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脱原発を訴え、決意の来日も客席はガラガラ……フランス人監督の切なる願いとは?

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ジャン=ポール・ジョー監督
ジャン=ポール・ジョー監督

 ドキュメンタリー映画『未来の食卓』の続編で、1992年にブラジルで行われた環境 サミットで、伝説のスピーチを行った12歳の少女、セヴァン・スズキの現在の活動、日本とフランスで環境問題と向き合う人々の姿を追ったドキュメンタリー映画『セヴァンの地球のなおし方』のジャン=ポール・ジョー監督が来日インタビューに応えた。

 今回、2週間以上日本に滞在したジョー監督は、原発反対のデモを30年にわたって反対してきた山口県の祝島、そして原発事故を起こした福島第一原発のある福島県を訪れ、新作のために精力的な取材活動を行った。祝島で原発の反対運動を続けるおばあさんたちの姿に感銘を受けた監督は、祝島の地元住民から反対運動に使われているハチマキを頭に巻き「わたしもあなたたちの言葉を代弁しましょう! ぼくはフランスでも、あなたたちがつけているハチマキをし続けるよ」と話したそう。その言葉通り、6月23日から行われたフランス映画祭には壇上でもハチマキをして登場した。

 だが、監督の熱意とは裏腹に、日本での現実は厳しかった。脱原発を声高に訴えたことで、楽しみにしていた取材は直前にキャンセルになり、舞台あいさつでも客席は半分以上空席だった。我々がインタビューしたこの日、見るからに落胆していた監督は、自ら「わたしがこれから話すことは、ぜひすべて載せて欲しい」と願い出た。

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 「わたしは、日本の皆さんを支援するために、フランスからやって来ました。もちろん、自分の映画のためというのもありますが、今回、監督でフランス映画祭に来ようとした人たちは、とても少なかったはずです。でもわたしは原発のことをきちんと語っている自分の映画を持ってきました。日本の血が流れている12歳の少女が、いまから20年前に、地球の全人類に向けてSOSを投げかけた、歴史に残る素晴らしいスピーチをもとに作られた映画です。現在31歳になった今でも環境問題に取り組み続けている彼女は、映画の中で、原発問題を“悪魔との契約”と言いました。日本でも大規模なデモがありました。わたしも撮影に行き、多くのエコロジーを訴えている市民と出会いました。あの日、わたしと励ましあった彼らは、わたしの映画が今日から公開されることも知っているはずです。でもなぜ、今日、私の映画の客席は空っぽなんでしょう。昨日の上映会場も、今日の上映会場も、半分以上が閑散とした空席状態なのでしょうか。6月11日に出会った多くの脱原発を求める市民は、いったいどこにいるのでしょう? ほんとうに残念です」
 
 作中には、20年にわたって孤独な戦いを続けてきたセヴァンが、「リオでのスピーチから何年も経つけれど、状況は変わりません。わたしは同じことを言い続け、まだ希望は持ち続けているけれど、ときどきつらくなる」と声を詰まらせるシーンがある。監督は、「セヴァンも同じ思いをしてきました。同じことを訴え続けることは、無力感を覚えることがあるけれど、そうするしか道はない。いつか絶対に分かってくれる人は出てくる」と語り、最後は笑顔で、ハチマキを締め直し、日本人に向けてメッセージを送った。「日本人として個々で声を上げていても、何も変わらないと思います。未来の地球を救うために、みんながひとつになれば、きっと地球は救える。それは日本や、フランス、という国単位ではなく、地球が我々の母国なんだという信念を持っていれば、できないことはないはずです」(編集部:森田真帆)

映画『セヴァンの地球のなおし方』は、東京都写真美術館、渋谷アップリンクほかにて公開中

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