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カンヌのグランプリ受賞監督が初来日!ホロコーストの悲劇を「リアルに伝えたい」

カンヌのグランプリ受賞監督が初来日!ホロコーストの悲劇を「リアルに伝えたい」
親族をホロコーストで亡くしている、ネメシュ・ラースロー監督

 今年のカンヌ国際映画祭で、コンペティション部門初出品にしてグランプリを獲得した映画『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督が初来日し、17日に港区の駐日ハンガリー大使館で記者会見を行なった。ハンガリー出身で現在38歳のラースロー監督は「文明が文明を破壊していく悲劇を人々にリアルに伝えることが、わたしのテーマ。過去にホロコーストを描いた映画は、この点をうまく伝えきれていなかったのでは?」と鋭い持論を展開した。

 ラースロー監督の親族は、アウシュビッツのホロコーストで命を落としている。その実体験を基に描かれる本作の主人公は、第2次世界大戦下のアウシュビッツ収容所で、同胞であるユダヤ人の死体処理に従事する部隊「ゾンダーコマンド」として労働を強いられるハンガリー系ユダヤ人のサウル。ある日サウルは、ガス室で生き残った息子とおぼしき少年を発見し、彼の死を目の当たりにする。少年を、ユダヤ教の教義にのっとって正しく埋葬してやりたいと思ったサウルは、ラビ(ユダヤ教の聖職者)を捜すために奔走する。

 主人公だけにピントを合わせた独特の撮影方法が用いられているのも、本作の大きな特徴だ。監督は、その意図について「サウルは地獄のような状況に置かれていて、労働でのみ生きていくことを許され食べ物が与えられる。でも、精神は破壊されていきます。そんな極限状況の彼の内面を想像してほしかった」と明かし、「逆にサウルの周囲は、字幕ではわかりにくいですが8か国語の言葉が飛び交う。混沌で不安感を表わしました」と説明した。

 ラースロー監督はパリの大学で映画を学んだ後、『ニーチェの馬』で知られる名匠タル・ベーラの助監督として腕を磨いた。「尊敬できる師匠(ベーラ監督)に巡り会えたのは、本当に幸運でした。持論ですが、映画は学校で勉強するより、いい師匠から吸収する方が大事。彼から、編集には感情面の『感じるカット』もあることを学びました」と振り返った監督は、会見の最後に「それぞれの民族が持つ負の遺産を忘れず、トラウマのように抱えることで、人間は自滅せずに済むのではないか。ホロコーストを、文明社会の自己破壊的性格の象徴として描きました」と観客へのメッセージを送った。(取材/岸田智)

映画『サウルの息子』は2016年1月23日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開


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