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見えない報道規制を張る日本は中国と同じ! 中国のタブー「天安門事件」亡命者を追ったドキュメンタリー映画『亡命』の監督に独占取材!

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多くの若者が命を落とした天安門事件(本編より)
多くの若者が命を落とした天安門事件(本編より)

 中国大陸から国外に亡命した亡命者たちの思想を伝えるために製作された映画『亡命』の監督がインタビューに応じ、中国公安からも監視されている本作への想いを語った。

 1989年に起こった「天安門事件」を知っている人はどのくらいいるだろうか? 熱心な改革派として知られていた中国共産党の胡耀邦元総書記の追悼デモは、民主化を要求する大衆運動に発展し、自由を求めた北京市中心部の天安門広場には多くの学生を始めとする一般人が集結した。学生のほとんどが、ハンガーストライキを実行したが、政府は1週間以上もそれを完全無視した挙げ句、その後6月4日未明に軍を投入。丸腰で、無抵抗の市民を戦車で轢き殺し、銃殺して鎮圧した。この事実は、中国政府の報道規制で今でも中国ではタブー視されている。

 天安門事件が発生した1989年、日本に留学中だったという翰光監督は「自由を求めた若者たちが天安門広場に集結して、世界中のメディアも注目していた。中国が変わるときがきたのだ! と、とても興奮していたんです。でも、中国の政府は人とは思えない非道なやり方でデモを鎮圧した。多くの若者が命を落としたことを知り、本当にショックを受けました」と、当時の心境を振り返った。そして、いまから3年前、監督はそのとき政府と闘った多くの表現者や知識人たちが、海外へと亡命していたことを知り、彼らの思想を伝えるべく、本作を撮る決意をしたという。

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 作中には、天安門事件当時、新聞を発行した罪で指名手配を受け、ワシントンに亡命後牧師となった者、アメリカで活動を続ける活動家、これまで6回に渡って投獄されアメリカに亡命した作家、と多くの知識人が登場する。天安門民主化運動の学生リーダーの王丹は、「政府が銃を持って、学生運動に幕を引くとは思わなかった。彼らがしたことは畜生と一緒だ」とインタビューで、当時の失望を振り返った。

 現在も「天安門事件」は、国内で口にすることすらタブーとされている中国政府だが、いまの日本の政府にも似ているところがある、と監督は言及した。「毎週末、原発に対するデモが行われているというのに、どこもこのデモを大きく報道しない。目に見えない言論統制を感じます」。長い間原発に反対してきた学者は異端者扱いで無視され、電力会社の恩恵を受けているテレビ局では反原発・脱原発を訴える知識人を出演させない。報道の自由があるはずの民主主義国家・日本が、社会主義国家の中国と同じような報道規制を推し進めている、そんな印象を受けている国民は少なくないだろう。

 そんななか、最近、日本ではそんな政府への疑問を感じている若者がネットを通じて自分たちで事実を追求し、自分たちの意見を主張するようになった。彼らには、ぜひこの映画を観て、自由を求めて立ち上がった若者たちの姿を見てほしい欲しいと訴える。「今だからこそ、日本には異端が必要だと思います。天安門事件が起こったとき、戦車の前に立ちはだかった“無名の反逆者”と呼ばれた若者がいたんです。日本の若者たちもこの映画から何かを感じてもらいたい。妥協しない信念を持って生きていってほしいと思います」。

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 監督自身、この映画を撮ったことで中国の公安からすでに目をつけられているという。「わたしは亡命してきたわけではないのですが、この映画を撮ったことで、たぶん、もう中国に帰ることはできないと思います。でも、何度投獄されても自分の信念を曲げない人たちのことを思えば、自分なんて大したことがないと思うんです」と監督は語った。この映画は、監督を含め、自分たちの信念を持ち、国家に敢然と立ち向かったひとびとの物語だ。(取材・文:編集部:森田真帆)

 映画『亡命』は、21日よりシアター・イメージフォーラムにて公開

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