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SNSで話題!ミシェル・ヨー主演「ブラザーズ・サン」は何が面白い?

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Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中

 ミシェル・ヨー主演のNetflixオリジナルドラマ「ブラザーズ・サン」が好評だ。アメリカ・ロサンゼルスで再会した台湾裏社会一家の戦いを通して、家族のあり方を描き出す内容で、SNSには「本当に面白かった」「一気に観終わった」「最終話を受け入れるのが嫌」など絶賛の声が相次いでいる。「ブラザーズ・サン」のいったい何が面白いのか、その魅力をひもといてみたい。(※一部ネタバレを含みます)。(文:大山くまお)

アクションと笑いの絶妙なバランス

 台湾最大の秘密結社(トライアド)のボス、父親ビッグ・サンが狙撃されるところから物語が始まる。椅子の脚で10人を殴り殺したことから“チェアレッグ”の異名を持つ一家の長男・チャールズ・サン(ジャスティン・チエン)は、「家族を守れ」という父の言いつけに従ってアメリカへ渡る。ロサンゼルスには母親ママ・サン(ミシェル)と裏社会について何も知らない大学生の弟・ブルース・サン(サム・ソン・リー)が暮らしていた。やがてトライアド、警察、新たな勢力などが入り乱れ、激しい抗争が繰り広げられる。

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Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中

 冒頭からアクションの乱れ打ちで一気に視聴者を引き込んでいく。『ジョン・ウィック』ばりの近接戦闘にマーシャルアーツの要素をミックスさせたジャスティンのアクションはキレキレ。刃物、銃、棍棒だけでなく、手近なものを使って次々と襲いかかる刺客を仕留めていく。ゴルフ練習場で何十人もの相手をなぎ倒していくエモーショナルなアクションは見ものだ(ファイトコーディネートはミニシリーズ「ザ・コンチネンタル ジョン・ウィックの世界から」を手がけたマイケル・レアが担当)。

 とはいえ、アクションだけでなく笑いの要素もふんだんに盛り込まれているのが本作の特徴。無敵の殺し屋チャールズの趣味はお菓子作りで料理番組「ブリティッシュ・ベイクオフ」を楽しみにしている。裏社会のホームパーティーではチャールズに余興で呼ばれた着ぐるみの恐竜たちが襲いかかってきたり、敵組織に囚われた母を助けるために銃を握ったこともないブルースが意表を突きすぎる方法を選んだりと、シリーズ全体を通して“緊張と緩和”のバランスが絶妙なのだ。

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趣味はお菓子作り! - Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中
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家族をめぐる“アクション・ホームドラマ”

 いわゆる“極道の女”である肝っ玉母さんを演じるのは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したミシェル・ヨー。本作はミシェル演じる貫禄たっぷりのママ・サンと「孫(サン)家の兄弟」のチャールズとブルースをめぐる“アクション・ホームドラマ”と言っていいだろう。なお、食事シーンが多いのがホームドラマの特徴だが、本作にも食事シーンがそこかしこに散りばめられている。

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Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中

 本作は『ジョイ・ラック・クラブ』やミシェルも出演した『クレイジー・リッチ!』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に連なる「アジアからの移民」という大きなテーマがある(実際にスタッフ・キャストのほとんどはアジア系が占める)。移民だからこそ、寄り添って生きる家族が大切になる。

 激しいアクションの合間に、10数年ぶりに再会した兄弟の確執と絆(賢いんだけどぼんやりしているブルースと彼を放っておけないチャールズがキュート)、弟を溺愛する母と兄の微妙な感情などがじんわりと描かれていく。そして繰り返し登場する「家族を守る」という言葉。ここには二つの意味が込められている。一つは文字通り血を分けた家族、もう一つは裏社会の組織としての“家族”だ。その背後には絶対的な権力を持つ父親と彼が重視する伝統的な家父長制がある。母と兄弟はそれぞれのやり方で“家族”の呪縛から家族を守ろうとするが、やがて自分なりの選択をする。チャールズのお菓子作りにも大きな意味が込められているのがわかるだろう。観終わったらチュロスが食べたくなること請け合いだ。

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チュロスが本当においしそう! - Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中
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布袋寅泰も!絶妙な選曲

 見どころの多い本作だが、ここでは多彩かつ絶妙な選曲を挙げておきたい。多種多様な音楽、特にアジア系のアーティストをピックアップすることが意図されており、新しい曲と古い曲、東洋の曲と西洋の曲がミックスされたサウンドトラックが奔流のように鳴り響いている。

 第1話だけ見ても、1950年代に活躍したR&Bシンガー、ルース・ブラウンの曲で始まり、クラブのシーンではショーン・ワサビの曲が印象的に使われている(かすかにリナ・サワヤマの曲も流れている)。第2話でミシェルが麻雀クラブに入っていく場面で流れていたのはナンシー・シナトラの曲。その後、チャールズとブルースが恐竜の着ぐるみたちと大バトルを繰り広げるときのBGMは布袋寅泰の「Battle Without Honor or Humanity #3」(オトシマエ)! どこか『キル・ビル』を思い起こさせる選曲だ。その他、ザ・ローリング・ストーンズからケンドリック・ラマーエリック・サティも使用されている。

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恐竜の着ぐるみたちと大バトル! - Netflixシリーズ「ブラザーズ・サン」は独占配信中

 また、音楽は登場人物の心情も表している。台湾からやってきたトライアドのボスの一人がママ・サンの前で歌ったのはテレサ・テンの曲。とある移民スターの家でチャールズがカラオケで歌った「ザ・ファースト・カット・イズ・ザ・ディーペスト」(ロッド・スチュワートのカバーで知られる)は、辛い初恋の歌であり、幼なじみの女性と訣別した直後のゴルフ場でのアクションシーンではワン・ボーによる中国語版が効果的に使われている。第8話のラスト近くで流れるレッド・ツェッペリンの「時が来たりて」も「君のやりたいことをやりなよ」という歌詞がぴったりだ。

 アクションに迫力があり、兄弟はキュートで、伏線があちこちにあって、音楽は楽しく、深いテーマもある。一気観した後は、ぜひ何度もリピートしてほしい。

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