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放射性廃棄物処理場がテーマの映画を今なぜ公開するのか?来週は都知事選、原発推進派に票を入れるのか再考を

放射性廃棄物処理場がテーマの映画を今なぜ公開するのか?来週は都知事選、原発推進派に票を入れるのか再考を
上映後、観客とディスカッションを行うアップリンク社長・浅井隆氏

 2日、福島第一原発事故に日本中が目を向けているなか、フィンランドで建設中の原発の放射性廃棄物処理場をテーマにしたドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』が、渋谷のアップリンクで、急きょ公開され、客席が満席になるほど多くの人々が劇場を訪れた。

  原子力発電所から排出される、放射能物質を含む放射性廃棄物が生物にとって無害になるには10万年以上の歳月がかかることをどれほどの人が知っているだろうか?  太陽に飛ばすか、海底に埋めるか……結局最も安全な方法は地中に埋めることだという結論から、フィンランドは自国の放射性廃棄物を地中に埋めることを決めた。フィンランド語で隠れた場所という意味を持つ「オンカロ」というプロジェクト、100年後の22世紀に完成予定であるヘルシンキから西に240キロの島、地下500メートルに作られる広大な貯蔵施設を、マイケル・マドセン監督は眈々と写し出す。高レベルの放射能から人間を守るために完成したオンカロは、永遠に封じられ、放射性廃棄物が生命にとって無害になる10万年、誰も近づけない施設となるという。マイケル監督は、10万年後の人々に語りかけるように「この施設の存在を、忘れて欲しい。忘れることを、忘れないで欲しい。」とカメラに向かって訴え、作中の研究者たちは、そろって「この施設には絶対に近寄ってはいけない」と警告し続ける。

 上映後に行われた、アップリンク社長・浅井隆氏と観客のディスカッションでは、「10万年後の未来を考えているフィンランド。じゃあ日本はどうなっているんだ、と映画の途中から疑問が沸いた」「放射能廃棄物について、どれだけの人が知っているんだろう」「福島の原発を廃炉にするというが、それ自体が放射性廃棄物になってしまう。どうにもならない絶望を感じた」という、いずれも現在日本が直面している福島の原発問題への不安や、原発そのものへの疑問の声が客席から多く挙がり、本作を観た人がツイッターで感想をつぶやく専用ハッシュタグ#10mannen_mitaでは、「今だからこそ、観るべき映画」という声も見られた。また浅井氏は、この上映にあたり、「たくさんの人たちが、原発に関心を持っている時期だからこそ上映を決めました。来週は都知事選。都内に住んでいる人は、原発推進派の候補者に投票するかどうか、この映画を観て決めてほしかった」と語った。

  現在、日本にはアメリカ、フランスについで第三位となる、54基の原子炉がある。原発から排出される高レベルの放射性廃棄物の最終処分を行う原子力発電環境整備機構(NUMO)は、最大90億円の交付金を提示して、廃棄物処分場建設の場所を公募しているが、いまだ候補地は見つかっていない。また現在、青森県六ヶ所村には放射性廃棄物、使用済み核燃料のリサイクル工場があり、昨年8月には作業員が被爆する事故を起こしている。そして現在、日々恐ろしいニュースが続いている福島原子力発電所。大変な状況になっている福島のひとびとを始め、原発の近くに住むひとびとが日々抱える不安は計り知れない。「いま、わたしたちにできること」を模索するわたしたち。関心を持つこと、真実を知ることがはすべての始まりにつながるはずだ。その第一歩として、できるだけ多くの人にこの映画を、観てもらいたい。

同劇場では、今月15日まで、前出の六ヶ所村のドキュメンタリー映画『六ヶ所村ラプソディー』を監督した鎌仲ひとみ監督特集イベントを開催。(編集部 森田真帆)


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