ADVERTISEMENT
どなたでもご覧になれます

夢と狂気の王国 (2013):映画短評

夢と狂気の王国 (2013)

2013年11月16日公開 118分

夢と狂気の王国
(C) 2013 dwango
清水 節

終わりゆくジブリを彩る人間模様と、忍び寄る不穏な時代の足音。

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 メイキングではない。リアルとポエムの境界線上を漂う「物語」だ。妖しげな湯屋の門をくぐった千尋のように、砂田麻美監督はジブリに棲む住人に瞠目し感化され、表向きは夢と理想を司る厄介者の人間性に触れていく。ジャーナリストの野心ではなく作家の眼差しによって。最も魅力的な被写体は、饒舌に思考する矛盾の塊・宮崎駿。陰に陽に全てを操るしたたかな博徒・鈴木敏夫もまた善人に映る。不在のまま君臨する全知全能の王・高畑勲の圧倒的な存在感にも肉薄し、微妙な均衡の上に成り立つ王国の正体が立ち現れる。
 
 約30年前の映像との対照が、燦然と輝いた王国にも落日が近いことを思わせる。次代を担う面々にも抜かりない。戸惑い怒る宮崎吾朗、耐え忍ぶ西村義明、仕掛けをまさぐる川上量生、そして、縁深く巻き込まれた庵野秀明。皆、静かな狂気を湛えつつ、自身よりも縁を重んじ、今を読んでいる。菅直人と安倍晋三が登場する。大手メディアにも自主規制が忍び寄るきな臭さに言い及ぶシーンを用い、ジブリとは、映画界よりも日本というコンテクストの中でこそ存在してきた事実を描く。アニメーションの筋肉が「意志」ならば、本作の反射神経は「探究心」だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT