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009 RE:CYBORG

ブルーレイ&DVD 5月22日(水)発売!

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  • 互いの作品づくりについて語る
  • 二人がまさかのコラボ?

『009 RE:CYBORG』ブルーレイ&DVD発売記念 神山健治×西田征史 新たなヒーローをつくる者たち

石ノ森章太郎「サイボーグ009」を原作に、『攻殻機動隊』シリーズの神山健治監督が現代を舞台に作り上げた『009 RE:CYBORG』。本作のブルーレイ&DVD発売を記念して、神山監督と脚本家・西田征史の対談が実現した。司会を務めたのは編集者・映画評論家の清水節。初顔合わせながら、同時期に同様の題材で作品を発表した気鋭のクリエイター二人が、自身の作品、そして互いの作品について語り合う!

アニメなのか? 実写なのか?

清水節(以下、清水):
脚本家・舞台演出家として活躍されている西田さんは、最近では2011年に「TIGER&BUNNY」(※1)というアニメ作品で注目されました。また、同年の秋口からはドラマ「妖怪人間ベム」(※2)も手掛けられ、両作とも昨年に映画化されています。実は「サイボーグ009」が最初にテレビアニメ化された最後の年である1968年に、「ベム」のオリジナル版はテレビアニメとして放送されています。お二人には「009」と「ベム」という60年代後半のヒーローものを今この世に、新たに再構築したという共通点があるわけですが、まず、西田さんは『009 RE:CYBORG』を観ていかがでしたか?

西田征史(以下、西田):
非常に面白かったです。最初はあの時代のアニメを作り直すという視点から観ていたのですが、そのうちに、この作品はアニメリメイクではなく実写化なんだ、と感じたんです。その点、「ベム」と「009」はアニメを実写化するという意味で、ほぼ同じ作業だったような気がしましたね。

神山健治(以下、神山):
自分としては、アニメの脚本として書いているつもりなんです。ただ、僕はハリウッド映画に影響を受けた世代なので、演出する段階でどこかハリウッド映画を撮っている、というか……ハリウッド映画のようなものを実写の邦画でやるのは難しいじゃないですか。なので、それをアニメに置き換えてやっているという意識はあります。日本人に撮れる洋画はアニメなのかな、と。

西田:

僕がシビれたのは、008(ピュンマ)が帽子を取って頭をかくシーン。その作業自体には何の意味もないわけで、生の人間だったら無意識にそういう動作をすることはあるでしょうけど、アニメではわざわざそれを描く必要がある。アニメよりは実写という感覚を持ったのはそういうところなんです。

神山:

なるほど。ただ、僕の作品の場合、実写にするとなると、セリフが多すぎると思うんですね。実写に比べると情報量が足りないので、アニメでは、いわゆる説明ゼリフみたいなものが必要になるんですよ。なので、人によっては僕の作品のキャラクターについて「何でこいつは独り言を言っているんだ」と思われる人もいるみたいですね。ナレーションにするという手もあるんですけど、僕はそれをできれば使わずに演出したいというのがあるので……。

西田:

今伺って、独り言を言わせるっていうのはアニメーション的な演出の一つじゃないかと思いました。

神山:

その通りだと思います。

※1 「TIGER & BUNNY」

西田が脚本を担当した2011年のテレビアニメ。NEXTという特殊能力者たちがヒーローとなって活躍する世界を描く。来年は劇場版第2弾『-The Rising-』の公開が予定されている。同作の3DCGを担当しているのは『009 RE:CYBORG』の共同制作会社サンジゲン。

※2 「妖怪人間ベム」

2011年のテレビドラマ。人間になりたい妖怪人間が主人公。1968年のテレビアニメを基にしつつも、オリジナル要素が盛り込まれている。2012年には劇場版も公開された。

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今だからできるものを!

清水:

往年のアニメの舞台を現代に置き換えることについて、西田さんが最も意識されたことは何でしょう?

西田:

時代錯誤感というか……ベロという子どものキャラクターに多少古い言葉遣いをさせたりとか。それで「今の子は言わないからやめな」ってほかのキャラクターに言わせたり、そういう時代のずれをあえて大きくしてみたのはあるかもしれませんね。

清水:

それは当時の空気を盛り込もうという意図ですか?

西田:

それもありますし、そういうものがあることで、彼らが当時よりも長く生きてきたキャラクターなんだという雰囲気が出るかな、と。

神山:

1968年からさらにまた40年以上、経っちゃっているわけですからね。

清水:

図らずも「ベム」は3.11の後の作品になりましたが、その点はいかがでしょう?

