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ニューヨーク・アジア映画祭のオープニング作品『ミロクローゼ』の石橋義正監督、3役演じた山田孝之を選んだ理由

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ニューヨーク・アジア映画祭(N.Y.A.F.F)での石橋義正監督
ニューヨーク・アジア映画祭(N.Y.A.F.F)での石橋義正監督

 現在開かれているニューヨーク・アジア映画祭(N.Y.A.F.F)で、オープニング作品を飾った日本の新作『ミロクローゼ』について石橋義正監督が語った。

 同作は、男はある日、理想の女性と出会い恋に落ちるが、しあわせな日々は続かずに女性は彼のもとを去っていく。男はその彼女の幻影を追い求めて、時空を超えた空前絶後の旅に出る。山田孝之が、オレンジ色のおかっぱ頭の外国人のオブレネリ・ブレネリギャー、浪人のタモン、愛の伝道師の熊谷ベッソンの3役を演じている。

 まず石橋監督を知る上で、彼が結成したパフォーマンス・グループ「キュピキュピ」について聞いてみると「『キュピキュピ』では、映像を使って空間を意識した作品を作っているんです。その中で空間に時間を持たせて形となったのがライブ・パフォーマンスなんです。ただ、ここしばらく5年間くらいは、そのライブ活動をお休みしていたんですけれど、また今年から再開しました。『キュピキュピ』の活動は、個人の製作とはあえて分けてやっています。ただ、ときどき映画作品にも『キュピキュピ』のメンバーが参加してくれています」と明かした。

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 今作で、山田孝之が演じたオブレネリ・ブレネリギャーの若い時代(体は子どもだが大人の設定で扱われている)を演じた、可愛らしい子役の下地幸多君のキャスティングについては「約100人近くの中から選んだんですけれど、何人か演技の上手な子役もいたのですが、見た感じが愛らしいということと、それと彼の前歯が抜けていたことが気に入ったんですよ。さらに、オーディションの時に演じてもらった表情がすごく良くて、最終的には愛すべきキャラクターでなければいけないという点で決めましたね」と述べた石橋監督だが、子役ではあるが設定が大人の視点で扱われているため、ストーリーを子役に伝えるのには苦労したそうだ。

 今回、山田孝之に3役を任せているが、前もって脚本を執筆している時点で、山田孝之をイメージをして執筆していたのか、との質問に「脚本を書いていた時点では、まだ何も配役については決めていませんでした。今回の場合は、脚本のイメージ重視だったので俳優さんは後から考えましたね。ただ、この3役を演じられる俳優さんは日本では少ないと思っていたので少し難しかったけれど、山田さんだったらできるんじゃないかなぁと期待してキャスティングしましたね」と述べた。その期待を上回る演技をこの映画で山田孝之は披露している。

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 この映画はコメディ、アクション、ロマンスとあらゆる要素の詰まった作品で、一貫性を持たせる上で、どのようなバランスを図ったのか。「実は脚本段階ではあまり考えていなかったんです。なぜなら、ある程度シーンの設定で予測はできるけれど、撮影してみないと分からないとも思ったんです。それに音楽を作ってみないとなかなか全体が見えてきませんからね。そこで、オムニバス的な要素を持つストーリーを一つ一つ完成させて、一つの映画につなげていくことにしたんですよ」と答えた。

 浪人のタモン演じるアクションのシーンで、歌舞伎の要素が加わっていることについて「この映画では歌舞伎の演出は雇っていないんです。それは、歌舞伎にはしたくなかったからでもあります。歌舞伎をやると、歌舞伎の所作が出てしまうので、あえて普通の歌舞伎とは違っているんです。それは、見栄を切っているシーンなどでも、こんな動きは出来ないだろうというものを編集を通して、CGとして加えて映像にしているからなんです。あくまで、歌舞伎のインパクトをシーンに入れたかったんです。つまり、浪人のタモンのシーンは時代劇であるんですけれど、絵巻を見ているのよな新鮮さがあるんですよ」と語った。

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 また、ニューヨーク・アジア映画祭での反応について「こんな風に、繊細に感じてくれるんだなぁと観客の反応を見たり、上映後に彼らの話を聞いたりしたんですけれど、ヨーロッパの方々と違った反応でしたね(ヨーロッパでも上映されていた)。今回の観客は、映画好きの方が多いからかもしれませんが、細かいところも観ていただきましたね」とアメリカ人の観客の着眼点の良さに感心したようだ。

 最後に石橋監督は、同作で尊敬する鈴木清順監督と仕事ができ、鈴木監督が俳優として素直に石橋監督の話を聞いて、気持ちよく演技をしてくれることに感動したそうだ。映画は、斬新な演出と手法が新鮮で、観るものを飽きさせない作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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