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今週のクローズアップ /ラブレター From 映画

5日に公開される映画『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』は、イギリスに住む映画オタクがハリウッドへと送ったラブレター映画と言ってもいい! 6月に亡くなられた水野晴郎氏が最後に観た映画である本作をディープに紹介するとともに、ここでは映画を愛し過ぎた監督が「じゃあ、おれも同じの作っちゃおう!」と好きな映画にオマージュをささげ、見事に生まれた傑作をご紹介します!
『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)

 ハリウッド一の映画オタクといっても過言でないのが、クエンティン・タランティーノ監督だ。自作の映画には必ず既存の楽曲や好きな映画のサントラを使うなど、製作する作品すべてにオマージュが散りばめられているといってもいいだろう。また、好きな映画のワンシーンに似た場面を自作に入れ込み、さらにそれがマイナー過ぎて誰もオマージュだと気付かない点もタランティーノ監督ならではである。


 低予算映画の質と雰囲気を出すために大金をかけ、CGでフィルムに傷が入ったようにみせるなど、徹底したこだわりで製作された本作。音とびやカラーからのモノクロ反転、トリックなしのカーチェイスなど、わかる人にしかわからない作品の世界観にシビれること必至だ。タランティーノ監督は本作を製作するにあたって、スタッフたちに映画『バニシング・ポイント』『トランザム7000』『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』『白熱』など独特なカー・アクション映画を観るよう徹底させたという。また、映画『コンボイ』のトレードマークであるラバー・ダックや『バニシング・ポイント』で使用された車を登場させるなど、本作はタランティーノ監督が好きな映画の断片を寄せ集めて作った作品であるといえるだろう。

 

好きなものは好き! クエンティン・タランティーノ

『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)

 ゾンビ映画の神様、ジョージ・A・ロメロ監督が映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』の次に放った“リビング・デッド・サーガ”の第2弾であり、ゾンビ映画の金字塔的映画『ゾンビ』。この作品は世界的に大ヒットを記録。「顔は青白く、人肉を食べ、頭を破壊しなければ死なない」というゾンビの基本的なキャラ設定を確立した。


 そしてこの歴史的傑作をリメイクし、オリジナルに負けずとも劣らない傑作として誕生したのが映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』だ。監督は本作で長編デビューとなったザック・スナイダーであるが、本作を誕生させた真の立役者は、脚本家のジェームズ・ガンであるといえるだろう。


 本作をリメイクではなく“リ・イマジン”だと位置づけたガンは、リビング・デッド・サーガの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』『ゾンビ』『死霊のえじき』を総括的にまとめた作品として『ドーン・オブ・ザ・デッド』を生み出した。主人公の乗った車が人にしがみつかれて大木に激突するシーンは『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』に登場するシーンを連想させ、ストーリーの舞台であるショッピングモールは『ゾンビ』、モール内での警備員たちとの対立は『死霊のえじき』をほうふつとさせる。また、オリジナル出演者であるケン・フォーリー、スコット・H・ライニガー、トム・サヴィーニの登場も、ファンにとってはうれしいキャスティングだ。


 その1年後、本家ロメロ監督によるゾンビ映画『ランド・オブ・ザ・デッド』が発表されるも、緊張感、恐怖感、終末観ともに本作を超えることはできなかった。『ドーン・オブ・ザ・デッド』の後、ガンは映画『スリザー』でメジャー監督デビュー。ザック監督は映画『300<スリーハンドレッド>』を大ヒットさせ、現在は大作映画『ウォッチメン』(原題)を撮影中だ。

 

カルト映画『ヘンリー』のシャツをアピール、ジェームズ・ガン
Chad Buchanan / Getty Images

『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』

 映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』で一躍その名をオタク映画界に広めたエドガー・ライト監督とサイモン・ペッグ。ロメロ監督が生み出したリビング・デッド・サーガの世界観をベースに、パロディーとオマージュを織り込み、その高い完成度から世界中で大ブレイク。日本では劇場未公開作品にもかかわらず、カルト的人気を誇った。またタランティーノ監督をはじめ、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督やケイト・ブランシェットなど、業界内にも熱狂的なファンを生んだ作品でもある。


 そして、その完成度と面白さのうわさを聞きつけた中の一人がほかでもない、ロメロ監督その人だった。ロメロ監督は彼らをいたく気に入り、『ランド・オブ・ザ・デッド』の撮影現場に招待。エドガー監督らは、ロメロ監督の新作で念願のゾンビを熱演し、オタクの理想を実現させた。それから3年、彼らは刑事映画にオマージュをささげた『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』を引っさげてスクリーンに戻ってきた。


 本作は彼らの母国イギリスで大ヒット。日本公開は長らく未定のまま時が流れたが、「傑作『ショーン・オブ・ザ・デッド』の二の舞にはさせない!」と熱狂的なファンたちによる“「HOT FUZZ」劇場公開を求める会”が発足。約2,500人を超える署名を集め、7月5日、ついに劇場公開される運びとなった。社会派ドラマがファンたちの熱意に動かされ劇場公開されるということはよくあることだが、ことコメディー作品においては実にまれなケースだ。


 本作は映画『ハートブルー』『L.A.コンフィデンシャル』『バッドボーイズ2バッド』『ドミノ』など、ハリウッド産刑事もの大作にオマージュをささげた作りになっている一方、映画『密殺集団』『わらの犬』などスリラー、バイオレンス系などの影響を受けていることもうかがうことができる。また、ストーリーのベースが1973年製作の映画『ウィッカーマン』からきていることも興味深い。本作はエドガー監督とサイモンが観て育った、大好きな映画たちにオマージュをささげて生まれた作品といってもいいだろう。


 こだわり抜かれたキャストも見もので、『ウィッカーマン』のエドワード・ウッドワードを始め、『わらの犬』にエキストラ出演したという人物も出演。またピーター監督やケイトのカメオ出演など遊び演出もあり、映画好きからコアな層まで楽しめる超娯楽作品となっている。

激熱に熱演! サイモン・ペッグ

映画に愛を込める! エドガー・ライト監督

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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