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津波の傷痕が残る映像に劇場が二の足…やっと公開が決まった小林政広監督『ギリギリの女たち』

津波の傷痕が残る映像に劇場が二の足…やっと公開が決まった小林政広監督『ギリギリの女たち』
小林政広監督 - Photo:Harumi Nakayama

 東日本大震災後の宮城県気仙沼市で撮影した小林政広監督『ギリギリの女たち』が今夏、公開されることが決まった。

 同作品は小林監督の自宅がある気仙沼・唐桑を舞台に、震災をきっかけに音信不通となっていた三姉妹が再会し、知られざるそれぞれの過去が明かされていく愛憎劇。タイトル通り、ギリギリな状況に追い込まれている彼女たちが、変わり果てた故郷を前に自分たちの人生を見つめ直す濃密なドラマだ。

 小林監督はこれまで、『気仙沼伝説』(未公開)、『ワカラナイ』、『春との旅』の3作品を同地で撮影。本作は昨年8月に撮影したが、被災した知人たちも多く、クランクイン直前まで撮影を迷ったという。しかし町の方たちから「こういう時だからこそ、地元を盛り上げて欲しい」と逆に勇気づけられて撮影を決行。近隣に宿泊施設がなかったため、渡辺真起子、中村優子、藤真美穂の女優陣は地元の民家に宿泊し、毎朝徒歩で1時間かけて現場入りした。

 その後、昨年秋に行われた東京国際映画祭の特別企画「ARIGATOプロジェクト 震災を越えて」でワールドプレミア上映されて話題になった。だが、津波の傷痕が残る風景が写しだされることから、劇場側は精神的にショックを受ける観客もいることを考慮して二の足を踏み、なかなか劇場が決まらなかったという。

 同作品は現在、オランダで開催中の第41回ロッテルダム国際映画祭に招待されており、現地時間30日、上映が行われた。舞台あいさつを行った小林監督は「津波の被害を受けた街が、登場人物の心象風景を表す効果になったと思う。失礼なやり方だけど、モノづくりにはどうしてもそういう一面があると思う。それ(作品に対する責任)は、僕自身が引き受けていかなければいけないことだと思ってます」と複雑な胸の内を語った。

 すると観客から「姉妹が日常の事に集中することで、3人の関係が浮かび上がってきて非常に感銘を受けました」という温かいコメントが寄せられ、小林監督もホッとした表情を浮かべていた。

 映画『ギリギリの女たち』は2月5日、茨城・水戸で開催される「地ムービー博in茨城」で上映される。(取材・文:中山治美)


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