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『バケモノの子』を生んだスタジオ地図ってどんな会社?

第29回東京国際映画祭

『バケモノの子』
『バケモノの子』 - (C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

 映画監督・細田守と常に二人三脚で、『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』などのヒット作を手掛けてきた齋藤優一郎プロデューサーが、細田作品の製作拠点であるアニメーション映画製作会社スタジオ地図の立ち上げから今日に至るまでの軌跡を明かした。スタジオ地図の代表取締役も務める齋藤プロデューサーは、『時をかける少女』から10年以上にわたって細田監督とその作品を支えてきたいわば女房役。2011年に細田監督とスタジオ地図を設立し、細田作品の魅力を国内外に広く発信している。

 スタジオ地図は、“世界で最も小さなアニメーション映画製作会社”と謳う。その設立目的は細田監督の新作映画を作ることだった。「理由はただ一つ。『おおかみこどもの雨と雪』を作るためでした。映画を作る動機は与えられるのではなく、自分たちにある。だからこそ、小さくとも自分たちの映画を作る場所が必要だったんです」と振り返る。

齋藤優一郎
スタジオ地図の代表取締役も務める齋藤優一郎プロデューサー

 現在、その映画を作る場所には10人が集う。他のスタジオのように、もともと大所帯にするつもりはなかったという齋藤プロデューサーはその理由を「映画に誠実でいるため」と語る。「映画は本当に一本一本の世界です。だからこそ、作品に対して、誠実に向き合うべきだと思う。これまでもそうでしたが、毎作、これが最後の作品だと思って作っている。でも今年は『時をかける少女』の公開から10年、多くの方々に映画を観続けていただいていることは、本当に奇跡的なことで、光栄なことで、映画は作っただけでは終わらないということを観客の皆さんから教えていただいた」。

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 スタジオ地図の名付け親は細田監督。そこには、アニメーションという表現で、映画の新しい可能性にチャレンジしていくという思いが込められているという。「地図っていう名前は、白地図のことなんですね。映画にはまだ描かれていない白地図が無限に広がっている。そこで新しいチャレンジと共に、一つ一つ新しい地図を描き、映画に誠実に向き合っていきたい。時代は常に変化していきます。だからこそ、ぶれずに変わらないものと、常に変化し続けるダイナミズム双方が必要なんじゃないかと思うんです」と齋藤プロデューサー。その未来に向かうチャレンジ精神を表すため、ロゴマークには『時かけ』の主人公・紺野真琴が描かれた。

 『時かけ』以来、3年ごとに新作を発表している細田監督。現在、スタジオ地図では次回作の制作に追われている。齋藤プロデューサーは、細田作品を作るには3年が最速ではないかという。「アニメーションという表現で映画を作るということは、子どもが観ることが大前提。その中で一番良い形で作品を作り、送り出し、子どもや社会がどう作品を受け止めたのかを真剣に考え学び、次のチャレンジへとつなげていく。これからも一本一本、新しいチャレンジと共に、新しい映画を作っていきたい」と語った。

 10月25日から開催される第29回東京国際映画祭ではアニメーション特集「映画監督 細田守の世界」が組まれ、短編、長編を含む10本が上映される。(取材・文:神武団四郎)

第29回東京国際映画祭は10月25日から11月3日まで六本木・銀座ほかで開催

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