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オウム信者に密着した『A2』、幻のシーンを加えた完全版が初上映<森達也監督コメント全文>

オウム信者に密着した『A2』、幻のシーンを加えた完全版が初上映<森達也監督コメント全文>
映画『A2 完全版』より - (C)「A」製作委員会

 15年ぶりの新作『FAKE』が6月4日に公開される森達也監督が、オウム真理教(現アーレフ)の広報担当者・荒木浩氏をはじめ出家信者たちに密着したドキュメンタリー『A』(1998)の続編『A2』(2001)の未公開シーンを加えた完全版が6月より期間限定で上映される。

 ベルリン国際映画祭など海外映画祭で上映されセンセーションを巻き起こした『A』の続編『A2』は、地下鉄サリン事件から4年半後、教団施設を追われ日本各地に拠点を分散し、活動する出家信者達と地元住民の対立と融和、右翼との交流などを描くもの。“オウムについての自分の表現は終了した”と断言していた森監督が、事件後、急速に劣悪化した日本社会を危惧したことから、再びカメラを手に退去直前の足立区のオウム施設を訪れる。

 完全版で新たに観られる映像は、麻原彰晃(本名:松本智津夫)の三女で元オウム真理教幹部アーチャリー(松本麗華)の登場シーン。撮影当時は未成年だったため2002年の劇場公開時にはカットを余儀なくされたが15年ぶりに復元され、完全版の公開に際し森監督がコメントを寄せた。コメント全文は以下の通り。(編集部・石井百合子)

<森達也監督コメント全文>

 「僕は最近のこの国が少し怖いです」

 手にした一枚の年賀状の裏面には、印字された謹賀新年の横にボールペンでこの一文が書かれていた。差出人は、その後に公開した「A2」に登場する民族派右翼のメンバーだ。

 この少し前、彼ら民族派右翼の思想的支柱でもある幹部の自宅に安岡卓治と呼ばれて、三人でキッチンで酒を飲んだ。飲み始めたときは緊張していたけれど、やがて酔いが回り、この時期に台頭し始めていた新しい歴史教科書を作る会について「極端な右傾化が始まっていて懸念します」と僕は言った。少しだけ目を細めるようにしてから、彼は静かに言った。

 「あれは右翼じゃない。ファシズムだよ。とても危険だと俺も思うよ」

 「A」そして「A2」を撮りながら、この国の急激な変化を肌で感じていた。それを言葉にすれば「集団化」だ。

 危機意識を高揚させた集団は連帯を求め、同調圧力を強める。異物を探して標的にする。共通の敵を探したくな
る。(同じ動きをするために)号令を求める。つまり強いリーダーだ。

 「A2」公開直前、アメリカで同時多発テロが起きた。僕の視点からは、オウムによる日本社会の変化が、世界に拡散したと感じた。

 それから15年が過ぎた。集団化は止まらない。むしろ加速している。その原点を知ってほしい。気がつけば僕たちは、これほどに遠くに来てしまっている。

映画『A2 完全版』は6月18日~24日、7月9日~15日、連日21:00よりユーロスペースにて上映


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