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ぐるっと!世界の映画祭
ぐるっと! 世界の映画祭 第5回 トロント国際映画祭

北米最大級を誇るカナダのトロント国際映画祭は、アカデミー賞を狙うハリウッド最新作が出そろうことから、ファンもビジネスも活況を呈しています。そんな目の肥えた観客たちが待ち構える第37回大会(2012年9月6日~16日)で、タナダユキ監督『ふがいない僕は空を見た』(公開中)がワールドプレミア上映されました。タナダ監督による“ド緊張”レポートです。

観客賞に世界が注目

トロント国際映画祭
『テルマエ・ロマエ』の阿部寛。英語で舞台をあいさつを行った

1976年にスタートした映画ファンのためのお祭りで、期間中、約60か国から集められた300作以上が上映される。作品は北米プレミアが条件で、スターがレッドカーペットを歩くガラ・プレゼンテーションは映画祭の花形。今年は実写日本映画としては初となる『テルマエ・ロマエ』が招待されて話題となった。

タナダユキ
タナダユキ監督。舞台あいさつ前で緊張気味

コンペティション部門はカナダの新人監督と短編が対象だが、観客賞は米アカデミー賞の前哨戦ともいわれるほど注目度が高い。本年度はデヴィッド・O・ラッセル監督『シルバー・ライニングス・プレイブック(原題) / Silver Linings Playbook』で、今後に注目だ。また園子温監督『希望の国』がNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。

初の国際映画祭に緊張

ふがいない僕は空を見た
映画『ふがいない僕は空を見た』はテアトル新宿ほか全国公開中。(C) 2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会

『ふがいない僕は空を見た』は、気鋭作家の作品が並んだコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門。タナダ監督は「これまで参加したのは、日本やアジアに特化した映画祭で、言ってみればわたしにとって初めて参加する国際映画祭。上映前は吐きそうなほど緊張しました」という。

トロント国際映画祭
『ふがいない僕は空を見た』が上映されたシネコン「スコシアバンク・シアター」

さらに「アジアの無名監督の作品にお客さんが来てくれるのか?」と心配したそうだが、ふたを開けてみればチケット完売の回も出るほどの盛況ぶり。Q&Aでは「神社と寺の違いは?」「日本では助産院で出産することが多いのか?」など予想だにしない質問もあり、「自分が普段何げなく接している日常の中に、日本独特の文化があるとは気付きにくく、頭を整理するきっかけになりました」とのこと。

交流の場であることを実感

タナダユキ
西川美和監督、内田けんじ監督、タナダユキ監督の豪華3ショット

上映以外は取材に、イベント参加にといそしんだタナダ監督。日本作品をPRするイベント「ジャパン・フィルム・ナイト」では同じくトロント入りしていた『鍵泥棒のメソッド』内田けんじ監督、『夢売るふたり』西川美和監督との3ショットが実現した。「実は映画監督同士は日本であまり会う機会がないので、映画祭でお会いできるのはとてもありがたいことだなと思いました」。

タナダユキ
上映後は記念撮影にサインにと観客に囲まれた

またアジアン・フィルム・サミットのパーティーではジャッキー・チェンに会うことができたという。「『酔拳』に『五福星』などジャスト、ジャッキー世代なのでラッキーでした。と言いつつ、本当はユン・ピョウのファンなのですが」と言いながらも、しっかりジャッキーとの2ショット写真を撮ったようだ。

移民の国は食も国際的

トロント国際映画祭
ナチョスやシーザーサラダ、フライドポテトとアメリカンな料理の数々

カナダは移民の国ゆえ、郷土料理と呼べるものは特にないという。その分、ギリシャに中国、韓国など多彩な食文化を堪能できる。ただしタナダ監督は時差ボケ(夏は日本と13時間差)に悩まされ、約5日間の滞在中、まともに食事を取ることができなかったとか。

「唯一完食したのが帰国前日に、夜はバーになるような普通のお店で食べたハンバーガー。それが日本のものと違った食感があり、余計な味付けもしていないので、肉! といううま味が味わえました。あとはとにかく量が多く、サラダでおなかがいっぱいになることも(苦笑)」。ちなみにタナダ監督の新作は『四十九日のレシピ』(2013年公開予定)。タナダ監督自身、食への関心が高く地元の大型スーパーマーケットへ足を運び「市場調査」したようだ。

日本から直行便で11時間

ナイアガラの滝
ナイアガラの滝。大型ホテルやカジノが建つ街ナイアガラフォールズは「熱海っぽい感じ」だったとか

日本からトロントまでは直行便で約11時間。タナダ監督には映画祭から3泊分の宿泊(映画祭の拠点となるビル「ベル・ライトボックス」隣のハイアット リージェンシー トロント オン キング)が用意された。カナダの観光名所ナイアガラの滝までは、トロントから車で約2時間の距離。タナダ監督もスケジュールの合間、観光を楽しんだという。

タナダユキ、新たな誓い

トロント国際映画祭
映画祭バッグの中にはカタログのほか滞在中、食に困ったときの宅配ピザの案内も

海外映画祭参加に向けて、ひそかに英語教材「ロゼッタストーン」を購入していたが「間に合わなかった」というタナダ監督。「次に何か映画祭に参加できるような幸運があったら、もう少し英語ができるようになっておきたい」と決意も新たに帰国した。来年の開催は2013年9月5日~15日。新作『四十九日のレシピ』で再びトロントに戻って来て、リベンジとなることを期待したい。

レポート:タナダユキ
写真:タナダユキ、相原裕美、東映ビデオ
編集・文:中山治美

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