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河瀬直美監督、補助金カットされても奈良の映画祭を続けるワケ

河瀬直美監督、補助金カットされても奈良の映画祭を続けるワケ
インタビューに応じた河瀬直美監督

 今年3月に奈良市議会から補助金1,260万円がカットされ、存続が危ぶまれてきた「なら国際映画祭2016」が今月22日に無事閉幕。会期中は、前回の映画祭の来場者数から大幅増となる3万1,451人の来場者数を記録するなど、活況を呈した。困難な状況でありながらなお、映画祭を続けるのはなぜなのか。同映画祭のエグゼクティブディレクターで、映画監督の河瀬直美に話を聞いた。

 今回の映画祭を振り返った河瀬は、「例年以上の入場者数で、コンペティション上映などを中心に満席になる回も多かった。お客さまが増えていることを実感しています」と充実した表情。映画祭を支援するレッドカーペット会員(会費1万円)も800人以上が入会、さらに企業からの支援も得られるなど、例年以上のサポートを得られたことも大きかった。「それこそオープニングセレモニーには、助成金カットの時に支えてくださった人たちが大勢来てくださって。そこに斎藤工さんはじめ、大勢のゲストとの時間を共有してもらえたのも良かった」と安堵(あんど)した。

 なぜ、なら国際映画祭を続けるのか。「人と人との出会いこそが映画祭の醍醐味(だいごみ)」と語る河瀬は、「やはり日本だけで映画を作ろうとするのは、わたしでも難しいこと。だから映画祭では、むしろ海外の人と出会ってほしい。映画は多様性があるべきだし、その多様性を受け止めるのが映画祭の役割だと思う」と力強く語る。「日本には才能があって、アイデアもあるのに形にできない子たちがたくさんいます。やはりそこにはプロデューサーが必要で、育成していかなければいけないと思っています」とその思いを語った河瀬監督は、「『淵に立つ』で、カンヌで賞を取った深田晃司監督でさえ、『電気代が止まるくらいの生活。今の日本で映画を撮るには、貧乏に強くないとできない』ということを言っていましたが、それではいけない」と指摘する。

 そんな若手監督のバックアップの一助として、配給会社キノフィルムズを立ち上げた「木下グループ」が手がける「第1回木下グループ新人監督賞」と、なら国際映画祭とのコラボも決定。この企画の第1回審査委員長に河瀬が就任することになった。現在、劇場公開を前提とした映画の企画・脚本を募集しており(応募締め切りは2017年1月31日)、選ばれた作品には5,000万円を上限とした制作費が支給。完成した映画はキノフィルムズが配給することを保証するなど、若手の商業監督へのステップアップを後押しするという。「その子がどれだけ映画を撮りたいと思っているか。わたしが1番見るのはその精神力」と語る通り、新しい才能との出会いに今からワクワクしている様子。苦労を重ねた映画祭もようやく一段落したところで、いよいよ待望の次回作の撮影準備に取りかかることができる、と河瀬は笑顔を見せていた。(取材・文:壬生智裕)


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