シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
.

R15+指定映画『アイアムアヒーロー』で喫煙シーンを採用した理由は?(1/2)

R15+指定映画『アイアムアヒーロー』で喫煙シーンを採用した理由は?
喫煙シーンが重要な役割を果たす『アイアムアヒーロー』 - (C) 2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C) 2009 花沢健吾/小学館

 映像作品の表現への規制が厳しくなり、劇中での喫煙シーンの是非が話題になることも増えている中、R15+指定の映画『アイアムアヒーロー』では、非日常的な世界の中に訪れた束の間の「日常」の表現としてタバコが効果的に使われている。そんな同作の佐藤信介監督に、このシーンの役割や、タバコ表現に対する昨今の風潮をどのように捉えているのか、話を聞いた。

 映倫の規制以外でも、さまざまな関係各所への配慮を求められることが増えてきているが、日本映画における喫煙シーンが特に注目されやすくなったのは、2013年に日本禁煙学会が『風立ちぬ』の喫煙シーンを問題視したために、その賛否が議論となったことが大きいだろう。近年でも、昨年公開の映画を含む『MOZU』シリーズについて喫煙シーンの多さに対する議論が話題となったり、今年の2月1日にはWHO(世界保健機関)が喫煙シーンのある映画を成人指定とするよう世界的に勧告したことも拍車をかけている。

アイアムアヒーロー
昨今の映像表現の規制に見解を述べた佐藤信介監督(C) 2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C) 2009 花沢健吾/小学館

 映画『アイアムアヒーロー』でも小道具としてタバコを使っているが、喫煙シーンの是非が問われる近年の風潮について佐藤監督は、「劇中で全く喫煙者がいない世界というのも不自然。人物と人物の間に煙が漂う画がいいし、タバコをふかすしぐさの間で、芝居の呼吸感が違ってくる。しぐさだけで感情を表現できるアイテムだったので、それが一つ失われてしまいかねない寂しさはありますね」と語る。

 本作には、長澤まさみふんする元看護師の藪の喫煙シーンが登場する。観る者の緊張を少しだけ緩めるひとコマとして非常に効果的ながら、近年の風潮ゆえに意図しない注目や批判を浴びる懸念などはなかったのだろうか。「藪に関して言えば、前提として原作のキャラクター設定を忠実に守ったということがあります。喫煙シーンだけを一度注目されてしまうと、気にする方もいるかもしれませんが、僕は規制を奨励するわけでも、対抗したいわけでもなく、必要があるから撮っている。このシーンに関していうと、原作にもある部分ですが、いろんなことが起こって世の中が変わってしまった後に、藪がふとタバコを吸うというのは、ちょっとホッとするし、彼女らしくていいなと。規制や批判に対する懸念はありませんでした」。

 喫煙シーンのみならず、昨今は行き過ぎた自主規制が表現を萎縮させているのではないかと危惧する声も上がっているが、佐藤監督は「自主規制で段々萎縮してしまい、飛び抜けた表現が失われつつあるとしたら寂しいですね。だからこの作品でも一石を投じてみたいし、エンターテインメントとしてやり切りたい気持ちがありました。いろんな規制や問題と戦いながら作る必要もありましたが、そこから新しい表現が生まれることもある。優秀なスタッフやキャストの技術を集めて工夫していく中で、邦画の枠を超える独特な魅力を持った作品を、この時期に作り上げておきたかった」と語り、規制にもひるまないベテランのクリエイターとしての頼もしさを見せた。


【関連情報】

楽天市場

ブログなどをご利用の方は以下のURLをトラックバックURLとして指定してください。

[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2016年
  3. 4月
  4. 18日
  5. R15+指定映画『アイアムアヒーロー』で喫煙シーンを採用した理由は?