年の記念作品でもありました。どうやって、昔からのファンとそうではない人たちのどちらにもアピールできる映画を作ったのですか?

もともとのファンが存在する何かを扱おうとすると、いつでもファンとそうでない人たちにどうアピールするかというジレンマに直面することになる。「スター・トレック」で言えば、基本に立ち返ればいいと思った。本質的に人間愛の物語で、宇宙と冒険が含まれている。それは予備知識がなくても受け入れられるものだから。僕たちが望んだのは、『スター・トレック BEYOND』を本当にいいアドベンチャーにして、「スター・トレック」を一度も観たことがなくても理解できるものにすること。もし「スター・トレック」ファンじゃなければ、本作は大変な危険の中に置かれたクルーたちの物語だ。それ以外のことは知らなくても大丈夫。もし「スター・トレック」ファンならば、そこにあるものが他の意味を持ってくる。過去に何があったかを知っているわけだからね。

Q:もしファンのみに向けて作るならどんな感じになるのでしょうか?

うーん、それだったらやらないかな。あまりにファンとして考えてしまうと、それはただのトリビュートで何も新しいもののない映画になってしまうから。何もかもが知っているものというのではだめで、何か新しいこと、何か違うことをやらなくてはいけない。最近、何人かのフィルムメイカーがリメイクとか、リブートとか、前日譚を作る際に犯してしまったミスは、模倣しすぎ、つまりもう一度同じことをしようとしてしまったこと。それは間違いだ。常に前進させていかなくては停滞してしまう。そう思うよ。

サイモン・ペッグ

Q:今回クルーがペアになって行動することになります。この組み合わせはどうやって決めたのですか?

スポックとボーンズを一緒にしようと最初に決めた。彼らは正反対の世界の見方をする素晴らしいキャラクターで、一緒にしないなんてバカげている。彼らを一緒にすれば、すぐに緊張感とコメディーと優しさと温かさが生まれるからね。そこからほかのペアを決めていって、カークは最年少のチェコフと。父と息子みたいな関係性がもたらされた。ウフーラはスールーとで、なぜなら彼らが一緒に居るところを見たことないから。この二人ってしゃべったことあるの? って(笑)。彼らを難しい状況において協力させ、お互いのことを知ってもらおうと思った。

スコッティとジェイラはいわば年寄りと若者のペア。スコッティはちょっとダサくて自分のやり方に固執していて、ジェイラは新しくてダイナミックで未来を見ている。彼女はスコッティが嫌いな古い音楽が好きなわけだけど、それは僕たちの未来が若者たち、次の世代と共にあるというアイデアだ。彼らは重要な人たちだ。そうやってそれぞれのペアはとても論理的に決まったよ。

Q:どのペアの会話が一番書きやすかったですか?

スコッティのセリフを書くのはとても簡単だったね。ほら、僕がスコッティだから(笑)。そしてジェイラのセリフを書くのは本当に楽しかった。彼女は新しいキャラクターで、僕たちがゼロから作り上げることができた。ほかのキャラクターは今までの関係に依るものが大きいんだけど、彼女は僕たちのもので、だから楽しかった。でも一番楽しかったのは、やっぱりボーンズとスポックかな。嫌々認め合っている二人の間にはとても温かいものがあって、そうしたシーンを書くことができるのは素晴らしくて、そして脚本を現実のものにしてくれるこの役柄を演じるのがうまい二人のいい俳優がいるわけだから。

サイモン・ペッグ

Q:今回、スコッティとキーンザー(スコッティの相棒)のシーンはあまりなかったですね。

そうだね。今作ではスコッティに自分自身を越えさせたかったんだ。彼はキーンザーに頼りすぎていたから。このペアはとても面白くて、本編には入らなかったけど、エンタープライズ号が攻撃されてスコッティとキーンザーが離れ離れになるとき、スコッティが赤シャツの乗組員たちに「彼を頼む!」というようなことを言うシーンがあったんだ。スコッティとキーンザーが一緒のシーンを演じられたのはよかったよ、彼らはいい友達だからね。だから今や、スコッティ、ジェイラ、キーンザーの3人で家族みたいな……小さなティーンネキシーのケヴィンも入るかな。この4人でスピンオフ映画ができるかもね(笑)。

Q:撮影中も脚本を書かれていたと聞きました。そんな中で演技に集中するのは大変ではなかったですか?

