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今週のクローズアップ 原作ファンも納得!映画『るろうに剣心』の魅力に迫る!

 和月伸宏のコミック「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」を、NHK大河ドラマ「龍馬伝」大友啓史監督、佐藤健主演で実写化した映画『るろうに剣心』。製作が発表された際には原作が人気コミックということもあり、「大丈夫なの?」と一部ではささやかれていました。ですが完成後は一転、絶賛の嵐に! そのクオリティーには、原作者も太鼓判を押しているほどです。本作はなぜ、こんなにも評判がいいのか? その魅力に迫ってみました!
原作に「忠実」ではなく「誠実」に…製作陣の思い

 映画化にあたって、原作者の和月伸宏が求めたのは「多少ストーリーラインが違っていても、"らしさ”を壊さない」ということ。その“らしさ”とは、剣心の頬の傷に代表されるビジュアルであったり、舞台になっている明治初期の時代風景であったり、人によって異なるかもしれません。ですが、和月の言葉は、世界中にいる原作ファンの思いを代弁したものであることは間違いありません。

 そうした思いは、もちろん製作陣にも届いています。その一つの答えが、10人を超える主要キャラクターの数。「普通にいうと、2時間の映画でこんなにメインキャラクターは出せない」と語る大友監督ですが、原作にあるキャラクターの魅力を実写映画にも生かすため、彼らをただ登場させているだけでなく、それぞれに見せ場を用意するというニクイ演出も! 剣心、斎藤一、鵜堂刃衛のファンはもちろん、他キャラクターのファンも納得なのではないでしょうか?

 また、キャラクターのビジュアル面にもこだわり抜いているのが本作の特徴。とりわけ、赤い毛髪に赤の着物、さらには頬の十字傷という外見の剣心を再現するためには試行錯誤が繰り返されました。それも、ただ原作をコピーするのではなく、実写=生身の人間として不自然ではない表現にまで落とし込むというハードルを課したのです。そのため、剣心の髪の色は原作通りに真っ赤にすると逆にリアリティーがなくなってしまうという理由で、茶色になることに。これも、和月の言う「“らしさ”を壊さない」というところにつながる工夫ですね。

 ほかにも、斎藤一の必殺技である「牙突」や、武田観柳邸でのガトリングガンなど、原作ファンが気になるであろうポイントを、一つ一つ押さえているところも見逃せません。そうしたファンの期待に応えており、マンガ作品の実写化という点では決して忠実とはいえないかもしれませんが、作品が持っているハートは損なわず、“誠実”な作品になっているのです。

 

映画『るろうに剣心』メインビジュアル
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

吉川晃司が演じる鵜堂刃衛
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

江口洋介が演じる斎藤一もクールです!
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
まさに怪演!香川照之の武田観柳
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
CGに頼らないアクション!

 しかし、いくら原作のエッセンスを生かしていても、映画作品として面白くなければ意味がありません。「マンガの実写化で大事なのは、マンガはマンガで映画は映画ということ。マンガと張り合っても仕方ないんですよ」とは大友監督の言葉ですが、これは決して原作を軽んじるという意味ではないのはすでに説明した通り。むしろ、実写作品としてのクオリティーを求めた上で、なおかつ原作の雰囲気を損なわないようにする、という決意の表れなのです。これまでにもマンガ原作の映画作品は数多く製作されていますが、そのうちの何割が原作ファン、そして原作を知らない人の両方が満足できるものに仕上がっているか……もちろん、このハードルの高さは並大抵のものではありません。

 そのハードルを越えるための何よりの武器となったのが、アクション。主人公・剣心が剣の達人ということで、原作では多くの名勝負が描かれ、それはコミックとしてはもちろん、アニメという形でも多くのファンが目にしてきています。それだけに、実写化に際しても「アクションをどう描くか」という点が注目されました。主演の佐藤健も、出演にあたっては「まずはアクションをかっこよく見せたいですね」とこだわりをのぞかせていました。