西田:

企画としては3.11の前からあったんですが、あれがあったことで異形のもの、妖怪人間というテーマを描くのはやめようかという議論もありました。でも、この時代だからあえてやろうと。作品というよりは自分の気持ちとして、あの日から大きく変わった部分はありましたね。最初の頃の僕の作品というのは、5年後、10年後に残る作品を書こうとの気負いがあったので、わりと「今」をどれだけ感じさせないかという点を意識していたんです。芸能人の名前を使わないとか、流行のフレーズを入れないとか。

でも、3.11の後に連ドラで難病ものの作品があって、僕の周りの人はそれを観ないと言っていたんですね。なぜかというと、あれだけの大災害があった後に、一人の命が生きる死ぬというものはどうしても観られないから、と。そのとき、こちらの思惑とは別に、やっぱり時代に合う、合わないというのがあって、どこか作品に「今」を反映していかないと、作品を発表する意味がないのかなと思うようになりました。今はむしろ、今だからできるものを意識してみたいと思うんですよ。

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「時代性」と「普遍性」

清水:

いわゆる「時代性」と「普遍性」をめぐる問題ですが、神山さんの作品はかなり時代性を前面に押し出している印象を抱かせます。

神山:

初めて本格的な監督を務めた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(※3)は原作がハードSFだったので、目に映る世界のほとんどが、創造された世界だったんです。そして、当時はそういった作品をお客さんがあまり観なくなっている傾向があった。「SFはわからないので観ません」「僕が観る作品ではないです」というふうに。

清水:

いわゆる「セカイ系」(※4)の勃興と同時期のことですよね。

神山:

よく「セカイ系」に対して、僕の作品は「社会系」といわれたりもしたんですけど、それは全てが絵空事の世界であるが故に、現実を一つ放り込むと、全体がすごくリアルに見えたからだと思うんですね。こちらとしては「これは僕たちが住んでいる世界の延長線上の話なんだ」とわからせてあげることで、そうした垣根を取り払おうとしたんです。

清水:

深夜アニメで「東のエデン」(※5)をやったときはびっくりしましたね。ある意味で、セカイ系を象徴するような枠とも感じていたので。

神山:

「東のエデン」に至っては景色も今、自分たちが見ているものにしようと思いました。ただ、そこで起きていることはSFだし、ファンタジーなんだけれども……そういう意味で「今」を描いてきたのは「アニメも観てほしいけど、社会で起きていることも知った上でアニメを観ようよ」と提案したい思いがあったからです。で、それをやってみたら、意外とそこに普遍性もついてきたんです。

※3 「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」

原作は士郎正宗の漫画。近未来を舞台に、公安9課の活躍を描く。1995年には押井守『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』としてアニメ映画化。「S.A.C.」はキャラクターや設定を引き継いだパラレルワールドという位置付けになる。

※ 4セカイ系

「主人公」と「ヒロイン」の関係性が「社会」を介することなく、そのまま「世界」に直結する作品群を評した言葉。ゼロ年代前半よりインターネット上で見られるようになった。例としては『ほしのこえ』(新海誠監督)など。

※5 「東のエデン」

2009年のテレビアニメ。神山健治監督にとって初のオリジナル作品。与えられた100億円が入った携帯電話で世界を救えと命じられた主人公たちの活躍に絡めながら、現代日本のニート問題などが語られた。劇場版2作が製作されている。

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プロフィール PROFILE

神山健治

1966年生まれ。埼玉県出身。スタジオ風雅で背景美術スタッフとしてキャリアをスタート。『人狼 JIN-ROH』で演出を務める。映画『ミニパト』で初監督。『攻殻機動隊 STAND ALON COMPLEX』シリーズを監督し、ビデオグラムセールスが、累計230万枚を超える大ヒットとなり、国内外に熱狂的なファンを獲得。その他、代表作は「精霊の守り人」「東のエデン」など。

西田征史

1975年生まれ。東京都出身。脚本家、演出家、俳優。主な作品に映画『ガチ☆ボーイ』(脚本・出演)、テレビドラマ「怪物くん」(脚本)などがある。脚本を手掛けた『映画 妖怪人間ベム』ブルーレイ&DVDは6月26日(水)発売。また、自身が原作・脚本・演出を務める舞台「小野寺の弟・小野寺の姉」が7月12日(金)から東京・大阪で公演開始。

清水節

編集者・映画評論家。「PREMIERE日本版」「STARLOG日本版」「J-WAVE東京コンシェルジュ」などを経て、「映画.com」での映画批評、「FLIX」での取材執筆、ノベライズ編著、BSジャパン「シネマ・アディクト」出演など。海外テレビシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」の日本上陸を働きかけ、クリエイティブディレクターとして制作にも当たった。

『009 RE:CYBORG』

ブルーレイ&DVD 5月22日(水)発売
  • 豪華版 Blu-ray BOX 10,290円(税込み)
  • 通常版:ブルーレイ 6,090円(税込み)
  • 通常版:DVD 5,040円(税込み)
  • 発売元:バップ
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