この二つに関しては分けて考えないといけないんだ。僕はいつもでも演技をしていないときは、脚本家として現場に居た。書いていないときは、演技をしていた。でもすぐに対応できるからいいポジションだと思う。午前中にあるシーンをやって誰かが疑問があれば、僕たちはすぐその問題を解決できた。脚本家がセットにいるわけだから。毎日セットに居たから、これまでの『スター・トレック』の映画で一番忙しかったよ。

Q:「スター・トレック」のファンとして“これは絶対書きたかった”というセリフはありましたか?

ああ、そのことはすごく意識していた。そうしないように抵抗していたんだ。おなじみのセリフを入れることでファン映画のようにはしたくなかったから。カール(・アーバン)が、ボーンズは「私は医者だ、ファイターパイロットじゃない」って言う、って提案してきた……いや「私は医者だ、F***」ってFワードを言いそうになっているような感じか。カールはこのセリフが脚本になかったって言うんだけど、僕はあえてそれを入れてなかったんだ。「あぁ、あのセリフね~!」みたいな感じになってほしくなくて。でもこのセリフは入れられて満足だ。とてもおかしい瞬間になったし……でも執筆するときはファンとしての見方は横に置いておかなくてはいけない。そうしないとYouTubeのビデオみたいな感じになりすぎてしまうから(笑)。

サイモン・ペッグ

Q:撮影で一番記憶に残っていることは何でしょう?

撮影では本当にたくさんの楽しいことがあった。素晴らしい時間を過ごせたよ。僕にとってはやっぱりアントン(・イェルチン)だ。彼とあんなにも楽しい撮影ができて、彼とあんなにもたくさんの時を過ごせた。撮影の思い出はいつもアントンと共にある。彼の死には打ちのめされたけど、ずっとこの思い出を幸せなものとして覚えていられたらと思う。とてもとても幸せで楽しい撮影で、みんなでバンクーバーに住み、ずっと一緒に過ごした。全ての仕事がこんなふうだったらと思うよ。

Q:ドバイにも行ったんですよね?

撮影の最後にね。約2週間だけど、すごく暑かった(笑)。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』の撮影で来たこともあったし、楽しい場所だ。

Q:撮影中はトレーラーに戻らないと聞きました。

ああ、ずっとセットにいたよ。スタジオにテントがあって僕たちみんなに自分の椅子があって、そこに戻って座って、一緒に過ごして、ザック(ザカリー・クイント)がバンジョーを弾いて、みんなで歌って……素晴らしかった。もう10年近く一緒にいるからね。だからお互いにとても親しいし、ほとんどの時間はただ一緒にいて……ときにはただ一緒に昼寝するってことも。僕とアントンとクリス(・パイン)がグーって寝ているだけの写真をたくさん持っているよ。椅子で寝ちゃうんだ。でもとても居心地がいい。なぜなら僕たちはお互いを愛しているから。

Q:初参加となったジェイラ役のソフィア・ブテラとの仕事はどうでしたか?

ソフィアのことは大好きだ。素晴らしくてダイナミックなパフォーマーで、フランス系アルジェリア人だからフランス的な要素もすてきで。とてもリラックスしていて超クール。本当に献身的で、毎朝2時に起きてメイクされていた。8時からの撮影に間に合わせないといけないからなんだけど、彼女は決して文句を言わなかった。僕はジェイラというキャラクターに完全に恋しているんだよ。彼女は強くて楽しくて、子供のような純真さがあるけど戦士なんだ。超クールだよ。もし可能なら、また登場してほしい。

Q:カークは本作で船長としてのモチベーションを見つけました。次はどこへ向かうのでしょう?

どうだろうね。僕たちの宇宙ではカークは生まれた日に父親を亡くしている。だから彼がスターフリート(宇宙艦隊)に加わった理由は今までと違っていて、混乱していて、僕たちは彼にそれを克服して、彼が何者であり、なぜそうしたのかを理解してほしかった。次に彼がどこへ向かうのか、それはわからないな。今、第4弾の執筆には関わっていないから。参加できたらとは思うけどね。シリーズの連続性は必要だから、今執筆している脚本家たちと会って、ダグと僕が始めたこと、これまでの作品で始めたテーマのいくつかが続くように伝えたい。もちろん、彼らが素晴らしい仕事をするのは間違いないと思っているよ。

サイモン・ペッグ

Q:J・J・エイブラムスとの関係について教えてください。

もう友達になって10年以上になる。彼は僕の人生に素晴らしい影響を与えてくれたよ。最初に『M:i:III』に出ないかって電話があって、『スター・トレック』のスコッテイ役をオファーしてくれて、一緒に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』もやった。J・Jと知り合ったことでものすごいものをもらったよ。それに彼は友達でもある。彼のやることが好きで、彼の情熱、姿勢、インスピレーションが好きだ。彼を友達と呼べてとても幸運に思う。

