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イライジャ・ウッド来日インタビュー『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』

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文・取材:渡辺ひかる

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の日本公開を記念し、主要キャストとピーター・ジャクソン監督が来日。そんななか、主人公フロドを演じるイライジャ・ウッドに話を聞くことができた。連日のプロモーション活動で「大好きな日本を堪能できない!」と嘆く彼だが、インタビュー中は終始ハイテンション&ニコニコ笑顔。「心血を注いで作り上げた」という本作に込めた想いとは?

――『~王の帰還』の中で、フロドはかなり酷い目に遭っていますね。
すごく窮地に立たされていて、追い込まれているよね。けれど、その極限状態を演じるのが辛いだとか、嫌だとは思わなかった。指輪を手にしているフロドはだんだんダークになっていくんだけれど、役者としては、イノセントだったフロドが変わっていく様を演じるのは非常にチャレンジングだったし、楽しい経験だったよ。


――そんなフロドをスクリーンで観て、気の毒になったり、いたたまれなくなったりしたことは?
彼のことを可愛そうに思うことは自分のことを可愛そうに思うのと同じようなものだからヘンな感覚だけれど、やっぱり「フロドは大変だなぁ」とは思ったよ(笑)。この映画はいろいろな要素がぎっしり詰まっていて、演じている僕が観ても、物語そのものに引き込まれてしまうパワーがあるんだ。だから、自分が演じているのを忘れて、感動したり、登場人物たちの運命に胸を痛めたりしたことは度々会ったよ。

――私は巨大蜘蛛に糸でグルグル巻きにされたフロドが気の毒でなりませんでした。
ああ、あれねぇ。あれは悲しい場面だ(笑)。でも、撮影は楽しかったよ。グルグル巻きになるのは楽しかった。


――フロドたちがホビット庄に戻ってからのシーンがすごく印象的でした。あのシーンはいつ撮影されたんですか?
あれは昨年の7月に追加撮影したシーンなんだ。本編の撮影はすでに終わっていたんだけれど、ピーター(・ジャクソン監督)は「何かが足りない」と思っていたんだね。それで、「ホビット庄は何も変わっていないけれども、フロドたちは旅によって変化した」ということがわかるシーンを付け加えたんだ。しかも、あのシーンでは、周りの人々はフロドたちをまだ子供だと思っていて、彼ら4人だけが自己の変化を実感していることもわかる。とてもビタースウィートなシーンだと思うよ。追加撮影は楽しかったし、自分自身とリンクする経験でもあったね。つまり、オーストラリアでの長くて素晴らしい撮影を通して僕は人間的に成長したけれども、周りの人たちはその変化がどんなものであるのかを具体的に知ることはない。だから、あれは僕とフロドが重なり合ったシーンでもあるんだ。


――あなたがアイデアを出した箇所を教えてください。

何か1つを取り上げて、「ここは僕のアイデアだよ」と言うのはすごく難しいんだ。でも、俳優だけでなく、スタントマンでも、俳優の運転手でも、ケータリングの人でも、誰もが気軽に自分の意見を言えて、それが監督とのコラボレーションによって形となる現場であったことは確かだね。とにかく、この映画は皆で作り上げた作品なんだ。自分の役割とされる仕事以外のことをすることもあったし、例えば、監督自ら撮影場所の交渉に赴くことだってあった。ハリウッドの超大作というよりは、皆のパッションが1つになった手作りの映画なんだよ。


――原作を読んだ時、一番惹かれたキャラクターはゴラムだそうですね。
『指輪物語』の前日談にあたる『ホビットの冒険』の中にビルボとゴラムがなぞなぞをする章があるんだけれど、それを読んだ時からゴラムのファンになったんだ。もちろん、『指輪物語』で描かれている彼の二面性にも惹かれるね。スメアゴルの中にあるホビットの性質がどんどん抑圧され、ゴラムと化していくのがとても可愛そうだった。映画の中では、アンディ(・サーキス)がとても上手く演じているよ。哀愁いっぱいにね。


――映画に出演する前と後では、原作に対する解釈は変わりましたか?
変わらなかったと言えば嘘になるね。でも、今はまだ客観的な解釈をすることはできないんだ。僕はあの世界を実体験し、物語やキャラクターの素晴らしさを再認識したことになるけれど、その経験が僕の人生に影響を及ぼすのはこれからだと思うよ。


――日本の文化に関心を持ってくださっているようですね。
僕は音楽が大好きなんだけれど、日本のミュージシャンはクールだね。コーネリアスやバッファロー・ドーター……まだまだ好きなミュージシャンはたくさんいるよ。映画では、三池崇史の『カタクリ家の幸福』を観て大笑いしたな。ホラー映画もいいね。『リング』や『the EYE【アイ】』は本当に怖かった!


――『the EYE【アイ】』はタイ映画……。
ああ、何て恥ずかしいことをしてしまったんだ! アジアの文化をごちゃまぜに考えてしまうのはサイテーなことなのに。ああ、本当に申し訳ない(と、机に額を押し付けてヘコむ)。僕は何てことを……。とにかく、アメリカのホラー映画は最近ステレオタイプのものが多くて全く怖くないんだけれど、日本のホラーは背筋が寒くなるようなものばかりだよ。今回、せっかく日本にやって来たのにあまり文化に触れられないのは、僕にとってはヘビの生殺しのようなものなんだ。


――映画のおすすめシーンを教えてください。
僕の出ているシーンでは、滅びの山でフロドが倒れかけていて、サムが「僕が指輪を持つことはできないけれど、あなたを抱えることは僕にできます」と言うところ。あのシーンは思い出しただけで涙が出てくるよ。僕が出ていないシーンでは、ガンダルフとピピンがバルコニーに立って、“死”について話すところだね。ガンダルフが「死は終わりではなくて、新しい章の始まりなんだ」と言うところ。この物語では2つの“死”――実際の死と人生の転機が描かれていると思うんだけれど、そのテーマを上手く表しているシーンじゃないかな。


――今後の活動について教えてください。
今までの15年間、僕は映画学校に通っているような恵まれた状況だった。だから、これからは俳優だけでなく、製作や監督にも挑戦してみたいし、将来的には自分の製作会社も持ちたい。あと、音楽にもすごく興味を持っているから、自分でレーベルを立ち上げて、ミュージシャンを発掘していきたいんだ。僕がミュージシャンになることはありえないけれどね(笑)。

「日本大好き!」を公言するイライジャらしく、インタビュー中、手元にあった映画雑誌に『イノセンス』(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』で知られる押井守の最新作)の紹介記事が載っているのを見て大興奮する一幕も。そんな彼の明るくて好奇心旺盛な人柄や映画作りに対する情熱、そして『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに対する語り尽くせぬ想いがひしひしと伝わってくる素敵なインタビューだった。

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イライジャ主演のアクション・ギャングムービー。
80年代のヘルズ・キッチン(N.Y)を舞台に繰り広げられるギャングの抗争を描いた作品。
『15ミニッツ』のエドワード・バーンズが監督・脚本・出演している。



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