[シネマトゥデイ映画ニュース] デヴィット・クローネンバーグ監督と映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』以来再びタッグを組むことになったヴィゴ・モーテンセンに新作映画『イースタン・プロミス』について、ニューヨークで話を聞くことができた。
世界中で大ヒットした『ロード・オブ・ザ・リング』3部作で、アラルゴンを演じて世間に名を馳せたヴィゴ・モーテセンだが同作では、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』同様、謎の多い人物を演じる。本作はロンドンのロシアン・マフィアを描いた犯罪バイオレンス映画で、出産直後に死亡した少女の日記を元に、極悪非情なマフィアの存在が徐々に露呈されていくストーリー。
−この映画のためにどういった特別なトレーニングをしましたか?
(ヴィゴ・モーテセン)ロシア軍隊の訓練用のマニュアルから戦闘方法や防御方法を学んだんだ。ただ、映画に必要な肉体形成をしただけで、完璧な肉体にしようとはしなかった。演じた役は、ロシアン・マフィア・ファミリーのドライバーとして仕えている男だから、比較的良い暮らをして、良いものを食べていると想定し、役柄に現実味のあるバランスの取れた鍛え方をしたつもりだ。この映画が優れているのは、そういったキャラクターの持つリアリティー性にもあるんだよ。
−あなたの演じた役ニコライの役作りのために、何かバックグラウンド・ストーリーを自分で考えたりはしたのでしょうか?
(ヴィゴ・モーテセン)僕はいつも脚本の最初のページを読む前に、役柄の背景を自問してみるんだ。この男はどこで生まれ育ち、これまで何をしてきて、今なぜこの場にいるのかと追求したりしてみる。今回は、まずロシア語を的確に話せるだけでなく、ちょっとしたスラングも話せるようにしたかった。さらに、反対車線(イギリスとアメリカでは違う)でも、ドライバーとしてメルセデス・ベンツをしっかり乗りこなせるようにもしたかったんだ。そのため、撮影に入る前に実際に2週間だけロシアに旅行してきて、視覚や嗅覚がもたらした感覚を記憶に入れてきたんだ。
-デヴィット・クローネンバーグと再び仕事をしてみていかがでした?
(ヴィゴ・モーテセン)前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でもそうだったんだけど、役の分析に関した質問は最小限にして、ただ彼の前で演じてみせるだけなんだ。僕には彼が何もしゃべらなくても僕のどの演技が気に入っているかわかるんだ。いったんそのような信頼関係を保てると、ほかの俳優の演技やシーンにも余裕ができて協力しやすくなる。だから彼から得られる安心感はとても大切だし、仕事に対して無私無欲な状態で望むことができるんだ。
−前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』と同様に今回もバイオレンスなシーンが多いのですが、前作を比較してみてアプローチに大きな変化はあったのでしょうか?
(ヴィゴ・モーテセン)もちろんそれぞれの役ごとに違うけど、できるだけ多くの演技の引き出しを持とうと思ってるんだ。人は絶え間なく興味深くユニークな生き物で、さまざまな状況下によって振る舞いや反応が極端に変わったりするからなんだ。前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の役では、意識的に過去を忘れたり、真実をゆがめてみたりしたけど、今回の作品の役は、秘密を持ってはいるけど何をしなければいけないのか、なぜそれをしなければいけないのかを明確に理解していて、自分を欺いたりはしてないんだ。だから役柄的に全く違うアプローチだった。
脇役を演じていたときでさえ一筋縄ではいかないような強力な個性を光らせていた彼だが、最近は主役の作品が増えてきている。その彼の魅力を充分に堪能できるがこの作品であろう。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)
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