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砂田麻美監督、実父の死にカメラを向け「ほかに家族でするべきことがあったのでは?」の批判も-第59回サンセバスチャン国際映画祭(1/2)

砂田麻美監督、実父の死にカメラを向け「ほかに家族でするべきことがあったのでは?」の批判も-第59回サンセバスチャン国際映画祭
観客の声に応える砂田麻美監督(右後方は是枝裕和)-第59回サンセバスチャン国際映画祭

 砂田麻美監督のドキュメンタリー映画『エンディングノート』が第59回サンセバスチャン国際映画祭新人監督部門で上映され、会場を嗚咽と涙であふれさせた。

 同作品は、末期がん宣告され、自ら葬儀など死の準備を始めた実父の砂田知昭さんにカメラを向けた貴重な記録。この日は本作品のプロデューサーであり、砂田監督が監督助手を務めるなど師事していた是枝裕和監督も舞台あいさつに立ち、愛弟子の国際映画祭デビューを見守った。

 砂田監督は「どうせ5人ぐらいしか見に来ないだろう……」と思っていたそうだが、蓋を開けてみたら624席の会場がほぼ満席。砂田監督は「ちょうど1年前に買ったパソコンで作った映画が、今ここで上映されるとは光栄です」と笑顔であいさつをした。

 映画は、父親の心情を監督自身がユーモラスにナレーションをしていることもあってたびたび笑いが起こっていたが、砂田さんの死期が近づくと会場のあちこちから鼻水をすする音が。特に西洋人は豪快に鼻をかむことから、その音が会場中に響き渡っていた。

 上映後の質疑応答も活発に行われたのだが、ただ一人、地元のおばさんと思われる女性が「(ユーモラスに描いていることから)これは死を皮肉っているのか? カメラを回すのではなく、ほかに家族でするべきことがあったのでは?」と顔をしかめながら批判を展開したことから、今度は観客から「何言ってるんだ?」と言わんばかりのブーイングが沸き起こり、騒然とした雰囲気になってしまった。 

 これに対して砂田監督は「この映画の編集は、父親が亡くなってから3か月後に始めました。そのころは希望がなくなってしまったようで、食事をしても旅行しても、何をしても楽しいという気持ちが持てなくなってしまいました。なので父親が生存していたころの、楽しかった時間の私に戻りたかったというのが映画を作り始めた理由です。もう一つは、父親が死んだことはすごく悲しいことだけど、父親と過ごした最期の5日間にたくさんいろんなことを貰ったと思ったんです。それは生と死は対極にあるのではなく、一本の線で繋がっていて、そして父親から(生の)バトンを渡されたような気持ちになりました。それが、私にとっての希望となったんです」と映画を作った理由を説明。続いて「日本人は死について公で語ることはあまりありません。 だけど今回、死は悲しい事だけではないことを父に教えてもらいました。そのことをこの映画に込めたつもりです」と毅然とした態度で答え、これには会場中から大拍手が沸き起こった。


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