 8月、まだ撮影序盤の段階で「CGでのアクションという方向へはいかず、できるだけ生身で勝負したいと思っています」と大友監督は断言しました。その言葉は、キャスト陣を信頼しているという何よりの証し。「『人間ができること』っていうのに落としていくという発想は常に持っているので、健くんに限界までやってもらう。そういうのが、ベストですよね」と言う大友監督は、同じ生身であっても安易にスタントを用いることはせず、できるだけ実際の俳優にアクションをこなさせました。それは監督の言葉を借りるならば、「アクションは演技」ということ。スタントマンのアクションはただのアクションでしかない、でも俳優のアクションは演技をしているのと同じ意味を持っている……そうした考えが一貫しているので、本作のアクションシーンには、派手な技と技の応酬というだけでなく、一人の人間と一人の人間が己の信じるもののために戦う、というドラマ要素が追加されることになり、本作ならではの見どころに仕上がっています。

 特報映像予告編映像からもわかるように、本作のアクションは、ジャッキー・チェンドニー・イェンといったアクション俳優が出演している映画のそれにも決してひけを取りません。そうしたこだわりが、ひいては作品全体のクオリティー向上につながっているのです。アニメで描かれたのとは異なる、実写版ならではの生身のアクションシーンは、原作ファンの度肝を抜くこと間違いなし。ですが、原作を知らない人も、知らないからこそ、そのすごみを肌で感じることができるはず。これは決して大げさな言い方ではなく、日本映画のアクションに新境地を開いたといっても過言ではないほどなのです!

 

大友啓史監督の演出にも熱が入ります!
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

これは原作のどのあたりを元にしたのか……わかりますか?
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
「龍馬伝」でもアクション演出に定評のあった大友啓史監督。本作でも見事な手腕を発揮しています!
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
一つのシーンのためにはスタッフも入念に調整を重ねていますね……
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
本当に実写化できるんだろうか…ファンの不安を解消するための宣伝戦略!

 では、こうした本作の魅力をいかに原作ファン、そして一般の観客に伝えるのか? 良くも悪くも。マンガの実写化には賛否両論が渦巻きます。そうした流れがメリットになる場合もあれば、デメリットに働いてしまうこともしばしば。とりわけ本作は、原作が20年近くに愛されている作品ということもあり、ファンの実写化作品への期待は、それはそれは大きいものでした。

 「原作っていうのは大きな味方でもあるし、乗り越えるべき壁でもあるんです」と語ったのは、本作の宣伝プロデューサーを務めるワーナー・ブラザース小杉陵。いわく、宣伝で最も注意したのはビジュアルを解禁するタイミング。「佐藤健くん演じる主人公・緋村剣心っていうのは、やはりとてもマンガ的・アニメ的なビジュアルなので、実写化するとどうしても『コスプレ映画』になってしまう危険性がありますよね。だから、ビジュアルの出し方には気をつけました」。

 実写映画化を発表した際の反響が大きかった本作ですが、その一方で「本当に実写化するの?」といった否定的な論調があったこともまた事実。だからこそ、製作を発表した昨年6月から、ビジュアルを公開する同12月まではあえて情報を出さず、ファンの飢餓感をあおるという宣伝戦略を採用。それが功を奏し、多くのファンが待ちわびる中で解禁されたビジュアルは大きな話題になりました。しかも、その反響の大半は好意的なものであり、実写化へのファンの不安を一掃することに成功したのです。

 本作の製作陣・キャスト・宣伝が口をそろえたのは「原作を大事にすること、でも生身の人間が演じる映画としての魅力も見せること」。作品としてのクオリティーが保証されたことはもちろん、多くの原作ファンが納得する映画になった『るろうに剣心』。原作者の和月伸宏自身、「映画を観て『これは違う』っていう人はあまりいないと思います」と太鼓判を押しており、原作ファンもそうでない人も一見の価値あり、です!

映画『るろうに剣心』は8月25日より全国公開 22日~24日に先行上映

高荷恵「本当に実写映画化なんてできるのかしら…?」
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

昨年12月に公開されたビジュアル!これを見て「おおっ」と思った人も多いのでは?
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

武井咲の薫もはまっています!
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
作品を観てみたいと思う原作ファンは少ないはずです!
(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会
取材・文・構成:編集部 福田麗

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