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『ノルウェイの森』話題集中の性描写は役者の表情と息づかいのみで表現!

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『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督
『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督 - Photo:Harumi Nakayama

 第67回ヴェネチア国際映画祭に続き、カナダ・トロント国際映画祭にも参加中の映画『ノルウェイの森』(12月11日公開)のトラン・アン・ユン監督がこのほど取材に応じ、主演の松山ケンイチ菊地凛子の魅力について語った。

映画『ノルウェイの森』場面写真

 同作品は村上春樹の同名小説が原作で1960年代を舞台にした主人公ワタナベと心を病んでしまった恋人・直子、そして奔放な緑の、究極の恋物語。映画化が発表されたときに誰が演じるのか話題になったが、ユン監督はオーディションで松山、菊地、そしてモデル出身の新人・水原希子を選んだ。そして3人にはまず、ベルナルド・ベルトルッチ監督『ドリーマーズ』を観賞するように勧めたという。

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 同作品は1960年代のフランス・パリで学生を中心に起こった五月革命を背景に、3人の男女がアパートの一室で愛欲に溺れる退廃的な日々を描いた官能ドラマ。のちにボンドガールに抜てきされるエヴァ・グリーンの完璧ヌードが話題になった。観賞した菊地は「(劇中)ずっと裸で寝っ転がるのかと思った」と苦笑いし、松山も「あの映画はすごかった」と振り返るなど、赤裸々な性描写が多い村上作品だけにユン監督がどんな演出をするのか戦々恐々としていたようだ。しかし実際は、役者の表情と息づかいのみで性描写を表現。ユン監督は『ドリーマーズ』を勧めた狙いについて「『ドリーマーズ』ほど体は見せないが、自分たちの体を使って、言葉を発せずとも色っぽさを表現できるんだということを感じて欲しかった」と語った。

 また、松山の魅力について「ケンイチはフェミニンな資質(女性らしい優しさ)があると思う。自分から直接何かを表現するというより、外から入って来たものを受け入れ、それを自分で消化してからまた外に出す。それができる資質を持っているというのが、フェミニンだと思う。実際、ワタナベというキャラクターの素晴らしさは聞き手として優れているのだが、ケンイチにもそれがあると思う。映画の中盤、ワタナベは直子(菊地)の独白をずっと聞いているだけなのだが、でもワタナベの表情を見ると、ちゃんと彼女に心を配って耳を傾けているのがわかるんだ」と語った。

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 一方、菊地については「グレートの一言」と賛辞を惜しまない。その一例として、ユン監督は「直子の誕生日にワタナベと初めてセックスするシーンで、カメラマンのリー・ピンビンにギリギリのところまで寄ってもらったんです。でも、直子が泣く瞬間、カメラが近過ぎてしまった。そこでリーさんは徐々に後ろに下がっていったんだけど、凛子はカメラが良い位置にくるところまでタイミングを待ってから泣き出したんです。これは映画作りを知ってるな……と関心しました」と頬を緩ます。

 そもそもユン監督は、「日本人の顔、表情を撮りたい」と題材を探していたところ、『ノルウェイの森』にたどり着いたのだという。ユン監督は「日本人は、日本人じゃない監督が日本の作品を作るとどう印象が変わるのか。その違いを見出してくれるので面白い」と、日本での観客の反応を楽しみにしている様子だった。(取材・文:中山治美)

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