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今週のクローズアップ 『マリリン 7日間の恋』に見るマリリン・モンローという一人の女性

 20世紀最大のセックスシンボルとして知られるマリリン・モンロー。『七年目の浮気』『百万長者と結婚する方法』など数々のヒット作に出演し、ハリウッドの大スターに上り詰めるも、1962年36歳という若さでこの世を去りました。しかし、死後50年たった今も、マドンナレディー・ガガなど、多くのスターがモンローのスタイルを模倣しています。そんな華やかな経歴を持つ傍ら、数々のスターとの不倫などスキャンダラスな人生も送っていた彼女。なぜそれほどまで男たちを魅了するのか。その答えは最新作『マリリン 7日間の恋』にあり。そこでマリリンのこれまでの活躍を振り返るとともに、『王子と踊子』の舞台裏を描いた本作に見るマリリンの知られざる素顔に迫ります。
トップスターになるまで

 本名はノーマ・ジーン・ベイカー。幼いころは母親が精神病院に入退院していたこともあり、里親を転々と回り、とても幸福とはいえない家庭環境で育ったといわれています。大人になってからもごく普通の女性として過ごすも、1945年、第2次世界大戦末期、工場で働いていた時に陸軍から取材に来た報道部員に見いだされ、そのとき撮られた写真が陸軍の機関誌に掲載されたことを機に芸能界への道をたどることになります。

 その1年後には、20世紀フォックスのスクリーン・テストに合格。そのときに「マリリン・モンロー」という芸名で契約を結びました。最初は脇役としてデビューし、一方でヌードモデルとして生計を立てていたそう。ちなみにマリリンの名は1920年代の舞台女優マリリン・ミラーに由来しているんだとか。  

 

若かりしころのマリリン
Michael Ochs Archives / Getty Images

モンロー・ウオークに隠された秘密!?

 1950年の『アスファルト・ジャングル』『イヴの総て』に出演し、徐々に世に知られるようになったマリリン。彼女を語る上で欠かせないのは1953年の『ナイアガラ』。本作でマリリンは、夫の殺害を計画する悪女を好演。お尻をプリップリと振りながら歩く姿が何ともセクシーで、そのしぐさは「モンロー・ウオーク」といわれ、世の男性のハートをわしづかみにしました。

 驚いたのが、この「モンロー・ウオーク」。よく見るとハイヒールの高さが左右微妙に異なっているといわれています。これは後ろ姿のロングショットをセクシーに撮るための演出の一部とか、マリリン自らの演出したなど、さまざまなウワサがささやかれましたが、このウワサがうそでも本当でもこのモンロー・ウオークが彼女の今後の人生を大きく左右したことは間違いないでしょう。

 

セックスシンボルに!
Michael Ochs Archives/Getty Images

演技派としての一面も『帰らざる河』

 ついにセックスシンボルとして世の男性を虜にさせたマリリン。続くビリー・ワイルダー監督作の『七年目の浮気』や、『百万長者と結婚する方法』でもセクシーフェロモンは全開! しかし、実はその演技力も評価されています。

 彼女の転機といわれた作品が、1954年の『帰らざる河』。本作は、ゴールド・ラッシュで沸くアメリカの北西部を舞台に、9才になる息子マークの行方を尋ねに町へやって来た主人公マット(ロバート・ミッチャム)と、そこで出会うケイ(マリリン)との交流を描いた西部劇。本作でマリリンは妖艶(ようえん)な酒場女と、ジーンズ・スタイルの気丈な女という、これまでのイメージとは異なる役柄を巧みに演じ分け、役者として評価されました。

 この作品が公開された後も、彼女は「セックスシンボルとしてのマリリン・モンロー」という存在から脱したかったそう。そのためにニューヨークに移り、アクターズ・スクールで演技の指導を受けたそうです。現状に満足せず役者として成長しようという思いが、その後さらに彼女を飛躍させることになりました。

ビリー・ワイルダー監督とマリリン・モンロー
Frank Worth, Courtesy of Emage International / Getty Images

セックスシンボルでもない、ピュアな女性がそこに

 とはいえ、やはり50年たった今も彼女は20世紀最大のセックスシンボルとして知られているのは事実。吐息交じりで甘~く歌う姿や、風で白いスカートがふんわりめくれ上がる姿は、映画史に残る名シーンです。

 マリリンといえば、スキャンダルも有名です。ウワサがあった男性といえば、あのジョン・F・ケネディ元大統領や、ロバート・ケネディ、歌手で俳優のイヴ・モンタン、そしてチャールズ・チャップリンの息子まで! マリリンと直接関係はないものの、親交があったとされるあのトルーマン・カポーティが原作の『ティファニーで朝食を』のヒロインは、マリリンをモデルにしているというのだから驚き。世界的作家やアメリカの大統領まで魅了する彼女の魅力は、もちろんその外見もありますが、本当の秘密は最新作『マリリン 7日間の恋』で明かされています。

 本作は、マリリンが名優ローレンス・オリヴィエ共演の映画『王子と踊子』出演のためにイギリスに赴いた際の知られざるエピソードを、同作のスタッフであったコリン・クラークの回想録を基に映画化したラブロマンス。『ブロークバック・マウンテン』『ブルーバレンタイン』で知られる実力派女優、ミシェル・ウィリアムズがマリリンを演じ、ゴールデン・グローブ賞で主演女優賞(ミュージカル・コメディー部門)を受賞し、先日発表されたアカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた話題作です。

この作品の原作者コリンを誘惑し、振り回す小悪魔的なマリリンとの恋物語が展開するかと思いきや、ここで描かれるのは「マリリン・モンロー」という孤独な一人の女性の姿でした。

 当時、先ほど取り上げた『帰らざる河』などの成功から演技に自信を取り戻していたという彼女。しかし、『王子と踊り子』の撮影が始まるやいなや、ローレンスと演技論でぶつかり、精神不安定に。無断で撮影を欠席したり、精神安定剤などを飲み、薬漬けになっていたそう。

 この作品では、当時マリリンを取り巻く環境や3度目に結婚した夫アーサー・ミラーとのギクシャクした関係も、明らかにされています。スクリーンでも私生活でも、セックスシンボルとしてのマリリン・モンローを必要とされ、本当の自分は必要とされていないと孤独を募らせ、涙するマリリン。スクリーンやスキャンダラスな私生活からは想像できないからこそ、意外過ぎる彼女のピュアさに、心打たれてしまいます。

 セクシーな外見とは裏腹に、ピュアで少女のような心を持つマリリン・モンロー。人間的なもろさが見え隠れするからこそ、世界は彼女を愛したのではないのでしょうか。単なる淡い恋物語としてではなく「マリリン・モンローという一人の女性」の姿を描いた本作を、ぜひ劇場でご覧ください。

『マリリン 7日間の恋』は3月24日(土)全国公開

映画『マリリン 7日間の恋』より
(C) 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

文・構成:シネマトゥデイ編集部 山本ゆみ

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