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黒木華、巨匠・山田洋次ワールドの魅力を語る

黒木華、巨匠・山田洋次ワールドの魅力を語る
黒木華&山田洋次監督 - 写真:高野広美

 昨年、『小さいおうち』でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞した黒木華が続いて山田洋次監督作品『母と暮せば』に起用され、堂々たる名演を披露。近年、目覚ましい躍進を遂げた黒木と、山田監督が本作での2度目となるタッグを振り返った。

 『母と暮せば』は山田監督の通算85本目となる作品で、松竹の創業120周年を記念して製作された。終戦から3年後、長崎の原爆で亡くなった青年が、ある日母親の前に“亡霊”となって現れることから始まり、ファンタジーの匂いを漂わせつつ、ずしりとした愛情のドラマを観る者の胸へと届ける感動作だ。黒木が演じたのはその青年の恋人で、彼が亡くなってからも母親の面倒を見る“佐多町子”。主演の吉永小百合と二宮和也、親子の切ない物語に複雑な味わいを加えてみせた。

 2度目のタッグを組んだ山田監督の演出について黒木はこう話した。「今回も細かく丁寧に指導していただきました。例えば、卵の持ち方、渡し方一つとっても当時、それがどれだけ高価だったのか、みんなをどんなに幸せにするものだったのかを知る前と、よく知った後では当然、所作も変わります。何げない所作の中に人の本質が表れるんですね。『小さいおうち』のとき以上にそれを学んだ現場でした」

 この黒木の言葉を受けて山田監督は、「どんな映画の場合でも、ディテールをきちんとしなくてはならないのは演出の基本ですし、演技の基本でもある。黒木さんは関西の出身なんですが、『母と暮せば』では九州の、長崎の女性気質を出してもらいました。それはなかなか言葉では伝えにくいんですよ。だけども九州人の柄(がら)をうまくつかんでくれました」と絶賛。

 そうして慣れない地元ことばの難しさもクリアして、劇中、見事に“長崎の女”になりきった黒木には、すっかり“山田組”の顔となった感がある。ちなみに彼女の役名「町子」とは、山田監督がかつて、名コンビの倍賞千恵子と撮った『下町の太陽』(1963)のヒロイン“寺島町子”に由来するもの。そんなディテールからも、彼女に対する期待の高さがうかがえる。(取材・文:轟夕起夫)

映画『母と暮せば』は12月12日より全国公開


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