Q:J・Jは『スター・トレック』だけでなく、『スター・ウォーズ』の新シリーズをスタートさせるプロジェクトでも指揮を執りました。

たぶん『スター・トレック』で素晴らしい仕事をしたから、すぐに候補に挙がったんだと思う。J・J・エイブラムスという人間は大変な仕事を差し出されたら、やってしまうんだよね。それが彼という男なのさ。興味深いのは、彼は『スター・トレック』ファンよりももっと『スター・ウォーズ』ファンとして育ったということで……。

Q:あなたもですよね?

そうだね。『スター・ウォーズ』が公開されたとき僕は7歳、まさに僕の年齢に合っていたんだ。「スター・トレック」はもっと年上の観客向けだった。最初にアメリカで放送されたとき、夜9時スタートだったし。成長して「スター・トレック」のことを好きになったよ。ふさわしい年齢になったんだと思う。3歳か4歳の頃、「スター・トレック」シリーズを観たことを覚えているけど怖かったから(笑)。でも大きくなってSFに対する嗜好もより洗練されて、「スター・トレック」の価値が本当にわかるようになった。どんなに革新的だったかとね。だからティーンの時代から大人になるにつれ、「スター・トレック」は僕にとってとても重要なものになったんだ。

Q:そしてどちらの作品にも貢献されました。

特に『スター・トレック』にはここ数年、脚本家としてもパフォーマーとしても集中してきた。途方もない仕事だったよ。『スター・トレック』に貢献できて、実際にキャラクターや世界を作り上げて、その世界に自分のサインを残せるなんて。『スター・ウォーズ』をやるのも楽しかった。自分が大人になってこの二つの作品の中に入ったり、作ったりすることになるなんて夢にも思わなかったから、夢がかなった以上のものだよ。

サイモン・ペッグ

Q:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でのことを教えてもらえませんか?

ジャンクディーラーのアンカー・プラットを演じたんだ。今まで人生で楽しかったことの中でも最も暑かった。大きなファットスーツにマスクを着けて、気温50度のアブダビで演じるのはとても大変だったよ。眼球から汗かいた(笑)。そしてJ・Jがセットで脚本を書いているときには傍にいた。なぜなら僕は脚本家でもあるからね。それで提案をしたりして、いくつかのシーンについて一緒にとことん話し合った。そうした面で製作に関われるのはいいよ。だからとても素晴らしい夏になった!(笑)

Q:来年の春には『ミッション:インポッシブル』第6弾でまたベンジーを演じるんですよね?

そう思うよ、うん。そういう予定だ。近々もっと情報がもらえたらいいんだけど。でもクリス(トファー)・マッカリーが今、脚本に一生懸命取り組んでいるのは知っている。この間、トレーニングを始めるようにと命じられたから(笑)、3月、4月に撮影なんじゃないかと思っているよ。

クリスは素晴らしい脚本家だから、物語をまた一段上に押し上げてくれると思う。ベンジーはたくさん変化していっているから、彼を演じるのは本当に楽しいんだ。次の成長を演じるのが待ちきれないよ。一般に映画では1度あるキャラクターを演じたら終わりだけど、幸運だったら2度以上演じられる。僕はそれをベンジーとスコッティでやっているんだ。特にベンジーはオフィスで働くITエンジニアだったのが、シークレットエージェントになった。彼の成長と僕の成長は鏡写しになっていて、ベンジーはシークレットエージェントの世界を見ていたのが、その世界に入るようになった。それって僕がやったことだよ。オタクだったのが、オタクが好きな映画の中に入ることになった(笑)。

Q:エドガー・ライト監督、ニック・フロストとまた一緒にやる企画もありますよね?

エドガーは『ベイビー・ドライバー(原題) / Baby Driver』の撮影を終えたばかりで……ちょっと観たけど次の次元にいく素晴らしい映画になると思う。ニックは今AMCのドラマ(「バッドランド ~最強の戦士~」シーズン2)をダブリンでやっていて……だけど僕たちはいつも話している。仕事仲間だけど友達でもあるからね。ほとんど毎日話している。やろうとしているのは、一緒にできる時間を見つけること。みんなスケジュールが詰まっているから難しいんだ。でも確実に僕らのToDoリストに載っているよ。

映画『スター・トレック BEYOND』は公開中

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